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YOUは何しに読書会へ?

 ここ最近、読書会の新規開拓をしている。いつも行っている彩ふ読書会がここ数ヶ月間、東京での開催を休止しているので、せっかくだからこの期間に違う読書会へ行ってみようと思ったわけだ。
 そこで私が参加したのは、東京読書倶楽部が企画する「BOOK & BOOZE! 自称読書家達の飲み会」と、エンタメを語ろうの会が企画する「小説限定読書会」の二つだ。

「BOOK & BOOZE! 自称読書家達の飲み会」はそのタイトル通り、レンタルスペースでお酒を飲みながら参加者の持ち寄った本を紹介していく形式で、私が参加したときは十二名の参加者がいた。小説、エッセイ、漫画が紹介され、紹介されたものから話が脱線したり、また戻ったりしながら和気あいあいとしたトークが繰り広げられた。私は村上龍『限りなく透明に近いブルー』を紹介した。

「小説限定読書会」は小説やエッセイに限定した紹介型の読書会で、基本的に小説しか読まない私にはピッタリの会だった。私の参加したときは十九名の参加者がいて、AからDのテーブルに分かれて座り、紹介が終わったら席替えをする形式で行われた。席替えは二度行われたので、都合三グループ分の参加者と顔を合わせることになった。私の紹介本は谷崎潤一郎『谷崎潤一郎フェティシズム小説集』、ロブ=グリエ『迷路のなかで』、そして村上龍『限りなく透明に近いブルー』の三冊。

 顔見知りのいない読書会へ行くのは久しぶりの経験なので、申し込んだ時には緊張と不安があったが、皆んな本が好きでその話をしたい、聞きたいという人らが集まっているので、なんだかんだで打ち解けられ、そして良い刺激になった。

 そこでふと思ったのが、私は読書会へ行き、誰かの話す「本」について知りたいのか、それとも本について話す「誰か」に会いたいのか、どちらなのだろうと。

 恐らく私は後者の、本について話す「誰か」に会いたい、というのが強いのではないかと。それは私が紹介本を選ぶ際に意識していることにも繋がっている。

 今回初参加した二つの読書会で、私は村上龍の『限りなく透明に近いブルー』を紹介した。これはなぜかと言うと、初参加の読書会には私が一番好きな作家を持っていこうと思っているからで、それが私を知ってもらうのに手っ取り早いと思っているからだ。名刺代わりと言ってもいいだろう。

 読書会は本の情報交換の話であるからお前のことなんか知ったこっちゃない、と言われてしまえばそれでお仕舞いなのだが、私が他の方の紹介を聞いているときは、本の内容ももちろん聞くが、どんな思いで紹介しているのかを見てしまう。熱心に紹介している姿を見るとホントにこの人はこの本(または作家)が好きなんだなと思い、その人を通して本や作家に興味が湧くことがある。なので私自身も村上龍好きがオススメする村上龍の小説を気になってくれれば幸いだし、何度か足を運ぶなかで、村上龍の人とかで覚えてくれればいいのだ。

 変に意識して自己プロデュース的なことしてるよな、と思ったりもするし、逆をいえば○○には見られたくないから☓☓しているとも言え、それは見栄を張りたいだけなのでは?と思ったりもする。紹介本でその人の印象はけっこう決まってしまうので、例えば普段は心温まるような小説を紹介しない人がたまたま最近読んだからと言って持ってきたとする。顔見知りはその人にしては珍しいと思うだろうし、初対面の人は心温まる小説が好きなのかな?と思うだろう。でもその辺は紹介の仕方でどうにでもなるし、一言でもそういう旨を伝えれば良いのではあるが、私は「私=何々」と印象付けたい気持ちが強いのだと思う。

 まとめると、いつもの読書会とは違うところへ行くことで、自分が読書会へ臨むときの姿勢や意識を再確認出来た、ということだ。

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