水瀬 文祐

小説の創作をしています。 創作ジャンルは特に問わず。ただしエンタメ寄り。職人のように小…

水瀬 文祐

小説の創作をしています。 創作ジャンルは特に問わず。ただしエンタメ寄り。職人のように小説を書いていきたいと考えています。 好きな作家は恒川光太郎、連城三紀彦、ポール・オースター等。

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写真小説家~歌姫の断片~

■あらすじ写真を撮るように、目の前の景色や出来事を書き記す「写真小説家」。それを生業とする私は、依頼人から依頼を受けて、様々な出来事を書き記そうとする。不思議な…

水瀬 文祐
2か月前
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麻薬読書者

 男は後ろをやけに気にしながら歩き、ある小路の入り口に立つと、殊更に警戒心を剝き出しにし、周囲を窺って見ている者がいないことを確かめて小路に入り込んだ。  うら…

水瀬 文祐
13時間前
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金色の霊獣~碧天の巫女外伝~

■前回のお話はこちら■本編 精霊の森のさらに奥にある霊峰、ストラ山。山の民の初代酋長の名を戴くその険しい山道の途上に、少年はあった。 「兄者、置いてくぞ」  少年…

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マガジンに追加していただいた作品について

■マガジン追加していただいたnoter様うちらぶ様の「お気に入り・おすすめ記事」に「波間に揺れる」を追加していただきました。 うちらぶ様、ありがとうございます。 ■…

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スパイ・オア・ストーリーテラー

 病室の窓から外を眺める。青空に無数の魚影のような雲が泳いでいる。  午後のロードショーを見終えて、余韻に浸りながら缶コーヒーを飲んで一息つく。 「ああ、水瀬さん…

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空色のダイヤモンド

 世界には空に穴の空く場所があって、その穴の中には空色をしたダイヤモンドが眠っている。  だからおれはそのダイヤを掘りに行かねばならない。  あなたはそう言ってこ…

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波間に揺れる

 波打ち際に貝殻が転がっていた。押し寄せては引く波に弄ばれ、ころころ、ころころと転がった。  僕は裸足のつま先でそれに触れると、波に逆らうように転がしてやった。 …

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乙女と間の抜けた男、それから石板(読書記録16)

■男は叡智の図書館に、私は病院に今回読書記録を残しますのは、多崎礼著:「叡智の図書館と十の謎」、です。 ちなみに本日5月12日より私は病院に入院することと相成りま…

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イステリトアの空(第5話)

■これまでのお話はこちら 殺すのも、殺されるのも怖い。だが、と春洋は弟がかつてしていた話を思い出す。弟の秋継は不思議な夢ともつかない白昼夢のようなものを垣間見る…

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白露に映るものは

 顧問の黒田しづねが文芸部の部室を覗き込むと、鷺橋美織だけがいて、彼女は机や椅子を雑巾で拭いていた。 「なんだ、鷺橋さん、一人なの」  ああ、黒田先生。と美織は額…

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イステリトアの空(第4話)

■これまでのお話はこちら■本編 その夜も犠牲者が出た。殺されたのは道場主で小学校の教師である山吹と、一緒に巡回していた二人の門下生だった。  山吹はさすが兵法家…

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四姉妹の話~赤(ルージュ)~

 その家を選んだのはほんの偶然だった。  私はけちな空き巣だ。かといって、元々盗みで生計をたてていたわけではない。以前は画家をしていて、描けばそれなりの額で絵が…

水瀬 文祐
10日前
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イステリトアの空(第3話)

■これまでのお話はこちら■本編 春洋には三つ年の離れた弟がいた。にいちゃん、にいちゃんとにこにこしながら彼の後を常について歩くような愛嬌のある子だったが、どれだ…

水瀬 文祐
11日前
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イステリトアの空(第2話)

■これまでの話はこちらのマガジンから■本編 儂らの任務、それは胸糞悪い任務だった。進軍路の途上にある村を襲い、老人から女子供に至るまで、すべての住人を皆殺しにす…

水瀬 文祐
12日前
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体調が回復してきましたので、明日より更新を再開したいと思います。
コメントでたくさんの方からお気遣いいただきまして、ありがとうございました。個別にお礼申し上げたいところですが、この場を借りてお礼申し上げたいと思います。
明日は長編の2話目を更新します。

