見出し画像

精神障害持ちほぼ引きこもりニートが家事を始めるまでの過程について

――私、御年28。まだ、家事は知らない。

幼いころ、母と姉と暮らしていた。
いわゆる母子家庭で、母は女手一つで私と姉を育ててくれた。
しばらくすると姉は一人暮らしを始め、私と母の二人暮らしに。
精神障害を患い、状態が安定していない私が一人暮らしできるわけもなく、ずっと実家に入り浸っていた。
いわゆる、子供部屋おばさんである。

そして2年前、母が亡くなった。
くも膜下出血であっけなく逝ってしまい、家族全員心の準備が全くできない中、変容する暮らしを受け入れるしかなかった。
その後、離婚していたものの、父は私を心配して一緒に暮らそうと提案してくれた。
そこからは父と二人暮らし。
アラサーになっても私は自立から目を背け、「なんとかなる」という根拠のない自信を振りかざしながら生きていた。

家事出来ない。
病状は安定しない。
収入はない。
他人に依存することでしか生活ができない。

社会のゴミとして、数多の人間に頭を下げて生きていくしかないと思った。

しかし、ある時気づく。

自分は己の力で人生を終わらせることはできない。
そうなれば、自分の人生の責任は自分で取らなければならない。
どれだけ身近な家族であっても、私の人生の責任は取ってくれない。
ならば、自分で自分の行いに責任を持たなければならない。

おそらく周囲の人間から何回も言われていた言葉だが、私自身で「気づく」ことができたのが大きかったと思う。

ただし、気づいただけでは意味はない。
行動しなければ。

そこで私は以下の方法で行動するための段取りを行った。

今後、誰かと結婚をするかもしれないし、一人で暮らすことがあるかもしれない。
しかし、どのような生活スタイルになったとしても、家事スキルは絶対にあったほうがいい。
これだけは本当に、場合によるとかではない。ないと困る。
しかし、家事を全く知らない私にとって、何もない状態から家事を行うのは不可能であった。

「知っているけどやらない」と「知らないからできない」には歴然とした差がある。
今までの私は、ろくに調べもせず、言われたことだけやってみたりして、家事をした気になっていた。
「言われればやる」と自分のことをAIロボットなどに例えてみたりもしたが、今思えば「人間なんだから手に持ってるiPhoneでXではなく家事のやり方を調べたらどうですか?」という話だ。
生きていくためには、自分の身の回りのことくらいしなければならない。
もちろん、どうしたって病気の症状には勝てないから、できない日は往々にしてある。
別に休んだって良い。というかそんな時は休まなければならない。
母からの教訓として『掃除はしなくても死なない』というものがある。
最低限の食事、最低限の排泄さえできれば、1日は乗り越えられる。
すべての家事は強制ではない。
だから「しなければならない」と思わなくていいし、できなくても落ち込む必要はない。というか、完璧に家事をこなしている人、多分そんなにいない。

家事に興味を持った理由がもう一つある。
めちゃくちゃ調子が悪かった時に、急に思い立って模様替えをした。
シャンビリという症状が続く中、ゼエゼエ言いながら部屋をきれいにした。
きれいになった部屋を見たとき、ふと、母と暮らしていた時のことを思い出した。

母は壊滅的に整理整頓や掃除ができない人で、私たちはいつもほこりだらけのリビングでお話をしていた。
自分の部屋は散らかっていてとても過ごせるような場所ではなかった。
それが当たり前だと思っていた。
しかし、父と暮らし始めてから、どうも母の掃除は掃除ではなかったらしいということが分かってきた。
人間それぞれの価値観みたいなものが可視化され、結論として「お部屋がきれいなのは気持ちがいいことなのだ」と確信した。

部屋がきれいになり、この美しさを維持したくなった。
まめに掃除機をかけ、布団を整え、机のほこりを取るようになった。
毎日掃除をすれば、ものの数分で部屋がきれいになることが分かった。

