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#644 アルバム論37|服部 / UNICORN(1989)

何気に結構書いてきたアルバム論、今回はユニコーンの出世作であり代表作である3rdアルバム「服部(はっとり)」を紹介させていただきます。
初々しいデビュー作のBOOM、徐々にカラーがつき始めてきたPANIC ATTACKに続いて、ある種ユニコーンというバンドの初期の集大成とも言われる3rdアルバムが服部という笑
改めてふざけたバンドですね笑


「服部」リリース時のユニコーン

BOOMとPANIC ATTACKで徐々に人気を集めて、この時期に満を持してリリースされた1stシングル「大迷惑」がスマッシュヒットし、ついにユニコーンはブレイク
昔の映像を見て分かりますが、とにかく女性ファンがめっちゃ多いですね。
イエロー・ボイスが飛び交っており、当時の人気が垣間見えます。

そしてこの時期からサポートで入っていた阿部が正式メンバーとして加わり、更に音楽面でもおふざけ面でもパワーアップ。阿部の加入はでかかったですね。

そんな大事な時期にも関わらず、よく分からないタイトルをつけて、全くメンバー関係ないイメージボーイを登用し、アルバムジャケットにするという大胆さ。このギアチェンジが結果として大成功だったのでしょう笑

解散後にリリースされるベストにも最多の5曲を送り込む、正に名盤ですね。


服部 渾身の全曲レビュー

1. ハッタリ

ユニコーンがブレイクしたアルバム服部の1曲目は、まさかのオーケストラで始まります。
ユニコーンの楽曲をメドレーでオーケストラで演奏しているんですが、このアルバムの収録曲も含むので1曲目でネタバレしてしまうという笑
アルバムタイトルの服部をパロった訳ですが、色々な意味で「ハッタリ」になっていて、なかなか深いです笑


2. ジゴロ

オープニングが終わっての2曲目は、まさかの子供が歌っているという舐め腐った曲です笑
子供が「俺はジゴロ 靡いた女は数知れず」的な感じでと歌う、もう一度言いますが本当に舐め腐った曲ですね笑
とにかくやりたい放題です。


3. 服部

そしてここからがこのアルバムが本格的にエンジンが始動していくのですが、このアルバム表題曲でもある「服部」、メチャクチャカッコいいです。
とにかくギターのリフが最初から最後までカッコよく、ユニコーンを代表するハードロックな曲ですね。

そして歌詞に出てくる「服部」は、憂いのダーティー・サーティーと呼ばれる「金持って余裕のあるオッサン」なんです。前作HEY MANの主人公がナオンをNTRされた相手は恐らくこの服部だったと推察されます。
しかし民生もまだ若いのに、何故こんなオッサンサイドの曲を書いたのか謎ですが、この辺の非等身大の歌詞が一蹴周って若者にも愛されたのでしょうね。

とにかく今聞いてもカッコいいですし、トリビュートでグループ魂が歌ってるのもリスペクトが感じられて◎です。


4. おかしな2人

続くはユニコーンを代表する超超超名曲ですね。
ユニコーンのファンブック「チャンカラ」で、ファンからの人気曲ランキングを発表していたのですが、ファン投票1位はこの曲でした。
僕も初めて聞いた時に感動しましたね。

この曲が西川くんの歌詞の真骨頂という感じがしますが、とにかく女性目線でふざけつつも切なく仕上げた最高の歌詞でして、そしてサビまで焦らして、焦らして、焦らして、サビで大爆発という曲。
サビはユニコーン史上でもかなり上位に入るであろう、美しいメロディだったりします。こりゃ人気出るわって曲ですね。

ちなみにこの曲は、ちょっとだけユニコーンのコピーバンドを組んでいた時に練習して合わせたんですけど鬼難しいです。イントロがいきなりレベルが高く、なかなか苦労しましたね・・・


5. ペーター

このペーターはアルプスの少女ハイジから来たのか不明ですが・・・EBIが作った変態ソングですね。
wikiを見るとロシア民謡風なワルツと書いてますが、まぁ分かるような分からないような感じです笑
個人的には虚無感というかを感じさせるこの曲は結構好みなので、この位置にあるのがかなり的確と思っております。


