Fnac France Inter BD賞2024が発表されました!
2024年1月12日にフランスのFnac France Inter BD賞(Prix de la BD FNAC FRANCE INTER)2024が発表されました!
フランスの大手書店フナックと、ラジオ情報局フランス・アンテールが主催するバンド・デシネの賞です!
2024年で6回目となるこちらのマンガ賞。
2023年10月にノミネート20作品が発表され、12月に決定された最終ノミネート5作品の中から、2024年1月12日にグランプリが選ばれました!
2023年の受賞作品については以下の記事をご覧ください。
2024年はどんな作品が選ばれたのか見ていきます!
Youtubeライブでも詳しく紹介しているので、こちらもどうぞご覧ください!
ノミネート作品
『Adieu Birkenau』(さよならビルケナウ)
作:Ginette Kolinka(ジネット・コリンカ)、Jean-David Morvan(ジャン=デヴィッド・モルヴァン)、Victor Matet(ヴィクトル・マトゥ)、画:Cesc(セス)、Ricard Efa(リカール・エファ)、彩色:Roger Sole(ロジュ・ソル)、発行:Albin Michel
1944年4月、19歳のジネット・コリンカはアウシュヴィッツ第2強制収容所(ビルケナウ)に移送された。70年の時を経て2020年10月、95歳になったジネットはジャン=ダヴィッド・モルヴァンとヴィクトル・マトゥを連れてポーランドを旅する。「墓場」への最初で最後の訪問を綴るバンド・デシネ。
『Brume Tome 01 : Le Réveil du dragon』(ブルーム1巻 ドラゴンの目覚め)
作:Jérôme Pélissier(ジェローム・ペリシエ)、画:Carine Hinder(カリーヌ・インデル)、発行:Glénat
イタズラ好きな女の子ブルームの夢は魔女になること。魔女の店を開いたブルームは子豚ユベールを助手として雇い、彼女の店を手伝ってくれる男の子ユーゴと友達になる。ブルームとユベール、ユーゴの冒険3部作の開幕。
ACBD批評グランプリの子ども向け部門2024ノミネート。アングレーム国際漫画祭2024子ども向け部門ノミネート作品。
『Chumbo』(チュンボ)
作:Matthias Lehmann(マティアス・レーマン)、発行:Casterman
作者の家族の歴史にインスピレーションを得て1930年代から2003年までの20世紀のブラジルの近代史が浮き彫りにされる。「チュンボ」とは「鉛」を意味し、ブラジルでは1968年から1978年までの軍事独裁政権時代を「鉛の年」と呼ばれる。裕福で鉱山を経営する族長の二人の息子セベリーノのラミレス。セベリーノは左派に傾倒しジャーナリストになり、次男のラミレスは軍事政権を支持する。ブラジルの風刺画や広告などを描いた独創的なビジュアルを織り交ぜつつ、正反対の道を進む兄弟の人生を描く。
ACBD批評グランプリ2024最終ノミネート。アングレーム国際漫画祭2024公式セレクション。
『Contrition』(懺悔)
作:Keko(ケコ)、Carlos Portela(カルロス・ポルテラ)、発行:Denoël Graphic(原書:スペイン語)
フロリダ州の法律では、性犯罪で有罪判決を受けた者が、子どもの活動エリアから300フィート以内に住むことを禁じている。”懺悔村”は、刑期を終えた性犯罪者が監視下のもと集められている。ある時、住民の一人が焼身自殺し、記者のマーシアはその奇怪な死の調査を始める。
ACBD批評グランプリ2024ノミネート。アングレーム国際漫画祭2024SNCF乗客ミステリー賞ノミネート。ACBD - Les indispensables de l’été 2023(ACBD夏の必読10選)にも選出。
『Environnement toxique』(原題Ducks: Two Years in the Oil Sands)
作:Kate Beaton(ケイト・ビートン)、発行:Casterman(原書・英語)
学生ローンを返済するためにカナダ・アルバータ州のオイルラッシュに便乗して西に向かう。オイルランドでの厳しい生活、カナダの知られざる面を描く。インターブックス社から邦訳の刊行も予定。
アイズナー賞2023Best Graphic Memoir、Best Writer/Artist受賞。ハーベイ賞2023Book of the Year受賞。ACBD批評グランプリ2024最終ノミネート。
『Frontier : explore-expano-escape』(フロンティア:探索・展開・脱出)
作:Guillaume Singelin(ギヨーム・サンジュラン)、発行:Rue de Sèvres – Label 619
地球の資源が枯渇し、人類は太陽系の惑星の彼方「フロンティア」に向けて旅立つ。新時代のゴールドラッシュに、未知のものに情熱を注ぐ科学者ジス、気性の荒い陽気な傭兵カミナ、地球を知らない炭鉱夫のアレックスの3人の運命が交じり合う。3人の波乱万丈な冒険物語。
