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留学日記 4週目ish:第二章の予感

アメリカに交換留学している大学4年生のさりです。ここで自分の中での整理も兼ねて自己紹介をしてみます。


自己紹介・現在地点

  • 日本の国際基督教大学(ICU)から留学中。今は、ボストンから2時間車で西に行ったところにある、マサチューセッツ大学アマースト校(UMass Amherst)に在学。お隣のリベラルアーツの大学・アマースト大学で社会学の授業をとって単位変換もしています。

  • 文部科学省・民間企業のトビタテ!留学JAPAN日本代表大学生等プログラムの奨学金と、米日カウンシル渡邉利三寄付奨学金を受給。

  • 社会学を専攻・ジェンダー/セクシュアリティ研究を副専攻。社会学の質的調査の枠組みの中で、特に"マジョリティ"男性の立場性や男性性について研究中。その中で、アメリカでより色濃い人種問題についての授業を取っています。

  • 2年前長崎で平和と核を勉強したことをきっかけに、日本で友人と核兵器廃絶とジェンダーの視点を掛け合わせたユース団体GeNuineを立ち上げ、イベントや情報発信をしてきました。今はもう一人のメンバーがアニメーションプロジェクトを主導してくれていて、もうすぐ完成イベントが行われます。私は地理を生かしてニューヨークの核兵器禁止条約の第二回締約国会議の情報発信を担当しました。

  • 今学期、そのつながりで国際政治のラボに所属して、アメリカの軍人の核兵器使用への姿勢についての研究を組み立てるプロジェクトに参加しています。

  • 在籍している大学の日本語学科のプログラムの一環で、週に一回日本語を教えるチューターをやっています。お茶会をしたり、日本語の絵本を読み聞かせしたり。

  • 現在はインターンとして、男性・少年にアプローチすることで健康な男性性の促進とジェンダー平等を目指す団体・MenEngageの北米支部でインターンをしています。まだこの団体はまだ東アジア支部がないので、日本拠点の支部を作って貢献することが密かな野望です。

  • 趣味は表現。大学のダンス学部のオーディションに趣味で参加して、そのつながりでHip-Hopの授業に参加させてもらったり、ダンス学部の子たちとギャラリーで即興で踊ったり。同じギャラリーで自分のアートの展示をしたり、カナダ・ケベックで会った人のポートレートを描いてコーヒーを奢ってもらったり。感情や経験を詩で表現したり。友達とラップや音楽作ったり。

  • 今の目標は、日本の大学を卒業後、アメリカに戻ってきて大学院に進むことです。ジェンダーにおけるマジョリティ/男性性研究を極めて、教育者(アカデミア)/アーティスト/アクティビストの道を拓きたい。

  • 将来は、自分がジェンダー問題に危機意識を持ったきっかけである日本に戻ってきて活動するのか、アメリカで活動するのか、まだわからないです。一つ言えるのは、自分が誇りを失わずにいられる場所、そして自分が誰かやコミュニティにポジティブな影響を与えられていると確信できる場所/状態を常に探し続けるのだろうということです。


ということで、とうとう3月です。相変わらず予定に振り回され、朝は起きれませんが、新しいことは数知れず、波乱に満ちた日々を過ごしています。留学生活も残りおよそ3ヶ月。たくさんの焦り、心残り、罪悪感、自己嫌悪や、自分の境界線を越える喜びを噛み締めつつ、自分の人生について考えるためにもらったこの時間をどれだけ精一杯全うできるか。それはこの1週間をはじめとするこれからの自分の時間の過ごし方にかかっているように感じてたまらないのです。自分でも、自分を追い詰めすぎてちょっと狂ってると思う。でもそれが気にならないほどに、自分にとってすごく大事な瞬間だという確信があり、それをここに残しておこうと思います。

2月終わり〜3月の1週間の様相

2/27 火曜

8:30 起床・朝食・リーディング・二度寝 於・寮の自室
昔からの悩み。家を出るのがすこぶる苦手。出てしまえばこっちのものなんだけど、支度が完璧じゃないなら、遅れてでも支度を続けてしてしまう。

12:00 キャリアフェア(のはずだった)於・Old Chapel
フォーマルな格好をして向かった会場のOld Chapel。人っ子一人いない。そして気づいた。「あ、来週だったわ。」

