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俺、セントラルを辞める

前回までのあらすじ:
20年程前、俺は親父の会社を継ぐために故郷に帰ってきた。
親父に仕事を学び10年、とうとう親父が社長を降りて、俺が社長になることに。
親父はいわゆるワンマン社長だったが、経費については無頓着で、それが収益に影響を及ぼしているんじゃないかと疑問に思った俺。
設備の改修工事を頭に思い描き始めた。

石油地下タンクの改修が高額であるため難しいことは、前回書いた。
ということは、
近い将来地下タンクは使えなくなるということだ。

そうなると、
別の場所から石油を機械室に供給しなければならなくなる。
地上に石油タンクを置くのがいいのか? 

それが可能だとしても、
セントラル空調を続けている限り、大がかりな工事が必要になるだろう。

最近は、色んな施設がセントラル空調から個別エアコンに変更しているのを見かける。
やはり、セントラル空調を改修することは大変なんだ。

俺はセントラル空調を廃止することを決断した。

新たに設置するエアコンについて調べていると、使用する電気の種類に高圧電力と低圧電力があるらしい。
俺は、本当にそういうことには疎かった。

電気代としては高圧電力を使う業務用エアコンが安くなるが、エアコン本体としては低圧電力を使う家庭用エアコンが断然安い。

知り合いの町の電気屋、ぶつくんに問い合わせ、廊下や広い部屋は業務用、それ以外は家庭用だと良いのでは、との回答を得た。

実際、相見積もりをとってみると、他業者の業務用エアコンのみの見積もりと、町の電気屋ぶつくんの見積もりで、1千万円の差が生じた。

正直驚きだった。

もちろん、エアコン本体の値段に大きな違いがあったが、業者の場合は、たくさんの人数で工事を行うため、人件費も高くついていたと思う。

一方、町の電気屋は社長であるぶつくんと社員2名ほど。
ある程度の日数が必要だが、季節を選べば対応可能だ。

親父は、可能な限りの贅沢な工事を行ったが、俺は可能な限り質素で安価な工事を目指した。

若いぶつくんはやる気満々。地産地消にもなる。
どんな時でも、付き合いは大事だよな。

25年経過した設備は全て改修しなければならない。
使用の限度があるからだ。

今回の工事は、古くなったセントラル空調を廃止してエアコンを個別に設置する。

しかし、問題は費用だ。かかる費用をどうやってまかなうのか?

見積もりが1千万円安かったとはいえ、工事費用はほぼ2千万円となる。

俺は、新たな問題に直面することになった。


つづく





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