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#654 アルバム論38|ケダモノの嵐 / UNICORN(1990)

ユニコーンに関して、BOOM~PANIC ATTACK~服部と初期の3部作を紹介させて頂きましたが、本日は4thアルバムにして、ユニコーンの最高傑作との予び声も高い名盤「ケダモノの嵐」をご紹介しましょう。



「ケダモノの嵐」リリース時のユニコーン

前作「服部」で一定の地位を確立し、その上で才能がドバドバ溢れていた時期に、満を持して1年4カ月ぶりにリリースされたのが本作ですが、やはりメンバーの充実っぷりが曲から伝わります。

このアルバムがリリースされたのが10月なのですが、その翌月11月にミニアルバムをリリースし、更にその翌月の12月にもミニアルバムをリリースするというエネルギッシュっぷりですね。

とにかくこのアルバムを評価しない人はそういないでしょう。

先行シングル「働く男」が収録されており、オリコンでも週間1位をGET。
セールス面でも一定の評価を頂いたアルバムでした。

僕もこのアルバムが一番好きだったりします。
捨て曲無し!


「ケダモノの嵐」全曲紹介

1. 命果てるまで~第三の男~命果てるまで

この曲はラブホテルでの情事を語った曲で、ウクレレで始まり、途中で謎の口笛(第三の男)も入り、終始よく分からないテンポで高音メロディで歌われる、マジで謎の曲です笑
ただ、この曲が最高に好きなんです。ユニコーンで一番好きな曲にこの曲を挙げていた時期もありましたし、バンド論でユニコーンを紹介した際にもそう答えてます。
謎の中毒性がある曲ですね笑

そして最大の謎は、何故かこの曲がシングルカットされている点です笑
「働く男」「スターな男」がシングルなのは納得ですが、この曲がシングル化したのが未だに謎ですね笑
ベストにも選曲が漏れてる分際で、何故シングル化されたんでしょうか?
そんなミステリアスな所もも好きだったりするかも知れません笑

ちなみに、シングルには下記のような謎の紹介がされております。

初老を迎えた往年の若大将がふと目覚めた愛の世界、ネオン煌めく夜の街を彷徨うおじさまのリビドーを悲しくも美しく歌い上げた佳曲


2. フーガ

そしてこの曲は大好きです。EBIの曲で一番好きかも知れません。
イントロもカッコいいですが、AメロとサビのEBIの高音ボーカルパート、そしてBメロとサビ最後の阿部のねちっこい甘ったるいボイスパートが映えて、その対比が最高に聞いてて気持ちいいですよね。
「ねぇ優しくして」のあたりとかも凄く好きです。

あとはテーマが「結婚」なだけあって、鐘が鳴ったり、そうした細かな演出もキラリと光りますし、バンドとしての充実感、勢いを感じます。
ベストにも収録されたのも納得の、素晴らしいウェディングロックンロール

このアルバムはEBIが最高にイカしてますね。


3. ロック幸せ

これは西川くんが作って、自分で歌っちゃう曲ですね。
とにかくいい感じに音痴なヴォーカル、そして意外と王道なメロディ、そして相変わらずの文学的というか変態的な独特の歌詞。
「日本人ならしょうがないのだ」という歌詞はかなりインパクト強いですよね。

短い曲ですが、色々と詰まっている名曲ですね。


4. ケダモノの嵐

そしてこの曲は曲名がアルバムに冠されたくらいの曲であり、メッチャカッコいいです。超正統派ロックンロールですね。
イントロの阿部のキーボードからカッコいいし、AメロのEBIのベースも秀逸で相当カッコいいですが、メロディも非常に良いんです。
サビの「飛び切りクールな笑顔を見せてやる」のあたりも非常に◎ですね。
バンドの勢い、充実具合が分かる曲です。

この曲で鳩尾(みぞおち)という感じを覚えた方は多いと思います。
西川くんの歌詞は本当に印象に残りますね。


5. エレジー

この曲はストーカーの曲ですね。
主人公の男と、狙っている女性の距離感が謎ではありますが、当時世間をにぎわせていた宮崎勤など「ロリコン」「おたく」の心情を無駄に理解して作った曲ですね笑
しかし、ストーカーという言葉が生まれる前から、こうしたストーカーの曲を作ってしまうのが流石です。


6. 自転車泥棒

僕がテッシーの作った曲の中で一番好きなのはこの曲、自転車泥棒ですね。最高にメロウで美しい、このアルバムを代表する名曲です。

まずイントロがカッコいい。ギターとベース、キーボードが良い感じにユニゾンになっており、民生が優しく歌うんですが、阿部のハモリも非常に◎。
そして何よりもメロディが本当に美しく、サビのメロディは本当に素晴らしいですね。