13:40 the Social Construction of Whiteness 於・Ford Hall of Amherst College
チンタラしてたら授業に軽く遅刻した。私的ルールは、遅れること確定したら教授にメールして、慌てずに向かうこと。今日は法律から見る人種差別のテキストだった。すごく複雑で難しいから、いつも頭から火を噴いちゃうんだけど、今日は質問と回答の質を褒めてもらえて、とうとういい波きてるなと思った。

16:00 個人研究 於・Frost Library of Amherst College
そのモチベーションそのまま、今日は図書館のソファで個人研究を進める。今やっているのは、一言で男性性と言っても、何を指しているのかについて。人種やセクシュアリティなどいろんな要素が関わってくる。面白かったのは、黒人の男性性は、人種差別によってパワーゲームへの参加を制限されることによって"emasculate(去勢)"されているというセオリー。少しずつであはあるが、インタビューのターゲットを狭められてきている。ちなみにこれは一応教授がついて単位をもらいながらやるやつなんだけど、教授にメールを3回送っても返ってこないので、ガチの個人研究になりつつある。

19:00 夜ご飯 於・Hampshire Dining Commong of UMass
友達とご飯を食べる。この日は突然雨が降ってきて一向に止まなかった。夜にUMassホテルに忍び込んでみる夜景は綺麗だ。帰宅してお茶を淹れて、お香を炊いた。

2/28 水曜

9:15 起床・支度 於・寮の自室
相変わらずギリギリまで寝て、スヌーズと友達な毎日だ。朝食を食べる暇もなく、半ば絶望の中ラボに向かう。

10:00 国際政治のラボ 於・Thompson Hall 519
今日はアメリカの軍人が核戦争や国際法についてどんな態度を持っているかについての文献調査。国際政治の人たちはちょっとしっかりしすぎていてなかなか馴染めず、かなり怖い。作業自体もなかなか骨が折れるもので、質問や相手の意見を積極的に聞きに行ったり、自分のアイデアを主張するのが大事だと思った。ひょー。

12:30 昼ごはん 於・Franklin Dining Commons
水曜日はすこぶる忙しい。昼ごはんをゆっくり食べる間も無く、次の授業が始まった。「忙しい」とは、”心”を”亡”くすと書くというのも言い得て妙だ。

13:25 Introduction to Painting 於・Studio Arts Building 101
今日は2時間かけて各生徒の作品をみんなで批評する時間だった。油絵はほぼ初めてで、その難しさと面白さを学んでいる過程だ。みんなそれぞれ意見をぶつけてくれるのが怖いと同時に刺激的だった。

16:30 日本語チューターセッションに遊びに行く 於・Herter Hall 4F
ラボや授業で人に会いまくると、気力がなくなって逆に一人になれなくなる。不思議なものだ。少しあいた時間で、友達がいる日本語チューターセッションに遊びに行った。昨日勉強した男性性についての知識を応用して、そこにいた何人かの男性たちに個人インタビューをした。「最後に泣いたのはいつ?」「十分に男性らしくないと感じたことはある?」など。いわゆる男らしさを兼ね備えていそうな人も、過去や今に男性らしさに不安を感じているみたいだ。

18:00 劇・Mother Tongue 於・Furcolo Hall of Educational Building
インターン先の方が主催している劇があるとメールをもらい、急遽北のはずれにある教育棟に向かった。6人の演者全員が移民1世で、各々のアメリカでの経験や傷、それらを乗り越える過程に裏打ちされた誇りを、言葉や踊り、動作で見事に表現していた。上映後には感想を言う機会があって、そこで初めて、アメリカに来てから、「アメリカの文化や社会に溶け込むために日本語をあまり話すべきじゃない」とどこかで思っていたことを初めて話した。でも自分らしさや自分の文化への誇りはなによりも最初に立ち上がるもので、それを消し去った末の誇りなど存在しないのだろうと、強く感じたのだ。

19:30 夜ご飯 於・Franklin Dining Commons
友達とご飯を食べる。久しぶりにいろんなことを話す。この子に会えたことはきっと奇跡に近いことだろうと思うくらいに、年下ながら精神的に成熟していて寄り添うことが上手だ。食堂が閉まる時間になって窓の外を見たら、笑っちゃうくらいに豪雨だった。