ACBD批評グランプリ2024最終ノミネート。アングレーム国際漫画祭2024エコ賞ノミネート。ACBD - Les indispensables de l’été 2023(ACBD夏の必読10選)にも選出。
『Je suis leur silence』(私は彼らの沈黙)
作:Jordi Lafebre(ジョルディ・ラフェーブル)、発行:Dargaud
若くて優秀な精神科医エヴァは、患者の一人から祖母の遺言の読み上げの立会人になってほしいと頼まれスペイン・カタルーニャにあるワイン農園を訪れる。しかしそこで殺人事件に巻き込まれ…。『最高の夏休み』のジョルディ・ラフェーブルがおくるユーモアたっぷりのスリラー。
ACBD批評グランプリ2024最終ノミネート。アングレーム国際漫画祭2024SNCF乗客ミステリー賞ノミネート。
『L'Ombre des Lumières T01 : L'Ennemi du genre humain』(啓蒙の影1巻 人類の敵)
作:Alain Ayroles(アラン・エイロル)、画:Richard Guérineau(リシャール・ゲリノー)、発行:Delcourt
秘書に秘密の引き出しから発見されたサン・ソヴァール騎士団の書簡には、ある悪人の恐るべき人物像が書かれていた。18世紀を舞台に、ラクロワの『危険な関係』の書簡体小説の伝統を受け継ぎ、手紙を通じて悪名高き自由奔放な人物の暴挙と絶え間ない不運を暴露する。
シナリオのアラン・エイロルは、『ブラックサッド』のフアンホ・ガルニドとスペイン黄金時代を舞台にした『Les Indes fourbes』を手掛けた作家。
『La Brute et le Divin』(野獣と神)
作:Léonard Chemineau(レオノール・シェミノー)、発行:Rue De Sevres
大企業のエンジニアであるエヴァは、南太平洋の真ん中にある小さな無人島で気象観測所の修理をすることになる。唯一の相棒である愛犬のピュースと自給自足の生活を余儀なくされる彼女は、豊かな自然に満ちた島で息を飲むような美しい場所を発見する。日々の仕事をするだけでなく、周囲の環境を調査し隅々まで探検しはじめた彼女は、これまでの人生にさまざまな疑問を感じ始める。
『La femme à l’étoile』(星を持つ女)
作:Anthony Pastor(アンソニー・パストール)、発行:Casterman
19世紀後半、アメリカ北西部。雪に閉ざされた廃村で、隠れ家を探していた二人の逃亡者が出会う。お互いに重い過去を持つ二人は最初は敵意と不信感でいっぱいだったが、彼らを捉えに来た保安官から逃れるために共闘する。愛と救いを求めるバイオレンスな西部劇。
ACBD批評グランプリ2024ノミネート。ACBD - Les indispensables de l’été 2023(ACBD夏の必読10選)にも選出。
『La Marche Brume Tome 1 : Le Souffle des choses』(霧の行進1巻:ものの息吹)
作:Stéphane Fert(ステファヌ・フェル)、発行:Dargaud
人間たちは暗い森や古い迷信、女神や巨人、悪魔を信じなくなり、森を燃やし、大地を汚染していった。そんなある日、霧が世界を覆い、混乱が巻き起こる。小鬼のテンペランスは、強い魔女のグリゼットに命を救われ、魔女の村で育てられる。しかし霧が魔女の村の近くにまで押し寄せ、テンペランスの冒険が始まる。
『Le Nom de la Rose Tome 1』(薔薇の名前1巻)
原作:Umberto Eco(ウンベルト・エーコ)、作:Milo Manara(ミロ・マナラ)、発行:Glénat
1327年、イタリア北部のベネディクト会修道院で数人の修道士が死体で発見された。その謎の秘密は迷宮の図書館にある。映画化もされたウンベルト・エーコの傑作長編歴史ミステリー『薔薇の名前』を、イタリアの巨匠で、『ガリバリアーナ』の邦訳があるミロ・マナラがコミカライズ。ウンベルト・エーコ自身が読者に語り掛ける現代パート、物語のメインである中世のパート、本の中のパートと3つのパートに分けてグラフィックも工夫されている。
『Les vies de Charlie』(シャルルの人生)
作:Kid Toussaint(キッド・トゥーサン)、画:Aurélie Guarino(オーレリー・グアリーノ)、発行:Dupuis
大都会で好青年のシャルルは、死者をリサイクルするリサイクル&テルネル社で働いており、愛する家族がどのように変身するのかを知りたい遺族への電話対応に追われていた。ある日、母親の魂がどうなったのかを尋ねる子どもの電話を受け、答えることができなかったシャルルは調査を開始する。『テーレマコス』のキッド・トゥーサンによる死、死後の世界、時を超えた愛についての繊細な寓話。
『Victor Hugo Notre-Dame de Paris』(ヴィクトル・ユゴー ノートル=ダム・ド・パリ)
作:Georges Bess(ジョルジュ・ベス)、Pia Bess(ピア・ベス)、発行:Glénat
