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諸悪の根源は日本経済新聞社かそれとも先物か? 魔物?に振り回され続ける日経平均株価

そもそも日経平均株価とは何者?

日経平均株価とは日本経済新聞社が算出している株価指数のことです。

1949年5月から算出が開始されましたが、その時の銘柄数は227銘柄で、現在と同じ225銘柄になったのは1950年6月。

海外ではNikkei225と呼ばれることが多いですね。

計算方式が大きく変わっている!

もともとはダウ平均と同じ採用銘柄のダウ式平均株価でしたが、2005年6月7日からみなし額面方式となり、2021年10月1日から株価換算方式に変更されています。

まず、ダウ式平均株価ですが、チャールズ・ダウとエドワード・ジョーンズとチャールズ・バーグストレッサーの3人が1882年に作ったのがダウ・ジョーンズ社。

この会社はニューヨーク証券取引所の近くにあって、ウオール街の金融関係の人たちにニュースレターを売る仕事を始めます。

1889年7月にウォールストリートジャーナルを創刊し、1896年からダウ・ジョーンズ工業平均株価の算出を始めます。

これが有名なダウ平均で、この算出方式がダウ式平均株価ですね。

ダウ式平均株価

たとえば30銘柄の平均株価とは、30銘柄の株価を全部足して30で割ります。

最初はこれでいいのですが、株式は分割されたり併合されたりするので、それを無視して平均を取り続けるとおかしなことになります。

そこでダウ式平均株価ではこの30という分母を調整して連続性が維持できるようにします。

この分母の値を除数と呼び次の式で毎日計算されます。

新しい除数=前営業日の除数+取引以外での株価変動/指数値

取引以外での株価変動というのは株式の分割や併合などによる変動分。

株価1000円の銘柄が1:2の株式分割すると、理論的には株価は半分になるのでー500円になります。

見かけの平均株価が小さくなるので、その分、除数も小さくするわけですね。

みなし額面方式

もともと株券という紙幣のようなものを使って株式の売買がされていました。

1万円払って1枚の株券を買う、という感じですね。

その株券に書かれていたのが、最初に株券が発行されたときの価格で、これを額面と言います。

多くの場合、額面は50円だったのですが、500円や1万円といった額面の銘柄もありました。

額面制度は2001年に廃止され、今は株券も電子化されて廃止されていますが、今も額面制度が維持されていると「みなして」、50円のみなし額面に換算後に、ダウ式平均株価を算出するようになったわけです。

このみなし額面、最初の額面から株式の分割、併合によってさらに変化しますが、各銘柄のみなし額面は日本経済新聞社によって公表されています。

要するに 50円のみなし額面に換算後の株価は、株価x(50÷その銘柄のみなし額面)で計算されます。

昔は基本的に銘柄入れ替えはなかった!

ここまで読んでいただいた方はかなり忍耐強い方で、いずれお仕事でも成功されることでしょう!

株式投資される方は過去を気にせずに日経平均をお使いでしょうが、無批判に信用していいの? と私は言いたいわけ。

で、1991年9月までは基本的には日経平均の銘柄入れ替えはありませんでした。

そのころは、流動性の低い日経平均採用銘柄を使ったトレード法っていうのもありましたね。

日経平均では、倒産したり、合併などで消滅した会社の分だけ補充されていました。

あ、NTT、日本電信電話が上場したときは、オーミケンシがNTTに追い出されましたが。

日経平均先物

先物(さきもの)の話をしだすと、ますます読者が離脱しそうなのですが、先物とは、ある期日に決済することが決まっている金融商品のことです。

たとえば6月限の日経平均先物は、6月の第2金曜日の日経平均構成銘柄の始値で算出された日経平均株価で差金決済されます!

この日をSQ日、この値を日経平均のSQ値といいます。

わかんないですよね。

今日は2024年5月17日ですが、6月限の日経平均先物は15:15の段階で38740円でした。

このとき日経平均先物を1枚買ったとします。

6月の第2金曜日に算出されたSQ値が39500円だとすると

(39500-38740)x1000で売買手数料や税金を無視すると76万円の利益!