21:00 雨宿り 於・Brett Hall
食堂で近くに座ってた日本人の友達も呼んで、近くに住んでる子の寮で3人で雨宿りした。久しぶりに見るテレビの内容に突っ込んだり、フレンズを流しながらビリヤードをやったり。課題やると決めていた時間だったけど、雨で流れた、てか。

2/29 木曜

12:00 起床・人生について考える 於・寮の自室
朝起きるのは本当に苦手だ。最近はスヌーズが1分おきに聞こえる。隣の部屋の子に悪いなと、寝ぼけながらそれだけ思うのだ。なんか疲れてしまって、そう言う時はじっと人生について考えてしまう。行き詰まり感。

13:30 昼ごはん 於・Worcester Dining Commons
とりあえず腹ごしらえ、である。2階に上がってバイキングを取る時間はなく、1階でレディーメイドのご飯を取って席を探す。完全に埋まってたけど、運良く友達を見つけて一緒に座らせてもらう。課題をやりながら、ダンスの先生の返信を待った。

14:30 Hip-Hopのクラス 於・Totman Gym
先日のオーディションで声をかけてくれた先生が、彼のHipHopの授業に誘ってくれたので、勇気を出して行ってみることにした。メールも優しい返信をくれたので、ダンス専攻の子たちに混じって必死に振りを覚えて楽しみながら踊る。HipHopとは、アフリカ大陸や中南米からの移民たちの文化が混ざり合ってできたものだという。ニューヨークの文化の多様性・複雑性がなければ、今のHipHopは成立していないだろう、と。アメリカは、アメリカ特有の文化というよりは、他の文化に否が応でも触れることのできる場所としての特殊性があるとしばしば思う。私が留学期間中に触れる機会を得たのは、ドミニカ、ウイグル、イラン。何世代か遡ればアメリカ以外からの移民に行き当たるこのアメリカという地で、"アメリカ人"というカテゴライズの国籍やプライドや政策対象はあれど、それに収まらない歴史や文化が溢れ出しているのは、日常的に自分の育った場所でのあたりまえをぶち壊されることに慣れる過程であり、そのたびにコミュニケーションが必要になることも意味する。

16:00 課題 於・Worcester Dining Commons
こうして初めてのダンスの授業を経た後、食堂の席に腰を下ろした。正直、自分いい顔してた。この感覚、自分にしかわからない(それがもどかしくもある)、でも確かな誇りが芽生え、自分を抱きしめたくなる感じ。6時までの課題を超特急で終わらせる。それは、自分の興味のある分野の先駆者を3人集めてまとめるもの。いくら稼いでるか、とかもある程度入力する必要があるため、夢を夢で終わらせない、地に足つけたワークだと思った。私の分野は、アクティビズム/アート/アカデミア(教育)。アートのメッセージの多くは社会問題だったりするので、アートの教授がアクティビズムに携わっているというケースが多かった。

18:30 ローラースケート 於・Hampshire Mall
今日の午後に久しぶりの友達からきたメッセージ。即興的な楽しみが好きなその子らしい誘いだった。何人かで車でモール行ってスケートとかボーリングしない?というものだった。正直に書くと、今日の夕方は作業の予定を立てていた。でもWhy Not?という刹那的な楽しみを求める本能に従うことにした。そのけじめが6時までの提出物は出した後、という条件だった。
ローラースケートは、うちの姉ちゃんがアメリカの小学生だった時すごく好きで上手だった記憶がある。私は正直下手くそだった。ああ、テレビでくるくる回ってた光源氏やHiHi Jetsはすごいんだな、と心底思った。あと、誘ってくれた友達がこっそり全員分を払ってるのを見て、ありがたい/申し訳ないと同時に、何かをgiveすることで喜びを得る、と話していたのを思い出した。でも私は対等さを重視してしまうから、よくその友達とは対立する。

自分なかなか下手くそだった。

3/1 金曜

12:00 起床・若干の絶望 於・寮の自室
もー本当に朝は起きれない。昨日しゃかりきで楽しんだからだろうか。

13:55 政府・NPO系キャリアフェア 於・Commonwealth Honors College Event Hall 
5分だけキャリアフェアに参加する。どんなものか見たかったという思いでこの大遅刻を正当化した。ここにここに出展していた団体たちはなんだかspecificすぎて、自分にはよくわからなかった。めちゃくちゃ美味しいチキンテンダーとハニーマスタードのサラダをいつものように食べて、ラボに向かう。

