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右でも左でもなく、善でも悪でもない一庶民。本を出すことが夢の「流しの書店員」。愛書家&…

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右でも左でもなく、善でも悪でもない一庶民。本を出すことが夢の「流しの書店員」。愛書家&プロレスマニア。スポーツ、音楽、政治等に関するコラムを毎日更新。書評も有。「読む」と「書く」で己と読者を昨日よりも幸せに!https://bookmeter.com/users/49241

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  • 雑文エッセイ日記コラムプロレス諸々

    その名の通りです。

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  • ハードボイルド書店員日記

    ハードボイルドな書店員が綴る、本屋が舞台の掌編小説。いつか紙の本で書籍化したい。毎週日曜日に更新。

  • 赤裸々なブックレビュー

記事一覧

固定された記事

私小説「私が『ハードボイルド書店員』になるまで」前編

20××年3月中旬。休日の午前中。部屋で携帯電話が鳴った。 「○○くん? 店長のYです」「おつかれさまです」「職探しは進んでる?」「ええ、今度×××書店と面接を」「…

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2年前
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ハードボイルド書店員も「マイ・ウェイ」を進む

音楽会っていまでもありますか? 私の通う小学校では、1年おきに学芸会と音楽会を開催していました。 4年生の時に、学年全体で「マイ・ウェイ」を演奏しました。鍵盤ハー…

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20時間前
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世の中は「○○の○○」を単体では認めない

メッツ傘下の3Aシラキュースで制球難による炎上を繰り返し、防御率は二けた。誹謗中傷はダメですけど、335万ドル(約5億3000万円)の年棒をもらってこの数字では、メディア…

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1日前
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ハードボイルド書店員日記【185】

こんなお客さんがいた。 「ここ本なくね?」 大学生らしきふたり組の男性。ビジネス書の棚を眺めながらひとりがつぶやく。もうひとりは「本屋なんてこんなもんだろ」と仁…

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2日前
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「人生初のシェア型書店」で出会った2冊

心地良い空間でした。 直木賞作家・今村翔吾さんが、神保町にオープンしたシェア型書店「ほんまる」です。先日行ってきました。 シェア型書店へ足を踏み入れるのは初めて…

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3日前
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「プロレスの力」はこんなもんじゃない

日本武道館に4583人。 2011年の第1回大会には17000人が集まったので、たしかに3分の1以下です。6団体が参加したオールスター戦にもかかわらず。 しかしこれで「プロレス…

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4日前
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イチ書店員が「町で唯一の本屋」に思うこと

嬉しいニュースです。 北海道・南西部の白老町(しらおいちょう)に、町の本屋「またたび文庫」がオープンしました。同町に本屋ができるのは30年ぶりらしいです(5年前ま…

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5日前
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「1か月を3で割る」&「最終的には○○○○」

沢木耕太郎さんの本が好きです。 営業マン時代、仕事をさぼって飛び込んだ町の本屋で「深夜特急」に出会い、救われたのが最初でした。 同作ではなかったかもしれないけど…

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6日前
28

紅テントで輝いた「誤読の魔術師」

「マジックリアリズム」という言葉をご存知ですか? 私もよくわかっていません。なんとなく「日常と非日常、リアリズムと幻想が当たり前のように共存する世界観」だと捉え…

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7日前
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「なんでもある」「どれでもある」「無形の財産」

伝説は終わらない。 昨年3月に閉店した「八重洲ブックセンター本店」のレガシーを継ぐ「八重洲ブックセンター・グランスタ八重洲店」が6月14日に東京駅構内にオープンしま…

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8日前
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ハードボイルド書店員日記【184】

「すいません、抜けます」 GWの真っ只中。通常よりもやや大きいハヤカワ文庫のカバーを折っていられたのは開店から20分までだった。 「絵本を3か所に配送したい」という…

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9日前
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「連休明けのだるい自分」にオススメの一冊