ただし、先物売買には証拠金が必要で、今なら最低でもだいたい200万円を証券会社の口座にいれておく必要があります。

先物は売ることもできますが、SQ日にSQ値で買い戻さないといけません。

38740円で売って、39500円で買い戻すので、逆に76万円の損失!

なんで先物なんか必要なの?

それは、リスクヘッジのためなんです。

たとえば日経平均の現物を1000枚買うと約3874万円。そして日経平均先物を1枚売ります。必要証拠金が約200万円。

もしSQ日に日経平均が37,000円まで下落したとすると、現物分は(37,000-38740)x1000で174万円の評価損!

でも先物はその逆になるので、174万円の実現利益が出て、売買手数料と税金以外はチャラ!!

ただし、SQ値が40、000円だと、現物で126万円の評価益ですが、先物で同額の実現損失が出てしまいます。

でも、帳簿上はプラマイゼロ。

われわれ貧乏人は面倒くさいだけで結局、プラマイゼロじゃないのと思いがちですが、配当金を忘れていませんか!

日経平均の配当利回りが1.79%なので、現物の日経平均を持ち続けて、先物の売りが途切れないようにしておけば、売買手数料と税金が配当金以下だと着実に利益がでます。

先物も現物株式と同じく確定申告で3年分損益通算できるので、よほどの暴落がない限りは税金が多額になることはありません。

あくまでも、この話は計算例ですが、大きな資産を運用している人たちはこういう感じで、確定に近い形で安定した利益を上げ続けているわけ。

株価にしても為替にしても、結局は需給関係で動くので、「大きな資金を運用している人たち」が何をしているかを知ることはとっても大事です。

リスクヘッジには相手が必要

でも、みんながみんな日経平均先物を売っていけば、先物も需給で動くので、どんどん先物が下がっていくはず。

でも今日の日経平均の終値は38787.38円。

実はアービトラージ(裁定取引)というトレード手法があります。

日経平均先物の理論価格を計算し、理論価格よりも実際の先物が割高なら、先物を売って現物を買います。

これを裁定買いと言います。

実際の先物が理論価格よりも割安なら先物を売って現物を買います。

こちらは裁定売り。

日経CMBCとかで裁定買い残とか裁定売り残とか言ってるやつ。

日経平均先物の理論価格は日経平均株価x(1+(短期金利ー配当利回り)x(満期までの日数÷365))ですね。

この裁定取引、理論的には勝率100%ですが、先物と同時に日経平均相当の現物株を買い付けることは個人投資家では不可能でしょう。

でも大手の機関投資家ならプログラムを丁寧に作りこめば、ほぼ勝率100%のトレードを実現することが可能になります。

プログラムの開発と運用に費用は必要ですが、おおきな資金を突っ込めるのであれば十分、利益が取れる「事業」になります。

短期筋は悪の手先か?

さて、日経平均が暴落したりすると「短期筋が日経平均の先物を売ってる」なんていう解説をする人がいます。

予想がはずれて大きく値上がりしたときには「短期筋が日経平均の先物を買っている」。

「短期筋」なるものを悪者にしておけば、自分の予想がはずれたことの言い訳にできてしまう….