水瀬 文祐
13日前
88

今日は体調不良のため、更新はお休みします。みなさんの記事も体調が回復し次第拝見しに回ります。申し訳ありません。

水瀬 文祐
2週間前
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写真小説家~歌姫の断片~

写真小説家~歌姫の断片~

■あらすじ写真を撮るように、目の前の景色や出来事を書き記す「写真小説家」。それを生業とする私は、依頼人から依頼を受けて、様々な出来事を書き記そうとする。不思議な魅力を兼ね備えた歌手のライブ。最後の舞台に挑もうとするヒーロー。そして、その写真小説家自身。
写真小説を通じて浮き彫りになってくる、「私」の抱えた問題。出会った人々に触れて、「私」の問題への意識は変わっていき、それと向き合おうと決心すること

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麻薬読書者

麻薬読書者

 男は後ろをやけに気にしながら歩き、ある小路の入り口に立つと、殊更に警戒心を剝き出しにし、周囲を窺って見ている者がいないことを確かめて小路に入り込んだ。
 うら寂しい小路は、夜の闇を凝縮したような影をそちこちに抱え、降りしきる雨の冷たさと臭いが充満していた。人気はないのに何かの気配で満ちていた。
 切れかけたネオンの看板がじりじりと音をたてて明滅し、風が吹くと居酒屋の古い引き戸ががたがたと鳴る。看

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金色の霊獣~碧天の巫女外伝~

金色の霊獣~碧天の巫女外伝~

■前回のお話はこちら■本編 精霊の森のさらに奥にある霊峰、ストラ山。山の民の初代酋長の名を戴くその険しい山道の途上に、少年はあった。
「兄者、置いてくぞ」
 少年、名をカズラという。岩が転がり草木も絶えた山肌を登りながら、後ろでぜいぜい喘いでいる三つ年上の兄を振り返りながら呆れたように言う。
 少年には兄が五人いた。長兄のアルバは文武に秀でた山の民一の剣の使い手だったが、今後ろを歩いている四番目の

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マガジンに追加していただいた作品について

マガジンに追加していただいた作品について


■マガジン追加していただいたnoter様うちらぶ様の「お気に入り・おすすめ記事」に「波間に揺れる」を追加していただきました。
うちらぶ様、ありがとうございます。

■追加していただいた作品はこちら

こちらの作品は完全に行き当たりばったりで、プロットも何もなく書き出したものでした。「貝」というアイテムだけがぽんとアイデアにあって、それ以外の登場人物なんかは書きながら考えていったものになります。

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スパイ・オア・ストーリーテラー

スパイ・オア・ストーリーテラー

 病室の窓から外を眺める。青空に無数の魚影のような雲が泳いでいる。
 午後のロードショーを見終えて、余韻に浸りながら缶コーヒーを飲んで一息つく。
「ああ、水瀬さん、また体に悪そうなもの飲んでますね」
 巡回の女性看護師の鹿屋さんは眉を顰めながらそう言った。
「何か楽しみがないと、長い入院生活は耐え難くて」
 そう言って点滴のチューブを持ち上げて肩を竦めてみせる。
 鹿屋さんはああそうですか、と呆れ

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空色のダイヤモンド

空色のダイヤモンド

 世界には空に穴の空く場所があって、その穴の中には空色をしたダイヤモンドが眠っている。
 だからおれはそのダイヤを掘りに行かねばならない。
 あなたはそう言ってこの街を出ていった。もう十年前のことになる。
 十年前というと、わたしはまだ女子高生で、あなたの話す夢のようなホラ話を無邪気に笑って聞いていられる年頃だった。
 百匹のテントウムシがスズメバチを撃退する話とか、示したところを掘ると必ず財宝が

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波間に揺れる

波間に揺れる

 波打ち際に貝殻が転がっていた。押し寄せては引く波に弄ばれ、ころころ、ころころと転がった。
 僕は裸足のつま先でそれに触れると、波に逆らうように転がしてやった。
「意地悪ね」と彼女が手で庇を作りながら眩しそうに目を細めて言った。
「死んだ貝だよ」と僕が口を尖らせて言うと、彼女は諭すように「死んでいるからこそよ」と言ってしゃがんで貝殻を拾い上げた。
 彼女は手のひらの上にその巻き貝を載せ、まるで生き

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乙女と間の抜けた男、それから石板(読書記録16)

乙女と間の抜けた男、それから石板(読書記録16)


