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俺の読書感想文 #3 【十角館の殺人 綾辻行人】


みんな大好き本格推理小説。
みんな大好き綾辻行人!
ってことで、今回は「十角館の殺人」だー!


半年前、凄惨な四重殺人の起きた九州半の孤島に、大学ミステリ研究会の七人が訪れる。島に建つ奇妙な建物「十角館」で彼らを待ち受けていた、恐るべき連続殺人の罠。生き残るのは誰か?犯人は誰なのか?
鮮烈なトリックとどんでん返しで推理ファンを唸らせた新鋭のデビュー作品。(裏表紙のあらすじより)



 うわー来た!「どんでん返し」とか先に言わないでよ!
 ハードル上がるぞ! いいのか?!
 と、若干のモヤ感を持ちつつ読み始めた綾辻行人のデビュー作の文庫版。
『館シリーズ』の第1作ということだ。

Wikipediaによると、、、


日本のミステリー界に大きな影響を与え、新本格ブームを巻き起こしたとされる[要出典]。『週刊文春』が推理作家や推理小説の愛好者ら約500名のアンケートにより選出した「東西ミステリーベスト100」の2012年版国内編で、8位に選出されている。2023年に『タイム』誌が選ぶ「史上最高のミステリー&スリラー本」オールタイム・ベスト100に選出されている。



なるほど。万人が認める名作というわけですな。

しかも2024年に映画化するって発表されたとのこと。そういうの知らんで読むんだから、タイミングいいね!

個人的には映画は変に現代版にしないで、昨今の平成レトロとかのブームに乗って当時を再現したら面白そうだな!と思うぞ。
赤いファミリアとか、出てくるバイク(ヤマハXT250)とか、アガサちゃんのソバージュ姿とか、当時の流行を忠実に再現して終始8ミリっぽい褪せた感じの映像で撮ったら面白そうだよね!
だって、ワープロを使うってだけで一悶着あるんだもん(87年出版でワープロが普及してないから)
とかいって、映画の情報は全然知らないんだけどね。

さて、そんなこんなで読み始めたが、七人が孤島で殺人事件に巻き込まれていくのと同時進行で、本土では半年前の殺人事件の真相を探るべく行動する二人が出てくる。
片方は島に行ったミステリーサークルに所属してた大学生。こいつはとある事件がきっかけでサークルを辞めた。もう一人はその大学生とたまたま出会ったおじさん(年は30歳そこら。なら、お兄さんと呼べ!)

本土と孤立した島の二か所で物語は進んでいく。
裏表紙のあらすじには出てこないこの二人が重要人物なわけだ。

ぶっちゃけ、推理小説って結構チャレンジしてきたんだけど、あんまり好きなジャンルじゃなかった。

殺人方法に凝りすぎで、犯人の動機とバランスが取れてないと感じたり、探偵役が探偵役であるのを示すために序盤で適当な謎解きをして喝采を浴びるみたいな定番の手法があるけど、それがあまりに陳腐と感じてしまったり、助手役が助手役であるためにバカだったりするのはいいんだけど、流石にそれはバカすぎじゃね?と感じてしまったりしたわけさ。

なんか「人間」の解像度が低く感じてしまったりする推理小説とかに当たってきたんだよな。うん、不幸だな。

で、この「十角館の殺人」はどうかというと……。
キャラの解像度とか魅せ方、伏線やミスリードの具合も素晴らしく、まさに推理小説のお手本って言いたくなる作品だった。

例えば、島で惨劇に巻き込まれる七人のニックネームが、「エラリイ」とか「ポウ」とか「カー」とか「アガサ」とか「ヴァン」とか「オルツィ」とか「ルルウ」で、これは世界の有名推理小説作家の名前から取っていて、推理小説ファンはニヤリってしちゃう設定らしいんだけど、俺は推理小説初心者だから、まったくわかんなかったし、別に海外の推理小説家に親しみもねぇから、日本人の登場人物が外国人名で呼ばれてることがすげー不安だった。キャラを覚えるのに苦労しそうだなぁって。正直だりーって思った。なんでこんな面倒なことするんだよって。(もちろん重大な理由があるんだけどさ)

でも、キャラがちゃんと立ってるからかな。
結構簡単に覚えられたよ。
てなわけで、俺みたいな推理小説にちょっとネガティブな印象を持ってるような奴でも、全然楽しめる!
おいそこの俺みたいな奴! コレはおすすめだぞ!!

もちろん、俺みたいな偏屈な奴だけじゃなく、純粋な推理小説初心者にも大おすすめだ。

あとは、アレだな。
読みながら頭にずっと残ってたのは文庫本の裏にある『どんでん返しのラスト!』っていう、いらねえ文字列だな。

アレが書いてあるせいで、うわー最後にどんでん返しがあるんだーって構えちゃうじゃん。

素直に展開に乗れなくなるんだよな。
序盤からさ、なんとなく犯人が「こっち」じゃなく「あっち」にいる奴らの中にいるんだな、みたいな予想をしちゃうわけ。
まーそれも込みで読者への挑戦状的なモノなんだろうけど、この「どんでん返し」の有無を最初に知らされるの、俺はなんかモヤるんだよね。もし、「どんでん返し」って書いてなけりゃ、もっと楽しめた。もったいなかったな。

とはいえ、それは抜きにしても、舞台が島と本土の二か所で進み、そのどちらのメンバーも過去の四重殺人事件と関係性があって、いろんな人物や出来事が絡み合いながら進んでいくから、誰が探偵役なのか、誰が殺されるのか、気を抜けなくて、めちゃくちゃ楽しかった。

俺が推理小説にあんまり触れてこなかったからってのもあるかもしれんが、35年以上前の作品で、随所に時代を感じさせる描写は出てるのに、とても新鮮に楽しく読めた。推理小説に限らず、エンタメってどんどん新しい斬新なものが出てきちゃうから、ちょっと前の作品って当時は斬新だったとしても、今見るとなんだか既視感を持っちゃったりしがちなんだけど、全然そんな感じはなかったぞ!
名作ってのは色褪せないんだな!
ここからシリーズも続くみたいなので、また機会があったら読みたいな。


そんな感じだ!

最後に。

……俺はオルツィが好きだった。
オルツィみたいな女の子が好きなんだ。
でも、オルツィみたいな気弱な女の子が最後まで生き残るかどうかは……(ネタバレだからやめるか)

以上!


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