ユニコーンの中でも非常に人気がある曲で、結構色々なアーティストにカヴァーされています。CHEMISTRYも過去にトリビュートでカヴァーしていたんですが、それが非常に自然で良かった。
誰が歌っても良い曲というのは、曲が良い何よりの証左でしょう。


7. 富士

これは阿部が作ったちょっとした癒しの曲ですね。
前作の逆光、次作の立秋然り、阿部は漢字二文字の曲が好きなのでしょう。
とにかくこの濃すぎるアルバムの癒しとなる曲ですね。


8. リンジューマーチ

このリンジューは「臨終」、ご臨終した死後の世界をテーマにした曲です。
そんなテーマとしては重いんですが、マーチと言ってるだけに曲調も明るく、歌詞もそんな暗くなく、むしろ「死後の世界もそんな悪くないよ」というポジティブにすら感じる謎の曲ですね。
ホーンがオシャレな楽しい曲ですね。


9. スライム・プリーズ

そしてこのアルバムで最も人気が無いのがこの曲(ファンブック「チャンカラ」調べ)なんですが、僕はこの曲が大好きなんです。
このアルバムでEBIが作った2曲で、99%の人がフーガを推すでしょうが、僕はこの曲の方が好きだったりします笑

打ち込みで、もう実験やサンプリングしまくってるんですけど、、イントロ~Aメロのベースラインはカッコいいし、その暗さとミクスチャーな感じ、EBIのソプラノが良い感じに相まって、ジャンルで言えばハウスにカテゴライズされると思うのですが、変態すぎてメッチャ好きですね。
サビとかライブで絶対盛り上がると思いますし、もっと評価されて欲しい曲です。

そんな曲ですが、唯一このアルバムで音源を探せなかったので・・・笑
スライムくんを添付しておきます笑

10. CSA

この曲ももうやりたい放題ですね笑
かつてSEX PISTOLSEMIという曲でレコード会社を批判する曲を作りましたが、この曲CSAはそんな思想も主義も何もなく、ただレコード会社の住所と電話番号を歌うだけという笑

アホ・ハードコア・ソングです笑


11. いかんともしがたい男

ここから1曲を挟んで、"男"3部作となります。
この曲も素晴らしい。やはり才能がドバドバ溢れております。
この曲はEBIのベースが最高にダウナーな感じで、この曲の仕事をズル休みして、休む連絡を会社(上司)にするダメ主人公にマッチしております。

本当に民生の天才さを感じる…隠れた名曲ですね。


12. 夜明け前

この曲はアカペラに近い感じなんですけど、急に耳元で立って歌ってるんじゃねーかと思ってしまう位、近さを感じる曲ですね。
多分ストーリーになっていて、前曲のいかんともしがたい男が変な時間に起きちゃったという感じの性質のインタールードに近い曲と僕は思っており、そして朝が来て、仕事に行くのが次の曲ですね。


13. 働く男

そしてこの時期のユニコーンを代表する超・名曲ですね。
リリース当初民生の満足度もかなり高い、会心の出来だったようです。
もう20代半ばでよくこの曲を作れたなと思います。天才ですね。
いかんともしがたい男も、ちゃんと働かなきゃならないんですね。

とにかく演奏のレベルが高く、この曲を高校生とかがコピーするのは相当難しかったと推察されます。ドラムもベースもギターもキーボードもレベルが高いですが、合わせるのがすげー難しい気がします。

とにかく世の中で働くすべての男に刺さる、仕事に追われて彼女と上手くいかないサラリーマンの悲哀の曲ですね。


14. スターな男

そしてアルバムの最後を締めくくるのは、超ゴキゲンなロックンロールナンバー。この曲は最高にカッコいいですね。
とにかく民生のギター、阿部のピアノ、テッシーのギター、EBIのベースライン、西川くんのドラム、全てが最高にカッコいい。
バンドとして最も勢いがあり、ノリに乗っている曲ですね。

「夢で逢えたら」というダウンタウンとウンナンがやっていた深夜番組のオープニングで使われているverはちょっと違ったりするんですが、超有名なロックスターの嫁さんは貞淑で家で待っているよと言う、そんな曲ですね。

特筆すべきはアウトロですが、よっちゃん(阿部)のピアノがマジで最高に美しく、テッシーのギターもカッコよく、最後は「おれ」と言って民生も入って最高に盛り上がって終了。
マジでこの曲は本当に凄いですね。


まとめ

そんな感じで最高傑作「ケダモノの嵐」を紹介させていただきましたが、やはり今聞いてもカッコいいですね。
次回は問題作と呼ばれた「おどる亀ヤプシ」「ハヴァナイスデー」を紹介します。

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