GWも終盤ですね。 前半に3連休、そして3日間の平日を挟んで4連休。これぐらいがバランス的にちょうどいいかもしれません。 大型連休明けに元のスケジュールへ戻って動く…

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10日前
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「本を売ることに力を入れたい書店員」と「強い新日本プロレスを取り戻したいレスラー」

先日こんな小説を書きました。 本は利益率の低い商材。だから雑貨や文具、催事などで補う必要がある。わかっています。それでも「本屋の売りは本」という考えを捨てたくな…

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11日前
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イチ書店員が9年ぶりに読みたい「青春小説の傑作」

なんと。 昨年6月にコーマック・マッカーシーが亡くなった際も思いましたが、なぜこの方にノーベル文学賞が与えられなかったのか。。。 私がオースターの本を初めて読ん…

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12日前
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「○○の文庫本」と「自分だけの何か」

↓を堪能しました。 具はきくらげとブツ切りの長ネギ。あと納豆を二パック食べて夕ご飯にしました。 どんぶりカップもいいけど、袋麺の方が断然美味く感じます。 ラーメ…

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13日前
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イチ非正規書店員が「第39話」から学んだこと

4月9日はウルトラマンがゼットンに敗北した日。 最終回である第39話「さらばウルトラマン」が、1967年のその日に放送されたようです。 当時の子どもはショックを受けたで…

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2週間前
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固定された記事

私小説「私が『ハードボイルド書店員』になるまで」前編

20××年3月中旬。休日の午前中。部屋で携帯電話が鳴った。 「○○くん? 店長のYです」「おつかれさまです」「職探しは進んでる?」「ええ、今度×××書店と面接を」「ちょっと状況が変わってさ。まだウチで働く気、ある?」「えっ」「雑誌担当がひとり、来月で辞めることになってね。急な話なんだけど、よかったらどうかと思って」「……」 Hさんの顔が頭に浮かんだ。数週間前にいつもの飲み屋で交わした会話も。「俺、また調査役から『雑誌やらない?』って誘われたんだよね」「またですか。もう引き受

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ハードボイルド書店員も「マイ・ウェイ」を進む

音楽会っていまでもありますか? 私の通う小学校では、1年おきに学芸会と音楽会を開催していました。 4年生の時に、学年全体で「マイ・ウェイ」を演奏しました。鍵盤ハーモニカのメロディオンで。ちなみにピアニカとメロディオンはメーカーだけではなく(ピアニカはYAMAHA、メロディオンはSUZUKI)他にも違いがあるみたいです。 おかげで、なんとなく「ミファソ~ファソラソ~」と頭に残っています。いちばん盛り上がる「マーイウェーイ」は「シドレレ~ド~」かな? 間違っていたらスイマセ

世の中は「○○の○○」を単体では認めない

メッツ傘下の3Aシラキュースで制球難による炎上を繰り返し、防御率は二けた。誹謗中傷はダメですけど、335万ドル(約5億3000万円)の年棒をもらってこの数字では、メディアやファンに批判されるのは。。。 ただ、シーズン序盤の藤浪投手は例年良くないイメージ。加えて、日本の二軍よりもはるかに過酷な環境を強いられるマイナーリーグで長期間プレーするのは初めてですよね? 身体のコンディション作りや精神面で、表には出しにくい大変なことが多々あるはず。 と書いていたら、こんなニュースが。

ハードボイルド書店員日記【185】

こんなお客さんがいた。 「ここ本なくね?」 大学生らしきふたり組の男性。ビジネス書の棚を眺めながらひとりがつぶやく。もうひとりは「本屋なんてこんなもんだろ」と仁王立ち。 おそらく十数年前の自分も、周囲の大人にいまの私が彼らに抱いているような印象を与えていた。与えた側は無自覚。でもいつか客観的に振り返り、それと認識するに違いない。思い出し赤面の案件だ。 「すいません」 資格書のエリアで品出しを続ける。棚を眺めていた小柄な方が声を掛けてきた。 「いらっしゃいませ」 「『メ