■男は叡智の図書館に、私は病院に今回読書記録を残しますのは、多崎礼著:「叡智の図書館と十の謎」、です。

ちなみに本日5月12日より私は病院に入院することと相成りました。
旅人は叡智の図書館を目指して謎を解きますが、私は身体の中の謎を解くべく入院するわけです。

なので、パソコンが使えないため、数日間は更新は簡易なものになると思います。
小説なんかも書ければいいのですが、点滴が始まると腕をあまり

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イステリトアの空(第5話)

イステリトアの空(第5話)

■これまでのお話はこちら 殺すのも、殺されるのも怖い。だが、と春洋は弟がかつてしていた話を思い出す。弟の秋継は不思議な夢ともつかない白昼夢のようなものを垣間見ることがあった。
 それは、ここではない、どこか遠くの世界の話。
 その世界の街では、西洋風の建築物と日本風の建築物が混在しており、中にはそのどちらにも属さないであろう奇抜な建物もあるという。街は発展する一方で街の周囲は広大な原野だったり森林

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白露に映るものは

白露に映るものは

 顧問の黒田しづねが文芸部の部室を覗き込むと、鷺橋美織だけがいて、彼女は机や椅子を雑巾で拭いていた。
「なんだ、鷺橋さん、一人なの」
 ああ、黒田先生。と美織は額の汗を腕で拭うと、「そうなんです。でも、部長もすぐ来ると思います」と笑いかけた。
 黒田はこの高校の卒業生で、ベテランの多い教師陣の中では三十代前半と比較的若いことと、愛嬌のある顔立ちで、馴染みやすい気さくな性格から「しづちゃん」と呼ばれ

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イステリトアの空(第4話)

イステリトアの空(第4話)

■これまでのお話はこちら■本編 その夜も犠牲者が出た。殺されたのは道場主で小学校の教師である山吹と、一緒に巡回していた二人の門下生だった。
 山吹はさすが兵法家であったと見え、正面から斬り結んだ跡が見受けられた。門下生二人は背中をばっさりと斬られているところから、逃げようとして斬られたのだと窺える。
 人気のない村外れだった。一本砂利道が東西に走っているだけで、周囲は雑草が繁茂している。少し道を外

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四姉妹の話~赤(ルージュ)~

四姉妹の話~赤(ルージュ)~

 その家を選んだのはほんの偶然だった。
 私はけちな空き巣だ。かといって、元々盗みで生計をたてていたわけではない。以前は画家をしていて、描けばそれなりの額で絵が売れる、界隈では名の知れた画家だった。だが、あの戦争がすべてを打ち壊した。
 絵筆に使われている金具さえ金属だと接収され、絵の具の価格は青天井に高騰し、一枚の絵を仕上げるのに屋敷が建つくらいの金額が必要になった。にも関わらず、戦争には不要な

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イステリトアの空(第3話)

イステリトアの空(第3話)

■これまでのお話はこちら■本編 春洋には三つ年の離れた弟がいた。にいちゃん、にいちゃんとにこにこしながら彼の後を常について歩くような愛嬌のある子だったが、どれだけ学んでも文字を読んだり書いたりすることができず、学校の勉強には落ちこぼれていたことから、級友には馬鹿にされ、上級生からはいじめられて悪事の片棒を担がされて、結局その罪を全部押し付けられて馬鹿を見る、というような弟だった。
「勉強はまったく

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イステリトアの空(第2話)

イステリトアの空(第2話)

■これまでの話はこちらのマガジンから■本編 儂らの任務、それは胸糞悪い任務だった。進軍路の途上にある村を襲い、老人から女子供に至るまで、すべての住人を皆殺しにする、それが任務だった。胸糞悪いが、情けをかければこちらの命が危なかった。住人の中には武装したゲリラのような集団が紛れていることもあってな。情けをかけた途端ズドンと頭を撃ち抜かれることもある。見た目には区別がつかんからな。殲滅するしかなかった

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体調が回復してきましたので、明日より更新を再開したいと思います。
コメントでたくさんの方からお気遣いいただきまして、ありがとうございました。個別にお礼申し上げたいところですが、この場を借りてお礼申し上げたいと思います。
明日は長編の2話目を更新します。

今日は体調不良のため、更新はお休みします。みなさんの記事も体調が回復し次第拝見しに回ります。申し訳ありません。