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散文とか短編小説とか

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僕の回りくどい手紙のような散文
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記事一覧

『If I must die』──無名のガザ地区北部の詩人

休日の午前、NHKスペシャルを観ていた。 ある無名の詩人の詩『If I must die』にまつわるもの…

卍丸の本棚
10日前
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沈黙の代償、歴史の影と現代の苦悩:平和への道を探して

序論現代のイスラエルとパレスチナの混乱は、シオニストロビー(註釈1)の影響を受けた各国の政…

卍丸の本棚
2か月前
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Questions for my little friends in Gaza ガザのちいさな友人たちへの質問

1. Hamza&Sarah's small projectI asked many questions to my friends from northern Gaza, …

卍丸の本棚
2か月前
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ふたつの世界

はじめにこの投稿へのスキなどはしなくても構いませんので、どうか、「おわりに」だけでも読…

卍丸の本棚
3か月前
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これ以上子どもたちを絶望させないでください

僕はこのアカウントを読書記録としてはじめ、読書好きな方々と繋がりました。 本を読めること…

卍丸の本棚
4か月前
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ガザのこと

 本書の著者である藤原亮司さんは、パレスチナの状況を長年にわたり取材されてこられた日本人…

卍丸の本棚
5か月前
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パレスチナと日本の災害対応:連携する不平等

国内外での平和への訴え先週、金沢市内の交差点で信号待ちをしていた。車窓の外にガザ侵攻反対のプラカードと旗を掲げて静かに意志表示するスタンディングデモの方々が見えた。この平和的なデモは、パレスチナ人が日々直面するイスラエルの抑圧と剥奪の現実を訴えていた。 ガザの封鎖政策2007年以降、イスラエルはガザ地区に対して厳しい封鎖政策を実施してきた。この封鎖は、ハマスがガザで実権を握った後、イスラエルとエジプトによって始められた。具体的な封鎖政策には食料、水、エネルギーなどの生活必需

閑話休題:アベノミクスの功罪 ── 一時的効果とその後の構造課題

アベノミクスの概要と一時的な効果X(旧Twitter)を見ると、トレンドに「アベノミクス」があ…

卍丸の本棚
6か月前
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『非-知』と現代社会の危機

はじめにジョルジョ・バタイユが提唱する「非-知」の概念は、合理性や理性主義に対するラディ…

卍丸の本棚
6か月前
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Harmony in Alexander’s Words: A Triad of Philosophy, Enlightenment, and Science

I strongly believe in the importance of objective reality and clear language. While I en…

卍丸の本棚
7か月前
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対立と調和─思考実験:真空状態と運命の関係性について

要旨本エッセイは、偶発性と不確定性に着目した数理モデルと文学的思索を織り交ぜながら、人間…

卍丸の本棚
7か月前
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人間存在の複雑性 補足

章立て、加筆致しました。 難解で抽象度が高すぎるきらいがあり、一般読者層にはハードルが高…

卍丸の本棚
7か月前
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人間存在の複雑性──バタイユの視点から

0.要旨 『人間存在の複雑性』をテーマに、本エッセイは人間の存在の意味、対立と調和、内面的…

卍丸の本棚
7か月前
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雨が降り

 つめたくもあたたかくもない雨がそぼふる中、ふいに、いつも通る苔の生えかけた階段に目をとめた。僕が赴任した秋からずっとある、階段の所々に溜まった落ち葉の山。それが不思議と気になった。春が来て、夏が来て、また秋になる頃にはすっかり形状を変えるであろう落ち葉。土に戻るには、周りに微生物や小さな生き物がいなきゃいけないし、他の土が多少必要かもしれない。暖かくなれば微生物の活動も活発になるのだろう。ただ朽ちた落ち葉たちのあいだで、生命が蠢いている。それも、僕とは無関係に。もしも僕がこ