「人生初のシェア型書店」で出会った2冊

心地良い空間でした。 直木賞作家・今村翔吾さんが、神保町にオープンしたシェア型書店「ほんまる」です。先日行ってきました。 シェア型書店へ足を踏み入れるのは初めての経験。ひとつひとつの棚をじっくり眺めました。 時代小説、純文学、ミステリィ、ビジネス書、歴史書、絵本、料理書、旅行書、写真集、アート関連、コミック……想像していたよりも多様なジャンルの本が置かれていました。版元は大きい会社もあるし初めて見るところも。 本に一家言を持つ人たちの選書だろうから、良くも悪くも尖った

「プロレスの力」はこんなもんじゃない

日本武道館に4583人。 2011年の第1回大会には17000人が集まったので、たしかに3分の1以下です。6団体が参加したオールスター戦にもかかわらず。 しかしこれで「プロレス界に厳しい現実が突きつけられた」と判断するのは違う気がします。 理由はふたつ。 ひとつ目は日程。新日本もノアもDDTも同じ時期に重要な興行を開催していました(参加しなかった全日本プロレスも後楽園大会があった)。チャリティーには協力したい。でも物価高のご時世で交通費を含む安くないお金を払う以上は、

イチ書店員が「町で唯一の本屋」に思うこと

嬉しいニュースです。 北海道・南西部の白老町(しらおいちょう)に、町の本屋「またたび文庫」がオープンしました。同町に本屋ができるのは30年ぶりらしいです(5年前までは文具店が一部書籍を扱っていたとか)。 ↑いわく「話題の小説など新刊約800冊を扱い、学術書などの専門書や児童書、実用書の古書も約1000冊置く」とのこと。町で唯一の本屋だから、あらゆるジャンルをひと通り押さえている感じでしょうか。 扱う範囲を絞り、ユニークな品揃えで勝負するセレクト書店はもちろん面白い。ただ

「1か月を3で割る」&「最終的には○○○○」

沢木耕太郎さんの本が好きです。 営業マン時代、仕事をさぼって飛び込んだ町の本屋で「深夜特急」に出会い、救われたのが最初でした。 同作ではなかったかもしれないけど、彼の書いたこんなニュアンスの文章に共感したことを覚えています。「1か月を3で割り、それぞれを仕事、旅、酒に充てたい」 我が身に置き換えるなら「書店員、物書き、読書&プロレス観戦」でしょうか。安定の低空飛行とはいえ、できてなくもないです。沢木さんはどうだったんだろう? いつか訊ねたい。 ただ、私の場合は「本と文

紅テントで輝いた「誤読の魔術師」

「マジックリアリズム」という言葉をご存知ですか? 私もよくわかっていません。なんとなく「日常と非日常、リアリズムと幻想が当たり前のように共存する世界観」だと捉えています。 ウィキペディアを見ると、日本人作家では安部公房の名が最初に出てきます。 「壁」や「カンガルー・ノート」はそんな感じでした。カフカ的と評されがちだけど、もう少しダリの絵画に近いような。村上春樹だと「ねじまき鳥クロニクル」「海辺のカフカ」辺りを連想します。 唐さんの文学にも近い匂いを感じました。現実へい

「なんでもある」「どれでもある」「無形の財産」

伝説は終わらない。 昨年3月に閉店した「八重洲ブックセンター本店」のレガシーを継ぐ「八重洲ブックセンター・グランスタ八重洲店」が6月14日に東京駅構内にオープンします。 営業時間は10時から21時で、場所はグランスタ八重洲の地下1階とのこと(八重洲地下中央口より徒歩1分)。72坪のワンフロア店のようです。地下1階~地上8階の9フロアに1400坪あった本店とは異なるアプローチで、意外な出会いを提供してくれそう。 大型書店で働きつつ、一冊の棚差しで他店との違いを打ち出したい

