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イチ書店員が「町で唯一の本屋」に思うこと

嬉しいニュースです。

北海道・南西部の白老町(しらおいちょう)に、町の本屋「またたび文庫」がオープンしました。同町に本屋ができるのは30年ぶりらしいです(5年前までは文具店が一部書籍を扱っていたとか)。

↑いわく「話題の小説など新刊約800冊を扱い、学術書などの専門書や児童書、実用書の古書も約1000冊置く」とのこと。町で唯一の本屋だから、あらゆるジャンルをひと通り押さえている感じでしょうか。

扱う範囲を絞り、ユニークな品揃えで勝負するセレクト書店はもちろん面白い。ただ最近の私は、より地域密着というか、近隣に住む人々の幅広い要望にある程度応えられる「町の本屋」に関心を抱いています。特に「またたび文庫」みたいな地域住民の期待を一身に背負う小さなお店のあり方に。

大型店がすでに存在するエリアなら、地図や週刊誌やベストセラーを置かず、独自の選書を売りにする本屋が他にあってもいい。むしろ嬉しい。目的に応じて使い分けられるから。でも町にひとつしかないのなら、何でも置いてある総合書店の方がありがたい。イチ本好きとしての私はそう感じます。

ただ「町の本屋」に限った話ではないですが、利益率の低い本の販売だけでやっていくのは厳しいはず。「またたび文庫」も有料の読書室を設け、2階を貸しスペースにしているようです。イベントも随時開催するとか。素晴らしいことだけど「本屋が本を売るだけでやっていけないのが当たり前みたいな現状はどうなんだ?」と考えてしまうのもたしかです。

イベント、カフェ、雑貨。ひとりの客として楽しませてもらっているので否定はしません。必要性もイチ書店員として理解しています。でもできれば本をもっと押し出したい。本に纏わる売り上げだけでお店を維持でき、そのうえでイベント云々という風にしていけたら。

「またたび文庫」いつか買いに行きたいです。

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