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#642 読書論27|告白(湊かなえ)

前回読んだ「悪の教典」と同じくらいのタイミングで読んだ記憶がありますが、これも面白かったですね。一瞬で読み終えた記憶があります。
内容は180度違いますが、「学園もの」「主人公は先生」「殺人の描写」など、なんとなく通じるものもあると思いますし、この小説も大分ハマりましたね。


告白とは?

湊かなえ先生のデビュー作にして最高傑作の呼び声も高いミステリー小説です。
湊先生の作品は読み終わった後に嫌な気分になるミステリー、通称「イヤミス」と呼ばれていますが、個人的にはこの告白は凄くスカッとする終わり方でしたね。

そのタイトルのように、全6部構成なんですけど、それぞれ立場の違う6者が独白で語る「告白」を集めて、物語が完成していく斬新な手法です。

主人公の森口先生は中学校の教師でシングルマザーなんですが、その最愛の娘を亡くしてしまうのですが、その娘を殺した犯人がクラスの生徒であり…
その生徒に復讐を行うというヘヴィーな物語です。


告白の魅力

1. 構成力

ミステリーは得てして「犯人」や「動機」は最後の方に紹介されがちなんですけど、この告白の凄いのは、冒頭でいきなり事件のあらましを説明し、犯人を少年A・少年Bの2人に絞り、それを独白形式で語り、伏線を1つ1つ回収していくという今までになかった構成であることですね。

最初は実際に娘を殺された森口先生(松たか子)の独白で始まり、クラス委員長 → 少年Bの母親 → 少年B自身 → 少年A → 森口先生に戻る、という感じなんですが、基本的に独白なので、登場人物間の会話ややり取りはあくまで語り手の主観によるという形で、それが伏線になったり、「どういうこと?」と思ってやきもきしたり、とにかくそれが抜群に面白い。

小説を読みなれている人は1時間程度で読み終えられると思いますが、そのスピード感もいいですね。無駄が一切無い感じがします。


2. 人間の醜さが分かる

登場人物が基本的に全員、なんらかの異常性を抱えています(一番抱えていなかったのが主人公の森口先生)

少年Aは狂ってるし、少年Bもクソ甘ったれているし、少年Bの母親はモンスターペアレント、クラス委員長は中二病、自己顕示欲しかない教師、海外で遊びまくるヤンキー教師、更には虐待する毒親とか、悪気なくイジメに加担するクラスメイトなど…この世の闇をうまく表現しています。

そして全員幸せにならないという、あしたのジョー的なの漫画だったりします。


3. 湊先生の表現

とにかく一刀両断する辺りが素晴らしい。
特に少年Aへの森口先生の怒りが秀逸で「馬鹿ですか?」「馬鹿程理屈をつけたがるのです」とか辛辣。
少年Aから少年Bへの辛辣なdisもなかなか辛いものがあります。


告白の主要キャラクターを語る

映画は見ていないのですが、イメージしやすいように映画のキャラクターを持ってきました。小説に準拠して書いておりますので、映画と違ったら勘弁!

芦田プロ

プロは今回は少年AとBに殺されてしまう可哀そうな役なんですが、しっかりと死体の演技も完璧だったようで・・・


美月ちゃん

この子は途中までは小説の良心的な感じで進んでいくんですが、途中でとんでもないアホ女であることが発覚します。
このバンドがちょっと関係してます。


少年Aと少年B

母親に虐待されたAと、溺愛されたB。どちらも歪んでしまいます。
やはり情緒教育、人格形成に母親の愛は大事なんですね。
MOTHER OF LOVEといったところですね。


ダメ教師

ザ・ダメ教師のウェルテルこと寺田先生です。
僕はこの先生を見て「愛と誠」に出てきた教育実習生をイメージしました。


森口先生

このシーンは実際には小説では無かった絵ですが、とにかく切れまくっている森口先生。まぁそうなるだろうな…という感じです。
とにかく松たか子の演技力ハンパないみたいなんで、ちょっと映画も見たいですね・・・


まとめ

そんな感じで昨日の夜に「告白」を久しぶりに読んだんですが、飽き足らず今日だけで「白ゆき姫殺人事件」と「Nのために」も読んでしまったという笑
あと家に確か「贖罪」と「母性」もあった気がするので、ちょいと探して読みましょう。

湊かなえ先生の小説は面白いです!

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