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図書室の思い出

積読消化のためにシリーズものの新刊以外は買うのを控えていましたが、結局フラストレーションが溜まり先日まとめ買いしてしまったお馬鹿さんがここにおります(笑)。
その中の1冊がこちら。

星川駒子は県立高校の図書館に勤める学校司書だ。たまたま居合わせた出入りの書店員・針谷敬斗と共に、生徒が巻き込まれた事件の解決に一役買う。
そんな二人のもとには、ディスプレイ荒らしや小口ずらり事件など、図書館や本にまつわる謎が次々と持ち込まれる!?
学校図書館を舞台にすべての本好きに贈る、心あたたまるミステリー。

Amazon商品ページより

元書店員で、書店を舞台にした成風堂書店事件メモシリーズや出版社の営業マンが主人公のシリーズ、移動図書館の本バスめぐりんシリーズなど、本にまつわる日常の謎を多く書かれている著者による、学校図書館を舞台にした作品。
連作短編で読みやすく、知っている本などが出てきたりととっても楽しい1冊でした。
子供達に図書室を利用してもらいたい、本に興味を持ってもらいたいと頑張る駒子の姿や、高校生らしい生徒たちのあれこれ、そして洞察力に優れた書店員の針谷とキャラクターも立っていて、こういう図書室が学校にあったら楽しかっただろうなあ、なんて思いました。
図書室や図書館を舞台にした作品も好きで、よく読むのですが、学校の図書室が舞台になっていると自分が通っていた学校の図書室を思い出しますね。
私が行っていた小学校は音楽室の下にあって、音楽室と音楽準備室を合わせた広さの教室をそのまま図書室にしていたので、まずまずの広さじゃないかと思います。蔵書数もなかなかでした。
中学はもう小部屋に申し訳程度の書架という貧弱なものでしたが、高校は1教室ぐらいの広さはあったので、小学校ほどじゃないけど、まあまあ、という感じで。
でも司書教諭の配属まではなくて、小学校は図書委員の担当の先生が、中学高校は国語の先生が担当、という感じでした。
ちなみに小中高と全部図書委員はやりました(笑)。
高校の図書室担当の現国の先生は、姉もお世話になった先生で、年配の穏やかな男の先生でした。昼休みや放課後、図書当番で図書室に行き、先生と本の話をするのが楽しかったんですが、テスト前に借りようとするとちょいちょい怒られましたねえ。
そんな楽しい高校の図書室ライフですが、月1でおねだりの日がありました(笑)。きっかけはもうなんだったか忘れたんですが、先生に最近ので面白い本はないか、おすすめはないか、と聞かれることもあって、それに新聞の書評や広告で見て気になっている本や新刊で買って読んだ本のことを話していたんですが、それを購入して図書室に置いてくれることがなんどかあったんですよね。高校生にとってはハードカバーはそう何冊も買えるものじゃないですから、これはありがたいと味をしめて、せんせー、次これ買ってー、というおねだりを購入図書選定の時期にするようになってしまいました。
今思うと本当に図々しいんですが💦笑って聞いてくれていた先生に感謝です。
しかも何冊かは実際買ってくださったし。
柳田邦男の『犠牲(サクリファイス)わが息子・脳死の11日』や灰谷健次郎の『天の瞳』シリーズ、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』、瀬戸内寂聴の『愛死』etc.けっこう買ってもらいました。
『天の瞳』に至っては、納入の日を教えてもらってその日に借りに行っていたんですが、ある時体育の先生が先に借りちゃって全然返ってこないから、図書の先生に頼んで一日で読み終わって返すから一回返して先に読ませて欲しいと伝えてもらっちゃいました。図々しさ極まれり。
懐の深い先生方に感謝しないといけませんね。
そんな懐かしい気持ちになる反面、やっぱり小説にするからには熱心な先生という設定が多いので羨ましくなったりする学校の図書室が舞台の小説がやっぱり好きです。
テーマで展示をしたり、ビブリオバトルや読書会、楽しそうですねえ。といいつつ、大人になった今でも読書会やビブリオバトルって参加したことないんですけど💦
今回の本も面白かったですが、他にも色々あります。

バツイチになったのを機に、資格を持たない“なんちゃって司書”として高校の図書室で働きはじめた詩織。慣れない仕事に戸惑うものの、生徒たちと本の橋渡しをしたり、謎めいた本の来歴を調べたりするうちに、次第に学校司書の仕事にやりがいを覚えるようになる。―自分の道を歩きはじめる女性と、読書を通して世界を広げていく高校生たちの姿が爽やかな感動を呼ぶ、ハートフルブックストーリー。

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こちらは新米司書の詩織の成長と生徒たちのまっすぐさが面白いシリーズです。図書委員たちが積極的ですごくいいですね。2作目に出てくる小沢健二の『うさぎ!』を巡る議論なんかは白熱していて読んでいて本当に楽しい。うまい具合に絡んでくる図書室担当の英語教師のキャラもいいです。3作目なんかは本を読んで旅に出ちゃう男の子もいて、思春期だなあ、青春だなあ、なんて思っちゃいます。

そして書店ガールシリーズの最終巻、かつてアルバイトとして新興堂書店に勤めていた愛奈が司書教諭になって奮闘するお話が入っています。

ビブリオバトルを企画して開催するまでの熱さがいいです。チョイスされた本もバラエティに富んでいて、読んでて楽しくなります。こういう本の楽しいところって、実際に出版されている本が出てくるところですよね。あー、これ読んだ!とか、なにこれ面白そうとか思ったりして。

そして図書室がある種逃げ場になっていて、子供達の救いになるこちらの本も素敵です。

“物語”との出逢いで変わりゆく少女たちを繊細に描く6つの連作短編集。

図書委員のあおいは、苦手な同級生を図書室で見かけた。本に興味がないはずの彼女の姿に疑問を抱き──(「その背に指を伸ばして」)。本が嫌いなあかねは、読書感想文の課題にゲンナリ。そこへ偶然、クラスメイトが捨てた下書きを見つけて──(「やさしいわたしの綴りかた」)。本を開くたび、窮屈な世界が少しずつ拓かれていく。中学校の図書室を舞台に、6人の少女たちを繊細に描く連作短編集。

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連作短編なんですが、叙述トリックがあるので結末にまたじんわり感動しちゃう1冊です。
本を読む子、読まない子。色んな生徒がいますが、図書室って1人で静かにしていられる場所ですからね、休み時間や放課後、息苦しい思いをしている子たちには少しホッとできる場所なのかもしれません。

懐かしくなったり羨ましくなったり、図書室を舞台にした作品はやっぱり好きです。図書館や書店が舞台の作品ももちろん好きなんですが、図書室だとぐっと自分の体験に引き付けて読めますよね。
さて皆様は図書室の思い出というとなんでしょうか?

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