14:30 国際政治のラボアワー 於・Thompson Hall 519
ラボの作業を一緒にやる時間。今日は前回よりもスムーズに進んだ。広島からイランへ、という論文の中には、ヒロシマへの原爆投下は正当だったか?とか、もし米軍の犠牲を減らせるとしたらイランの市民たちに原爆を投下することは正当化されるか?という質問の調査が上がっていた。面白いと同時に、自分のアイデンティティに深く関わる話題だからこそ、メンタルヘルスに影響を及ぼすなぁとも思った。

16:00 日本語チューター 於・Herter Hall 4F
またお茶会をやろうと友達に声をかけ、そしてアートの授業やダンスで出会った日米ハーフの友達を呼んで、その場で話に入れてなさそうな人がいたら誰かに繋げる。個人的に話してみたいと思ってた子と仲良くなるチャンスでもあり、すごく濃い時間だった。チキンテンダーの残りをモシャモシャと食べる。日本語を勉強してる人たちが参加するスピーチコンテストがあるらしく、その司会を一緒にやらないかと誘われた。まだ正式にどうなるかわからないけど、面白そうだし、パブリックスピーキングの練習になりそうで今からワクワクしている。

18:00 ワークアウト 於・Recreation Center
ストレッチ、コアエクササイズ、ジョギングと背中や腕の筋トレをする。ジムでの自分的ルールは、携帯を持ち込まないことだ。

20:00 夜ご飯 於・Worcester Dining Commons
ジムで運動したけどお腹はすかなかった。感情が自分を支配するのを感じた。友達は、全ては感じ方次第だから"Don't be sad."と言っていた。アメリカの大学生は、恵まれているのに病んでいる人が多すぎるというのがその子の持論だった。確かに、その子は難民生活を経験しているからこそ、どん底の中でも幸せを見いだす底力を知っているのだろう。私はそれに対して、正しいけど、幸せや鬱のダイナミクスは比較で簡単に説明できるものでもないと思った。確かにアメリカは食事へのアクセスやシェルターはある人が多い。でも多くがオートマ化されて、資本主義的な労働リズムや熾烈な学業ストレスによって自然や自己効力感から疎外された人たちは、虚しさを感じるにいられるだろうかと思う。そして、私はネガティブな感情も含めて、何かを感じ、それを否定したり歪めたりせずに、身を委ねて沈んだままでいることもすごく重要だと思うの。

22:00 Zoom 於・寮の自室
とても大事な話。この4時間は、相手への敬意がいっそうに増す時間だった。

3/2 土曜

12:00 起床・部屋の掃除・コーヒーとクッキー 於・寮の自室・キッチン
昨日話し合いの後に電話をくれた友達が、明日はゆっくりコーヒーでも入れなと言っていたのを思い出した。久しぶりにオーブンでクッキを焼く。へばりついてしょうがなかったけど、半焼けなクッキーが無性に愛おしかった。

14:00 作業 於・Worcester Dining Commons
外は雨で、ジムの靴を持ち歩くのが面倒で布のスニーカーで出てしまったので、足元はびしょ濡れで常時つま先が冷たかった。食堂で水を飲みながら感情の整理をしたり、日記書いたり、勉強したりする。昨日電話してくれた友達の親御さんにも会えて嬉しかった。途中で中華炒めをとり、そこで知り合いのスタッフの人と少し言葉を交わす。水曜に締め切りのエッセイの構想を練った。お腹が空いたので、醤油ラーメンを食べる。

17:00 ワークアウト 於・Recreation Center
いつものルーティンの筋トレをする。今日はお尻をやろうと思っていたので、お尻と内腿のトレーニングをした後に、ヒップスラストというやつをやったら、選んだバーが悪かったみたいで、痛すぎて腰がもげるかと思った。いつもよりも念入りに、ポールを使って固まった筋肉をほぐしていく。硬い筋肉はほぐすと痛い。感情も同じだと思った。痛くても、何度も何度もさすってほぐして、手入れして、ゆっくりと乗り越えていく。ちょっとカタルシスだった。