6. パパは金持ち

よく分からない曲ですね笑
タイトルからも伝わりますが、超POPな曲で、クソドラ息子がふざけた歌詞を歌っています。
政治家の息子とか、ビッグモーターの息子とか、そういうダメ2世にスポットを当てて作った曲と言えるでしょう。
サビの「そうパパは金持ち」をEBIの高音ボイスで歌う辺りが最高に気持ちいいですね。


7. 君達は天使

パパは金持ちから繋がっている曲です。
AメロはEBIが歌い、Bメロは民生が歌い、サビはEBIが歌う感じのサンバで、超ゴキゲンでライブで最高に盛り上がる系の曲ですね。
EBIの高音と、民生のダミ声(民生も高音なんですが)のバランスが最高に良く、ペケペケにも通じるんですがこの2人が一緒に歌う曲は基本外れが無いです。


8. 逆光

これは阿部が作った普通にメチャクチャいいバラードです。
民生の声にマッチしていて、もう名曲としか形容ができない曲で、ふざけた曲が多いこのアルバムの中で唯一の良心と言っても良いでしょう笑
サビの「覚えてーーーーーーー」と「すべてがーーーーーーーー」の長音のメロディが美しいのは流石民生です。


9. 珍しく寝覚めの良い木曜日

この曲はこのアルバムで一番印象に残ってないんですが、レゲエですね。
レゲエ過ぎてトリビュートでPUSHIMが歌ってるくらいレゲエですし、原曲が無いのでそのトリビュートのYouTube貼りました。

改めてですが「オーケストラ」「子供の歌」「ヘビーロック」「正統派ロック」「ロシア民謡(ワルツ)」「サンバ」「バラード」と何でもありのアルバムなのを感じさせますね笑


10. デーゲーム

そしてユニコーンの2ndシングルであり、テッシー作の名曲「デーゲーム」ですね。
元々野球アニメの話があり、それ用に作ったようですが採用されなかったようです。まぁインド風な演出が入るのでアニメ向きではない気もしますが…
シングルでは謎に「飛びます飛びます」の坂上二郎さんが歌ってますが、アルバムでは民生が歌っており、普通に名曲ですね。
最後の「ベースボール・ウィークエンド」の部分とか、曲の展開とかは結構好みです。


11. 人生は上々だ

そして初期ユニコーンにはこの曲も外せないでしょう。
ライブで阿部がヴォーカルとして歌い、最高にオーディエンスを沸かせる曲ですね。
歌詞はゲイの友情を描く西川くんと阿部の共作で、中盤からどんどんメロディが転調して高くなり、そこを阿部と民生が声を枯らし(というかほとんど歌えてない笑)盛り上げるという曲ですね。
最後の「いつまでも このまふー」が◎です。

トリビュートで氣志團が歌ってるのも非常に◎です。


12. 抱けるあの娘

前作PANIC ATTACKに収録されている「抱けないあの娘」とは関係性が無いらしく、日本人がアメリカのパツキンのチャンネーを抱きに行くというとにかくふざけた歌詞の曲ですが、メッチャロックンロールでカッコいいです笑


13. 大迷惑

そしてこの曲はユニコーンの1stシングルであり、ユニコーンを代表する曲ですね。この曲はBPM的にパンクロックにカテゴライズされるのかは不明ですが、ライブでは100%盛り上がるゴキゲンな曲ですね。
これまでの人生で何度聞いたか分かりませんが、いつ聞いてもメンバー全員の個性が光り、最高にカッコいいです。

歌詞も若いのによくこんな歌詞書けるなと感心してしまうくらい、「転勤」「単身赴任」を憂う曲で、これをテーマにした曲は恐らく後にも先にもこの曲くらいしか無いでしょう笑

冒頭のスナックをシチュエーションとした「ネエチャン、マイク、マイク!」から好きですね。


14. ミルク

そして最後はピースな曲で終わります。子供に贈る曲ですね。
優しいバラードで、アウトロ的な感じでこの問題作「服部」は終わります。
普通に良い曲です。


まとめ

とにかくそんな感じで全14曲、とにかくジャンルとは何かが分からなくなるくらい、雑食というか、カラフルというか、何とも形容が難しい感じのアルバムですが、全体を通して聞くと本当にカッコいいです。
ライブの始まりから終わりの世界観を感じるコンセプトアルバムのようにも聞こえますね。

そんな感じのユニコーンの出世作の服部でしたが、次回は恐らくもっともユニコーンのアルバムで評価が高いと思われ、個人としても一番好きな名盤「ケダモノの嵐」を紹介します。

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