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捨てる本をあえて読む。「気がついた時には、火のついたベッドに寝ていた」

今日は早朝よりテニスクラブの仕事をこなしてから出勤しました。そういうこともあって開店直後から眠かった。しかもお客さんがなかなか来ない。眠気に逆らえず寝ていしまいました。いや、逆かもしれません。先に店主が寝てしまい、お客さんが来ても気がつかなかったのかもしれません。

そして今日100円本と50円本を処分しました。店の外で販売していて煤けてしまった本です。残念ですが、売れない本を保管しておく場所は当店にありません。古本屋は読み終わった本にもう一度読んでもらえるチャンスを提供するお店ですが、逆に売れなければ最後の引導を渡す仕事も担います。

そんな中、1冊の本が目に付きました。「気がついた時には、火のついたベッドに寝ていた」という不思議なタイトルの本です。処分するために手に取ったのですが、少し読んでから処分しようと考えが変わり、読んでみたら面白かった。

この本は40の短いエッセイで綴られており、そのどれもが見事な出来栄え。哲学的な語り口ながらも読みやすく、理解しやすい文章です。そして心が暖かくなるエピソードや、くすっと笑えるユーモアを挟み、最終的に読者に思考の時間を勧誘して終わります。

どれも本当によくできていますが、店主のお気に入りは 『ジョン・ピアポントという男』と『ギリシアについて』です。最後の謎解きというか、伏線回収するところに惹かれました。

しかし、よくよく調べてみるとこの本の著者は大ベストセラーの「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」を書かれたロバート・フルガムさんでした。そりゃまあ、いいはずだわ…でも、店主はこちらの「火のついたベッド」の方が好きですね。自分だけの本、という気がしますし。

捨てる予定だった本を読んで面白いと思えるなんて、古本屋はなんて素敵な商売でしょう。ただ単に店主がケチなだけかもしれませんが、それでも偶然の出会いに感謝です。そして最後に本音を書けば、多くの人が振り向かない本を読み、自分の個性を磨き、際立たせることが出来ればなと打算的に思います。



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