20:00 個人研究 於・Worcester Dining Hall
一回の机のスペースで、男性性についての個人研究の続きをする。今日は、Masculinity自体や、Men's movementとフェミニズムの第二波の関係についてなど。調べれば調べるほど、正直もっとわからなくなる。そもそも男性性とは社会的に構築されたもので、追いかけるほどに遠くに行ってしまうような、そんな朧げなものだ。私の目には、そんな掴めないものが社会を覆って暴力や力の支配を生み出し、人と人がつながることを困難にさせているように見える。友達が偶然通りかかって、昨日のクレイジーな夜のことを聞かせてくれた。一人で集中して過ごす日も大事だけど、ちょうど寂しくなってきていたので、とても助かった。必要な時に、必要なご縁や助けはくるのだと、なんとなく感じている。

3/3 日曜

11:00 姉からの電話 於・寮の自室
いつものように朝ベッドでグダグダ過ごしていたら、姉から久しぶりに電話がかかってきた。それはそれは、人生捨てたもんじゃないなと思える、素敵な時間だった。姉が羽を広げて飛び立てるということを、彼女自身が信じられるまで、私がそれを言い続けようと思った。そして私はどれだけ彼女にインスパイアされ、救われてきたか。苦しい時ほど、姉の過去の姿は私のミューズだった。誰かが何かを話したいと思って連絡をくれることのありがたさと、それを通して自分も奮い立つ互恵性を痛感する。あと昨日朝ご飯をとって帰ったけど結局食べなかった。なんでやねん。あ、この間焼いたクッキーを食べたかも。

15:00 遅めの昼ごはん 於・Worcester Dining Hall
何を食べたかは全く思い出せない。というのも、なんとなく、今日はスマホをあまり使わずに過ごそうと決めていたのもあって、記憶も写真も残っていない。窓際の席に座った気がする。だめだ、粘ったけど思い出せない。ちょっとブレインフォグがまたかかってきているかもしれない。日々、サバイバルモードという感じ。

16:00過ぎ リーディング準備・夕日チル 於・Amherst College Frost Library 
火曜までのリーディングのPDFを手に入れるのが困難で、結局隣の大学に来て、4時間だけ借りれる本を使って図書館のスキャナーで自分で作った。途中スキャナーがフリーズして大変だったけど、友達の助けもありなんとか完成させる。
夕日が沈みゆく頃、とてもあったかくて天気が良かったので、外にはたくさんの人がスポーツやピクニックをしていて、豊かな大学生活の風情を作り上げていた。私も建物の間からさす西日を顔に浴びながら考え事をしたり、絵を描いたりする。久しぶりに描き始めた、ノートの上の絵を愛おしく思いながら、自分の輪郭と世界を自分で描き始めることを想像した。

夕暮れ時のアマースト。

17:30 夜ご飯 於・Valentine Dining Hall
食堂に向かう途中、アマースト大学に通う二人の友達と、オレンジと紫に染まった山々を眺めた。彼女たちとの会話は、「翻訳」がいらない。翻訳、それは内省の深さや人を思いやる気持ち、自分の筋を通す姿勢とか、いろんな要素が絡み合って成り立つもので、同じ言語でも翻訳がいらないわけではない。そういう人たちに、こうして出会えたことは、留学生活を通しての宝だと思った。

20:00 作業 於・Frost Library
エッセイの本文に取り掛かる。他の子たちもみんな課題を抱えているので、それぞれがフルスピードで集中している場所で作業できてとても捗った。21時すぎにUMassに帰って、食堂で少しだけ食べて朝ご飯をパックしてから、寮に戻った。12時過ぎに寝る予定が、2時半になったけど、それもまた一興ということで。その間、素敵な詩が生まれた。そしてペルシャの新年にちなんだ抱負も爆誕し、なんだかこれからが楽しみになった。

3/4 月曜

12:00 起床、準備 於・寮の自室
9時に起きて明日のリーディングをやる予定が、なんと起きたのは12時過ぎだった。最近アラームの音をすごい変なのに変えたんだけど、いつも面白くてひとしきり笑った後、また寝てしまう。多分明るくて深い睡眠を取れてない可能性があるから、明日から窓に足を向けて寝てみようと思った(大体そうすると深く寝過ぎて起きれないんだけどね)。そして二つ目の授業が、教授の体調不良で休講になった。

13:50 Introduction to Paintings 於・Atudio Arts Building 101
あてにしていたバスを逃してアートの授業に遅れてしまった。先生に怒られはしなかったけど、次時間通りに着くために何する?というすごくいい質問をもらい、5分前にバス停行きますと約束した。今日のアートの授業はカラーチャートを作るという課題。

