『美女と野獣』の歌詞の意味がわかった気がしたよ、ママ。

劇団四季の美女と野獣を見てきまして。
控えめに言って、最高でした。
ミュージカル「美女と野獣」は、舞台化された最初のディズニー作品。ニューヨークで初演されたのは1994年だそうです。それから30年間、マイナーチェンジを繰り返しながらも、作品の本質はそのまま、舞浜アンフィシアター版にも受け継がれています。

愛で人は変われる。
デジタルの波に揉まれながら生きる、現代のお若い方々にこそ、見てほしいなって思います。

さて、観劇のレビューもしたいところですが、今日はタイトルの通り、ポット婦人が歌う名曲『美女と野獣』の歌詞について。この曲、すごく歌詞がむずかしい。むずかしいといいますか、わざと、一回聴いただけでは意味が分からないようになっている気がします。

まずはとりあえず訳してみます。
(できるだけストレートに)

Tale as old as time True as it can be
昔からある物語 知る限り真実
Barely even friends Then somebody bends 
友達でさえないのに 何かが(運命を)曲げた 
Unexpectedly
思いがけずに

Just a little change Small to say the least
ほんの少しの変化 控えめに言っても小さい
Both a little scared Neither one prepare
二人は少し怯えていた 準備もできていなかった
Beauty and the Beast
美女も野獣も

Ever just the same Ever a surprise
今ままでもずっと同じ いつも驚かされる
Ever as before And ever just as sure 
ずっと前から変わらずに たしかなこと 
As the sun will rise
太陽が昇るのと同じくらい
 
Tale as old as time Tune as old as song
昔からある物語  歌と同じくらい古い曲
Bittersweet and strange Finding you can change
 ほろ苦くて不思議 人は変われることを知る
Learning you were wrong 
自分が間違っていたのだと気づく 

Certain as the sun  Rising in the east
確かなこと 太陽が東から昇るのと同じように
Tale as old as time Song as old as rhyme
昔からある物語 韻と同じくらい古い歌
Beauty and the Beast
美女と野獣

うん、いい歌です。ほんといい歌。それはわかってます。でも、でもですよ、日本語訳を見ても、正直、よく意味が分からなくないですか。古文書とか石碑に刻まれてる文みたい。韻と同じくらい古い歌?つまり何が言いたいの???みたいな。名曲『美女と野獣』の歌詞の意味を考えてみます。

実はシンプル
考えてみます、と言いつつも、実は考えるまでもなく、めちゃくちゃシンプル。この歌は多分こういうことを言ってるんだと思います。

美女と野獣が惹かれ合うなんて、奇跡のようだけど、そうじゃない。愛は誰にだって芽生える。昔から当たり前のことが、いま二人にも起きただけ。

みたいな感じかなと思います。なんだ、要するに二人は恋に落ちたってこと?なら早くそう言ってよって感じですが、これが芸術じゃないですか。
隣で歌を聞いていたティーカップのチップにはきっと、まだよく分からなかったことでしょう。「あなたも大人になればわかる時が来るわ、さあ、もう食器棚で寝る時間よ」とでも諭すように、ポット婦人はなんとも深く、哲学的な歌詞で歌い上げています。

まず主語がないんですよね。つまり、HeとかSheとかが出てこないんですこの曲。途中に You がありますけどこれは特定の誰かを指す You ではなくて、広い意味の「人」みたいな感じだと思うので、やっぱり抽象的な表現ですよね。何のことを言ってるのかを推察しないとわからないんです。それから、ディズニーのラブソングに必ず出てくるような、慣れ親しんだ英単語、Dream とか Wish とか True とか、そういう言葉が全然使われていません。

そして Love も。

そう、この曲、 Love が意図的に伏せられてるんですよね。その単語を使わずに、愛について説いてるって感じです。チップには分からないように。大人たちだけが気づけるように。

先ほど要約で「美女と野獣が惹かれ合うなんて」とさらりと書いてしまいましたが、本当はそれを出さないのが美というか、芸というか、味わいなんでしょうね。深い歌詞です。

アニメ版も、劇団四季版も、エマワトソン版も、この辺りを絶妙なニュアンスで日本語の歌詞にしています。だから、分かりにくいんです。でもなんだかいい歌詞、素敵な雰囲気のことを言っているのはわかる、感じられる。だから老若男女に支持される名曲なんでしょうね。

というわけで、その辺りの行間と、あとは作品の世界観をふまえて、歌詞の意味がわかるように意訳し直してみました。あくまで、わたしの解釈ですということを注釈させていただきますが

それ=「愛」あるいは「(ベルとビーストが)恋に落ちること」
だと思ってみていただければ、ああそういうことを歌ってたのねと、スッと入ってきやすいかと思います。ではどうぞ。

Beauty and the Beast 
作詞:ハワード
作曲:アラン
解釈:わたし
意訳:わたし

Tale as old as time True as it can be
それは奇跡のようで 当たり前のできこと
Barely even friends Then somebody bends Unexpectedly
 交わるはずない二つの線が 思いがけず重なった

Just a little change Small to say the least
ほんの小さな変化 だけど確かに何かが変わった
Both a little scared Neither one prepare
最初は少し怯えていた こんなにことになるなんて
Beauty and the Beast
二人とも思いもしなかったから

Ever just the same Ever a surprise
それはいつだって同じように 私たちを驚かせる
Ever as before And ever just as sure
ずっと昔から変わらない 陽が昇って沈むのと同じ
As the sun will rise
当たり前のできごと

Tale as old as time Tune as old as song 
それは誰もが知っていること
Bittersweet and strange
強がってみても隠せない
Finding you can change Learning you were wrong
自分の本当の気持ちに 誰も嘘はつけない

Certain as the sun  Rising in the east
陽が昇って沈むのと同じように
Tale as old as time Song as old as rhyme
いつの時代も変わらない それはとても自然なこと
Beauty and the Beast
二人のもとにも今日、それが訪れた


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