「短期筋」というのは短期的な値動きを予想して売買して利益を得ようとする人たちのことのようです。

彼らの主戦場は商品先物市場のようですが、時々、日経平均の先物市場にも参入してきます。

彼らが参入してくると先物が値上がりし、裁定取引業者が現物を買うので日経平均があがるという理屈ですね。

でも株というものは値上がりしだすとしばらくは値上がりが続きやすいということがあります。

これをトレンドと言いますが、トレンドフォロー系の短期筋は日経平均の値上がりを見てから参入してきます。

卵が先か鶏が先かみたいな話ですが、短期筋の参入によって、株価の振れ幅が大きくなるというのは事実かもしれません。

本格的な銘柄入れ替えの始まり

裁定取引などによって日経平均採用銘柄の現物株の取り引きが活発化してくると、発行済株式総数が少ない銘柄は極端な品薄となってきます。

そして、それらの品薄株の値動きが非常に大きくなって日経平均にも悪影響を与えるようになってきました。

そこで、銘柄入れ替えを極度に嫌っていた日本経済新聞社は宗旨替えをして、1991年10月から流動性が低い銘柄を日経平均からはずすようになります。

しかし、あくまで流動性を目安としていたために、業績の悪いオールドエコノミーの会社は日経平均に残ったまま。

だんだんと市場の雰囲気と日経平均のずれが目立つようになり、日本経済新聞社は2000年4月24日に一挙、30銘柄を入れ替えるという暴挙に出ます。

この結果、日経平均は15%も下落!!

これが本当の2000年問題ですね。

発表から実施まで1週間のタイムラグを設けたため、除外銘柄売り、新規銘柄買いの裁定取引が大規模に発生したことと、除外銘柄に低位株が、新規銘柄の方に値がさ株が多かったため日経平均連動型の投資信託では、新規銘柄を買い付ける資金が不足し、資金捻出のために残留銘柄も一部の株を売らざるをえなかったから、と言われています。

この大失敗から今では毎回1ー3銘柄の入れ替えにとどめるようになっています。

株価換算方式

2021年10月から、こそっと、またまた、日経平均の算出方式が変わっています!

それまでは、50円みなし額面で換算した株価の平均だったわけです。

それが株価x株価換算係数の平均になりました。

株価換算係数って何?

新規組み入れ銘柄は基本的には1.0。

これで株価合計の1%を超える場合には1%を下回るように小数点第2位以下を切り捨てた値を株価換算係数にします。

要するに値がさ株の悪影響を小さくしようということらしい。

ところがところが、2021年10月より前から採用されている銘柄についてはお咎めなし!

なので、ファーストリテイリングは日経平均に対する構成比率が10%を超えてしまっています。

上位10銘柄の累計で構成比率は30%以上!

これが日経平均株価の正体ですね。

で、さらに2022年10月から、4月と10月の最初の営業日に銘柄入れ替えを行うこと、既存の銘柄でも一定の構成割合を超えた銘柄にはキャップ調整比率0.9をかけるウエートキャップ制が導入されます。

この「定の構成割合」、最初は12%でしたが、2023年10月に11%に、2024年10月には10%に下げられます。

ファーストリテイリングあやうしですね。

たかが0.1とは言え、日経平均連動型の運用をしている投資信託やファンドは非常に多く、もし実際にウエートキャップが実施されると9月末にファーストリテイリングに2500億円!もの売り圧力が発生するとの見立てもあります。

日本経済新聞社、責任取ってよ!

これでも日経平均連動型投資信託を積み立てますか?

ここまで読んでいただいた辛抱強い皆さんには、頭の中に?が点灯していると思います。

リスクヘッジやアービトラージ、トレンドフォローで儲けている連中がいるのなら、誰が損しているのか?

そうです、あなたですよ、あなた!!

思い付きで買った株が下がっていませんか?

積み立てている投資信託、日経平均よりも値上がり率が低くないですか?

上のnoteにも書きましたが、積み立て投資をするには2つの大前提があります。

1.投資対象が長期的にはそれなりに値上がりするという確信があること

2.現状、大きな投資用の資金はないが、定期的に投資にまわせる収入がある

でも、こんなに良くルールが変わる日経平均株価に投資して大丈夫なのでしょうか?

大手金融業者に利益を提供し続けている日本の株式市場に投資をして大丈夫なのでしょうか?

じつは、私は現在、日経平均連動型投資信託を積み立てていますし、日経平均連動型ETFを保持しています。

なぜか?

それは次のnoteで。

ここで2つのお願い。

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よ ろ し く !



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