15世紀のパリ、美しいジプシーの娘エスメラルダに心を奪われたノートル=ダム大聖堂の副司教クロードは醜い鐘つき男カジモドに誘拐させようとするが…。フランス・ロマン主義を代表するヴィクトル・ユゴーの代表作『ノートル=ダム・ド・パリ』のコミカライズ。作者のジョルジュ・ベスは、これまでブラム・ストーカーの『ドラキュラ』、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』などのコミカライズを手掛けている。
『Shiki』(四季)
作:Rosalie Stroesser(ロザリー・ストレッサー)、発行:Rivages
70年代のマンガを愛するフランス人ロザリーは2015年10月、日本にやってきた。季節が過ぎるにつれて、理想と思っていた日本への見方が変わっていく。非常に家父長制的な日本社会で女性として傷を受けながらも、それでも彼女はこの国に惹かれ続ける。
最終ノミネート作品
『Ceux qui me touchent』(私に触れる人たち)
作:Damien Marie(ダミアン・マリー)、Laurent Bonneau(ローラン・ボノー)、発行:Bamboo – Grand Angle
5歳の娘を寝かしつけるのに絵本がなかったためファビアンは彼女と素晴らしい物語を創作する。そのことが自分の人生を変える兆候になるとは思わずに…。40歳の青年と娘の交流を通して、ものの見方が変わるような現代的で親密な物語。
ACBD批評グランプリ2024ノミネート。
『Femme vie liberté』(女性、命、自由)
編集長:Marjane Satrapi(マルジャン・サトラピ)、発行:L’Iconoclaste
https://www.placedeslibraires.fr/livre/9782378803780-femme-vie-liberte-marjane-satrapi/
2022年9月、イランでヒジャブを適切に着用しなかったという理由でマーサ・アミニさんが逮捕され拘留中に亡くなった。この事件をきっかけに全世界で前例のないフェミニスト運動が起きた。この作品は、『ペルセポリス』のマルジャン・サトラピを編集長に、3人の専門家(政治学者のFarid Vahid(ファリド・ヴァヒド)、ジャーナリストのJean-Pierre Perrin(ジャン=ピエール・ペラン)、歴史学者のAbbas Milani(アッバス・ミラニ))を迎え、ジョアン・スファールやパスカル・ラバテ、パコ・ロカなど17人の漫画家がイランの女性の権利をテーマに描くアンソロジー。
以下の記事もご覧ください。
『Le grand incident』(大きな小事件)
作:Zelba(ゼルバ)、発行:Futuropolis
ルーヴル美術館BDプロジェクト。ルーヴル美術館では第二次世界大戦以来の前例のない美術館閉鎖の危機にあった。というのも彫刻、絵画など芸術作品に登場する裸の女性が、日常的な訪問者の視線に耐えきれなくなり、ボイコットしようとしているから。館長は美術館閉鎖という重大な決意を固めなければならなかったが、その解決策は30年間清掃員として働いていたテレサによってもたらされる。芸術の歴史における女性の身体性、特にヌードを批判的に考察するファンタジックな物語。美術館で働いている人々への賛辞でもある。
『The Nice House On The Lake T1』(湖畔の素敵な邸宅1巻)
作:James Tynion IV(ジェームズ・タイニオン4世)、Martinez Alvaro(マルティネス・アルヴァロ)、発行:Urban Comics(原書:英語)
みんなウォルターの知り合いだった。子どものときの知り合いもいれば、数か月前に会った人もいる。そしてウォルターは少し…変だった。ウォルターの家に招かれた招待客。先の読めない現代ホラー。
アイズナー賞2022Best New Series受賞。ACBD批評グランプリ2024ノミネート。ACBD - Les indispensables de l’été 2023(ACBD夏の必読10選)にも選出。2巻がアングレーム国際漫画祭2024公式セレクション。
グランプリ
『Les guerres de lucas』(ルーカス・ウォーズ)
作:Laurent Hopman(ローラン・オプマン)、Renaud Roche(ルノー・ロシュ)、発行:Deman
スター・ウォーズをこよなく愛するジャーナリストのローラン・オプマンとアニメーターのルノー・ロシュが、ジョージ・ルーカスの人生と「スター・ウォーズ」制作にまつわる舞台裏を描いた一大叙事詩。
この作品は、時事・ルポルタージュマンガを表彰する第30回フランスアンフォ賞(Prix franceinfo de la bande dessinée d’actualité et de reportage)でもグランプリを獲得。
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ACBD批評グランプリのノミネートやアングレーム国際漫画祭公式セレクションに選ばれているフランスで評価の高い作品もあれば、子ども向けの作品もあったり、バラエティ豊かなラインナップですね。
気になる作品があればぜひ読んでみてください!
参考資料
▼過去のFnac France Inter BD賞受賞作
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