ハードボイルド書店員日記【184】

「すいません、抜けます」 GWの真っ只中。通常よりもやや大きいハヤカワ文庫のカバーを折っていられたのは開店から20分までだった。 「絵本を3か所に配送したい」という小柄な老婦人が来た。送料がどれだけかかっても構わない、孫に贈りたいとのこと。遅番が出勤する13時半までは3人しかいない。店長が伝票の作成や梱包のためにカウンターから離れ、残りはふたり。電話がずっと鳴り続けている。 そしていま、客注のお問い合わせを受けてまたひとり。本能寺で明智方の大軍へ弓を引き絞った織田信長の

「連休明けのだるい自分」にオススメの一冊

GWも終盤ですね。 前半に3連休、そして3日間の平日を挟んで4連休。これぐらいがバランス的にちょうどいいかもしれません。 大型連休明けに元のスケジュールへ戻って動くことは、連日稼動し続けるのとは違ったしんどさを伴います。 年中無休の書店で働く身です。しかし営業マン時代は、年末年始に1週間弱のお休みがありました。年明け最初の朝礼で社訓を叫んだら声がガラガラ。驚きました。毎日やっている時は平気だったのに数日休んだだけでこうなるのかと。 かつてメジャーリーグでリリーフ投手と

「本を売ることに力を入れたい書店員」と「強い新日本プロレスを取り戻したいレスラー」

先日こんな小説を書きました。 本は利益率の低い商材。だから雑貨や文具、催事などで補う必要がある。わかっています。それでも「本屋の売りは本」という考えを捨てたくない。そんな熱を込めた掌編です。 本屋の売りが本なら、新日本プロレスのそれはプロレスです。にもかかわらず、広島大会でおこなわれたKOPW争奪戦は3ラウンド制で、1ラウンド目はマツダ車のタイヤをリング上で4つ積み上げた方が勝利。2ラウンド目は広島レモンの早食い対決でした。 そういう試合があってもいい。生真面目な闘いば

イチ書店員が9年ぶりに読みたい「青春小説の傑作」

なんと。 昨年6月にコーマック・マッカーシーが亡くなった際も思いましたが、なぜこの方にノーベル文学賞が与えられなかったのか。。。 私がオースターの本を初めて読んだのは2015年。↓です。 ひとりの若者が人生に絶望して街を彷徨い、やがて師となる存在に出会う。住み込みで働き、奇妙な暮らしを続けるなかで、彼は少しずつ成熟を遂げていく。青春小説の傑作です。 当時、まさに人生に絶望しかかっていました。長年勤めていた書店がなくなると決まっていたからです。 いい機会だし、失業手当

「○○の文庫本」と「自分だけの何か」

↓を堪能しました。 具はきくらげとブツ切りの長ネギ。あと納豆を二パック食べて夕ご飯にしました。 どんぶりカップもいいけど、袋麺の方が断然美味く感じます。 ラーメン屋へ入る際は、高確率で味噌を頼みます。しかしサッポロ一番では断然塩派。醤油や味噌も食べますが、結局は塩へ戻ってきます。 味に惹かれているのは間違いない。でも味噌や醤油も大好きなのです。なぜ塩に執着するのか。そもそも多くの即席麺が世に出ているのに、なぜサッポロ一番ばかり選んでしまうのか。 本屋でたとえるなら、

イチ非正規書店員が「第39話」から学んだこと

4月9日はウルトラマンがゼットンに敗北した日。 最終回である第39話「さらばウルトラマン」が、1967年のその日に放送されたようです。 当時の子どもはショックを受けたでしょう。 ちなみに私が第39話を見て真っ先に思ったのは「ゼットンの光線を食らってうつ伏せに倒れたウルトラマンがなぜ仰向けに寝ているの?」です。負けると知っていたので、どうやられるかにドキドキしました。 知人に昭和ウルトラシリーズのマニアがいます。「ゼットン星人が断末魔に残した言葉を『ゼットン』と聞き取れ