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7. 飴と鞭編

太郎は今日も柚月の店で飲んでいた。柚月の店の女の子は基本的に長く働いている。コロナ禍で何人かの入れ替えがあったが、基本的には長く働いている子が多い。
働きやすいのだろう。

柚月は、はたからみてると、自分が一番の唯我独尊的なチーママだ。

太郎は、柚月の店で働く女の子たちが長く働ける理由について興味を持っていた。そして、20年以上一緒にやっている紗季に柚月が鞭を使っていることを聞いた。
「鞭を使うって、何か問題があるんじゃないのか?」と太郎は尋ねた。
「柚月さんが鞭を使うのは間違った時や何か目的がある時。たまに理不尽な鞭もあるけど私は意外と鞭好きだから大丈夫w。で、たまには飴がでてくんだな。」と紗季は答えた。
「飴?」
「そう、飴。鞭ばかりじゃダメだからね。たまに飴が出てくる。これが甘えのなんのって。そんでまただまされるんだー」紗季は本音を喋る時は秋田訛りになる。

太郎は、紗季の話を聞きながら、柚月の店の女の子たちが長く働く理由が、少しわかってきた気がした。厳しい指導を受けつつも、柚月から飴のような甘い気遣いや労いがあることで、彼女たちは働きやすい環境を感じ(騙されているかもしれないし、一種の洗脳かもしれないが)、また、やりがいもでてくるのだろう。そうして長く店で働き続けることができるのかもしれないと思った。

太郎もたまにリーダーをすることがある。自分だけが目立つのではなく、厳しさと甘さのバランスを取りながら、メンバーのモチベーションを高め、チーム全体のパフォーマンスを向上させることが目標であると感じた。

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