自分がダメダメな日を補助するためにも、家事を習慣化して、少しでも清潔で安心できる空間で療養した方がいい。
家事をしていて分かったが、だいたいの家事は「知っていればできる」ものばかりだ。人間が生きるために必要なスキルだから。
もちろん面倒だとか、疲れるような家事ももちろんある。でも、毎日コンスタントに家事をこなせば、1日1日の負担は軽減させることができる。
「そんなこといったって、どのタイミングでどの家事をしたらいいか分からないよ~」という人もいるだろう。私がそうだった。
以下の家事リストを参考にしてほしい。

①まず、最初は毎日やる家事を習慣づけてみる。
②そこから、週1でやる家事を少しずつ取り入れてみる。
③気づけば家事への忌避感はある程度消え、習慣になる。
④部屋がきれいになる。毎日ちょっとした達成感を味わえる。
⑤人の役に立つことができる。ちゃんと家の一員になれる。

私は家事を知らず、何もできなかったころ、家の厄介者になっている現状がとても苦しかった。
しかし、家事をするようになってからは、父の支えになれているようで、自己肯定感も上がり、以前に比べて毎日生き生きと過ごすことができている。
障害を抱えている人にとって、『何もしない』は大事だが、何もしなさすぎるとまた調子が悪くなる要因にもなりかねない。
家事をした後は休んだり、好きなことをしてもそんなに後ろめたさはないし、日々にメリハリが出て「この後はこれをやろう」という目先の目標もできる。

とはいえ、やはり家事を完璧に行うのは大変だ。
私が家事について調べたり、実際にやってみて途方もないなと思ったのはこちら。
・冷蔵庫在庫管理
・日々の献立を考えること
・たまにしかやらない家事忘れがち

冷蔵庫在庫管理についてはアプリがあった。
課金した方が使い勝手がいいので、課金をおススメする。

日々の献立についてもこちらが有用だと思った。
ただ私が料理苦手なので、まだがっつり使えてはいない。

使いやすいアプリがあるものだなあと感心していたが、ふとあることに気づく。
「家事始めたての人に有用なアプリがあるといいなあ」と。
一人暮らしを始める大学生、夏休みに家事のお手伝いをしたい子ども。
そして、私のような「家事について何も知らない、家事が怖い」と思っている人。
家事の習慣化を目標としたアプリがスマホに入っていれば、タスク管理もできるし、リマインド通知で「今日は月に1回の〇〇をやる日だ」と思い出すことができる。
家事ビギナーに対しては、一つ一つの家事のチュートリアルを掲載して、家事遂行のお手伝いをする。
また、家族構成によって家事の頻度は変わってくるから、平均値を割り出し、データをもとにおススメの家事ルーティンを組めるようにする。

家事ができない人も、家事をしっかりやりたい人にも有用なアプリにならないだろうか……まあプログラミング全く知らないんだけど……。

後は単純に『生活は続く』というアプリを出したい。
自分でキャラメイクしたアバターが、毎日1マス進むだけのアプリだ。
目標設定をすることができるので、夜寝る前などに『〇〇はできましたか?』という通知を送り、『できた』『できなかった』のどちらかを押してもらう。
どっちを押してもマスは進む。だって人生は何もしなくても進むから。
できた日はマスの色が変化する、くらいの変化が出ればよい。
「今日あなたが誕生して10000日目です」みたいな通知もできたらいいな。
1週間、1か月、1年を区切りとして、どれだけ目標を達成できたかリザルトも表示できるようにする。
家事習慣化アプリと連携させれば、家事の目標達成時に自動的にマスを進めさせることも可能。

もう一度言うが、プログラミング何もわかりません。
勉強して、リリースできたらいいなと思っている。(夢はでっかく)

何もできなかったという鬱々しさを、少しでも軽減したい。
しんどい時はしっかり休んで、できる時にやっていけたらと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?