16:00 遅めの昼ごはん 於・Franklin Dining Hall
コーヒーを手に、ホッと一息ついた。地に足つけて生きたい。私的な丁寧な暮らしは、日記をつけること、感情に素直に向き合い、それを言葉や絵で表現すること。「翻訳」なしで語り合えるという信頼を寄せる人たちと語り合うこと。睡眠と、栄養バランスの取れた食事をとり、よく体を自由に動かすこと。社会のことについて、どんどん勉強して知識をつけ、アウトプットの機会を貪欲に求めていくこと。

17:20 Annaのお手伝い 於・Student Union Gallery
人々を集め、そこにとてもクリエイティブなコミュニティを作り出し、新たなコラボレーションやアートの機会を作ることができる、UMassのアートの大学院生Anna。私は彼女を一種のロールモデルとして尊敬している。一度彼女の亡くなったおばあさんに向けたアートをあげたことがあって、それを気に入ってくれてそれ以来よい友達になった。偶然通りかかったギャラリーでAnnaが展示の準備をしていたので、おしゃべりしながら少しだけ手伝った。どうしてアートをやってるのか、どんな道を歩んできたのか、彼女にとってのアートとは、愛とは何か。話を聞いているうちに、人生に意味を見出し続けるためには、自分で自分の道を切り拓ける、そして自分の思いを何かを通して表現できるっていう確信(自己効力感)が必要で、アートを作り続けるということは、彼女の中でそれに当てはまるんだろうなと思った。帰り際、Annaはこう言った。「きっと私たち、人生を通じてつながり続けるんだろうなって感じるよ。」Artist to Artist、自分のアートが不十分だとか不恰好だとかそういうジャッジを恐れずに一歩進んだ先にある、感性同士のつながりの豊かさ。私はこれも生きる意味の一つだと思っている。たとえミクロな孤独は絶えずとも、生きていれば、きっと誰かと繋がれるという確信は、今日も歩く背中を少しだけ支え、押してくれる。

18:15 K-popダンスの練習 於・Integrated Research Center 2F
いつもの練習場所に行ったら、隣でTwiceの練習をしている人たちがいた。正直に言うと、今までKpopコピーダンス界隈にいる人たちがどうしても苦手だった。今でもそれが溶けたわけではないけど、自分もその一部になっていることは確かで、なんでだろう、アートやクリエイティビティというものとは別の、完璧主義やアイドル界の美の基準の追随が気になるのだろうか。それとも、アイドルを真似するという行為そのものの限界からだろうか。そんな頭でっかちなモヤモヤは取っておこう。台湾人の友達は、配置のチャートから振り付けまでこなしてくれるので、彼のリードに合わせて私もゆるく踊っている。フリをいずれ全部覚えた後、自分なりのスパイスを足していくのが楽しみだ。

19:30 作業 於・Web Du Bois Library
今日中にリーディングの見切りはつけたい。でもその前に、生理前だからだろうか、それともコーヒーが回ってきたのか、不安感と孤独感が収まらないので、ちょっと心の休憩を兼ねてジャーナリングをしている。にしても、最近の自分かなり限界だったんだなと、書いてて思った。理由は一つではない。大きな決断や、それに伴う変化、それが他のことに影響して、何か歯車が回らなくなっていくような感覚。ちょっと前まで順調さをひしひしと感じていたんだけど、それも長くは続かないみたいだ。しょうがない、そういう時もあろう。(ヨシタケシンスケ的には、これを「しょうがナイズ」というらしい。かわいい。)うまくいかない時もある。寂しさに押しつぶされてしまう時もある。今、ここにしか存在しない自分を受け入れて初めて、元の自分を取り戻せるのだろう。友達曰く、人生という水の流れの中で、自分というボートを漕いでいく感覚だという(これ聞いた時突然すぎてわからなくて、「え、明日雨ふるの?」と聞いてしまった。ちょい恥ずかしい)。自分のボートは、自分で舵を取るしかない。だから時に一人で静かに過ごす時間が大事だと、その子は言っていた。あまりうまくいかない1日だが、学びはその分多い。さあ、そろそろリーディングか夜ご飯を食べようか。


自分で決めた終わり、そして始まり。その決断を正しいものにしていくしかない。残り時間のカウントダウンが始まる中、私はこれからどう生きていくんだろう。

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