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フランスACBDがオススメする「2023年夏の必読10選:夏だ!このBDを読め!」

あっという間に2023年も半分以上が過ぎてしまいました…!
この間、年が明けたと思ったのに…。
毎年、時の流れの速さに愕然とします…!

夏、といえば毎年お楽しみなのがフランスのACBD(バンド・デシネの批評家とジャーナリストの協会)が発表するLes 10 indispensables de l’été 2023 « C’est l’été : lisez des BD ! »」(2023年夏の必読10冊:夏だ!このBDを読め!)です。

あれ…今年は« C’est l’été : lisez des BD ! »という言葉が追加されている…。フリースタイルの「このマンガを読め!」みたいですね。

という前振りはさておき、このセレクションは、2022年11月1日から2023年6月5日までに刊行されたバンド・デシネからACBDのメンバー95人が選びに選んだ10冊です。

今回の記事ではどんな作品が選ばれたのかをご紹介します。

Youtubeライブでも詳しくご紹介していますのでこちらもご覧ください!


1629, ou l'effrayante histoire des naufragés du Jakarta T1

(1629年あるいはジャカルタの難破船の恐ろしい物語 第1巻)
作:Xavier Dorison(グザビエ・ドリソン)、画:Thimothée Montaigne (ティモシー・モンテーニュ) 、発行:Glénat

オランダからインドネシアのジャカルタに向けて出航した難破した帆船ジャカルタ号。実話に基づいた、反乱や虐殺、生存をかけた帆船に乗り込んだ人々の心理スリラー。

Fnac France Inter BD賞(Prix de la BD FNAC FRANCE INTER)2023ノミネート作品。

Une aventure des Schtroumpfs d’après Peyo T1 | Qui est ce Schtroumpf ?

(ペヨによるスマーフの冒険 第1巻 スマーフは誰?)
作:Tebo(テボ)、発行:Le Lombard

以前、邦訳もいくつか出ていたペヨの「スマーフ物語」。作者テボを迎えて新しいスマーフが帰ってきた。

Contrition

(懺悔)
作:Keko(ケコ)、Carlos Portela(カルロス・ポルテラ)、翻訳:Alexandra Carrasco(アレクサンドラ・カラスコ)(原書:スペイン語)、発行:Denoël Graphic

フロリダ州の法律では、性犯罪で有罪判決を受けた者が、子どもたちが勉強したり遊んだりする場所から300フィート以内に住むことを禁じている。州内には”懺悔村(Contrition Village)”と呼ばれる地域があり、刑期を終えた小児性愛、強姦、ストーキングの性犯罪者が監視下のもと集められている。ある時、住民の一人が焼身自殺した。その奇怪な死について地元新聞の記者をしているマーシアは調査を始める。
実在する村をモデルにしたサイコスリラー。性犯罪者を社会復帰させるのではなく隔離排除する社会へ疑問を投げかける。

La Femme à l’étoile

(星を持つ女)
作:Anthony Pastor(アンソニー・パストール)、発行:Casterman

19世紀後半、アメリカ北西部。雪に閉ざされた廃村に、隠れ家を探していた二人の逃亡者が出会う。お互いに重い過去を持つ二人は最初は敵意と不信感でいっぱいだったが、彼らを捉えに来た保安官から逃れるために共闘する。愛と救いを求めるバイオレンスな西部劇。

Frontier : explore-expand-escape

(フロンティア:探索・展開・脱出)
作:Guillaume Singelin(ギヨーム・サンジュラン)、発行:Rue de Sèvres-Label 619

地球の資源が枯渇し、人類は太陽系の惑星の彼方「フロンティア」に向けて旅立つ。新時代のゴールドラッシュに、未知のものに情熱を注ぐ科学者ジス、気性の荒い陽気な傭兵カミナ、地球を知らない炭鉱夫のアレックスの3人の運命が交じり合う。3人の波乱万丈な冒険物語。

PTSDのギヨーム・サンジュランさんのLabel619から出た新作です!
今回の10冊のうち唯一私が持っている作品ですね。
けっこうなボリュームがあるのでゆっくり楽しみたいと思います。

Gone with the Wind

(風と共に去りぬ)
作:Pierre Alary(ピエール・アラリー)、発行:Rue de Sèvres

マーガレット・ミッチェル原作、ヴィヴィアン・リー主演映画でもおなじみの『風と共に去りぬ』のコミカライズ。
19世紀後半、アメリカ南部、裕福な家に生まれた少女スカーレット・オハラ。美青年アシュリーに思いを寄せるスカーレットの前に魅惑的なレット・バトラーが現れる。南北戦争を背景にスカーレットの半生を描く。

Musée

(美術館)
作:Christophe Chabouté(クリストフ・シャブテ)、発行:Vents d’Ouest/Musée d’Orsay

ひとりぼっちのクリストフ・シャブテによるオルセー美術館をテーマにした白黒のロマン・グラフィック。オルセー美術館の閉館後の夜、絵画や彫刻は、ポーズや台座から解き放たれて自由に振る舞う。そして昼には、美術を鑑賞しにくる来訪者を逆に「鑑賞」しているかもしれない…。

The Nice House On The Lake T1

(湖畔の素敵な邸宅 第1巻)
画:Martinez Alvaro Bueno(マルティネス・アルヴァロ・ブエノ)、作:James Tynion IV(ジェームス・タイニオン4世)、翻訳:Maxime le Dain(マキシム・ル・ダン)(原書:英語)、発行:Urban Comics

みんなウォルターの知り合いだった。子どものときの知り合いもいれば、数か月前に会った人もいる。そしてウォルターは少し…変だった。ウォルターの家に招かれた招待客。アイズナー賞2022Best New Seriesも受賞した現代ホラー。

Océan express

(オーシャン・エクスプレス)
作:François Ayroles(フランソワ・アイロル)、発行:L’Association

アデルとジュリアンは駅でぶつかり、互いの荷物を間違えてしまう。そのまま列車に乗って目的地に到着して初めて、自分の荷物が入れ替わっていることに気づく。他人の荷物を手にしながら、自分の滞在を楽しもうとするが。構成が凝っていて、左ページにアデル、右ページにジュリアンの冒険が描かれる。

La Petite Lumière

(小さな光)
作:Grégory Panaccione(グレゴリー・パナッチョーネ)、発行:Delcourt

イタリアの作家アントニオ・モレスコ(Antonio Moresco)の同名小説をコミカライズ。「私は姿を消すためにここに来た」という書き出しで始まる。山の中の廃村で隠遁生活をしている年老いた男は、山の中で小さな光を見かける。村人に聞いても誰も知らない。男がその光の源を探しに行く。

以上の10冊でした!
歴史ものあり、西部劇あり、ホラーあり、SFあり、社会派作品あり、文芸コミカライズあり…となかなかに多彩な作品が選ばれていてとても興味深い!
バンド・デシネの幅広さを感じさせるラインナップですね!
ぜひこの夏の読書に、バンド・デシネをどうぞ!


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