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レニー・クラヴィッツマラソン ランキングと総評

これからお休みの方も、お目覚めの方も、そしてこの記事を偶然目にしてしまったそこのあなたも。

みなさん、ご無沙汰しております。

どうも。 音楽太郎でございます。

恒例のアルバムマラソン企画、おかげさまで第5弾ということですが、先日、Twitterの方で今回のマラソンのターゲットはどれがいいか、4択でアンケートを取ったんですけれども、その結果がこちら

この結果を目にして、僕はこう思いました。

あれれ、レニー・クラヴィッツの得票が少なすぎやしないか...?

そこそこ割れるだろうと思ってこの4択にしていたので、ここまでの大差がついたのは結構驚きでした。僕の想像以上にレニーが聴かれてないってことなのかな、と思いまして、

逆に今回は、そんなレニー・クラヴィッツの魅力を存分に伝えられたらな、と考え、アルバムマラソンのターゲットに決めました。


まずは彼について軽く紹介します。

アフリカ系アメリカ人の母、ユダヤ系アメリカ人の父を持ち、1989年から現在まで活躍するアメリカのミュージシャン。レコーディングでは多くの楽器を自ら演奏する実力派マルチプレイヤーで、音楽性はロックやR&Bを基調としていながらも、そのアプローチは非常に多彩。全11枚のアルバムはセールス、人気、評価ともに常に好成績を得ており、グラミー賞にも多く受賞・ノミネートされている。

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というアーティストです。今回はそんなレニー・クラヴィッツのアルバムを時系列順に聴いていって、そのアルバムの軽い解説と感想をいつも通りやっていこうかなと思ってるんですが、


今回のレニーマラソンが正直、一番難しかった...!


というのも、詳しく後述しますが、彼はキャリア通して、一貫してロックを中心にしていくわけではあるんですけど、多様な要素が複雑に絡まった超緻密な音楽性を僕の拙い文章力でどう説明したらいいのか...という感じで、彼のやっている音楽があまりにも熟成されすぎてるが故に、自分の音楽的蓄積のなさを改めて痛感する次第でした。
聴いてる分にはめっちゃ楽しかったんですけど、これをどう説明して、どんな番付にするかは非常に困りましたね。


とりあえず、僕の好み一存でランキングしていきます。結構正直なランキングになったかな〜、と思います。知らんけど
ランキングの順番が気になる人は、目次を閉じてから見てみてくださいな。


ほな。いきまっせ〜。


11位:Raise Vibration (11th / 2018)
https://open.spotify.com/album/6zXOZuDsPTGu4yEKaTXzlH?si=0T1VkQLLQk2qWgZsJvrxQg&dl_branch=1

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 まずは目下最新作の2018年作11thアルバム。僕はレニー・クラヴィッツというミュージシャンが好きだし、マラソンを通してレニーの音楽にもとても深く関心が持てたので、どのアルバムも別段悪いとは思わないし、もちろん良し悪しはあるけれど、それでも、それぞれのアルバムに違った魅力はあると思うので、その点を紹介していきたいですね。
 このアルバムはキャリアの中でもかなりポップ、というかデジタルサウンドの割合が多めに作られています。だからハードでロックなレニーを聴きたいな、となるとこのアルバムではないな、っていう感じですね。
 ゴスペルクワイアやデジロック的なアプローチも面白かったりはするんですけど、基本このアルバムを含めた直近の3作は結構ソフトな音色にダンサブルなパーツというのが多くて、その中でも今作はポップな電子サウンドが強く出されたアルバムになります。突出した曲も少なく、ディスコグラフィーを追って聴いていると少々軟弱に聴こえてしまいました。というわけで、この順位。


10位:Strut (10th / 2014)
https://open.spotify.com/album/1Kuay4VIqu9qNGAUOEtpx7?si=37OVA_dXTrWjZ5Y0wYIDgw&dl_branch=1

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 続いてはその前作です。キャリアを四半世紀積んだロックの求道者が貫禄を持って示すアダルティでパワフルなロック。ノリの良いロッキンな前半と哀愁漂うブルージーな後半の二面があり、どちらも熟練のレニー節を堪能させてくれます。豪快なアメリカンロック直球な内容ではあるけれど、アツすぎず、暗すぎない。ちょうど良いクールさなので結構聴きやすくもあります。レニーの十八番、メロウなロックバラードの「The Pleasure And The Pain」や「Ooo Baby Baby」のようなレトロなソウルバラードなど聴きどころも多くあります。
 前述の通り、今作もファンク要素によるダンサブルな縦ノリビートロックが基調なので、多少単調な印象は受けてしまうし、そもそもレニーにはもっとできることがあるはずなので、ファンキー路線をそこまで推し進めなくてもという気は否めないですね。実際のところ、直近3作の人気は微妙なところもあるみたいです。下位にはいますけど、内容は決して悪くないアルバムなんですよね。ただ、上位のアルバムと比べると見劣りはしてしまうのが正直なところではあります。


9位:Black And White America (9th / 2011)
https://open.spotify.com/album/0RJA6msM8USEqe50FRY6b0?si=9WhfJwmkRQm-FyiGHwEtfw&dl_branch=1

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 続いてはその前作です。直近3作が出揃ってしまいました。ブラック・アンド・ホワイト・アメリカということで、今作はブラックミュージックの要素とアメリカンロックの要素の折衷を特色としています。クリスチャン黒人とユダヤ系白人との子である、レニー自身が孕んでいる二面性をアメリカという国の持つ光と闇や、アメリカの音楽の持つ複雑な要素とともに吐き出す作品です。音楽性はファンクロックを中心にしながらも、多彩な曲調を披露します。
 中期以降の作風に顕著だったファンク・ロック、ジェイ・Zやドレイクとの客演から見られるヒップホップ的なグルーヴ、ニューソウル由来のソフトなサウンドと、見所は満載のアルバムです。しかし、曲の間奏部分が長かったり、曲の展開もそれまでのドラマチックさは失ってしまったかな、と思って順位を下げました。


8位:Lenny (6th / 2001)
https://open.spotify.com/album/5a9ALw6xk6jtluuCektmMU?si=eWFyyGgOTgG-zZcwEVxdnA&dl_branch=1

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 ここから上位のアルバムは基本的にかなり良いアルバムだと思いますので、ガンガンいきますよ。
 それまでヴィンテージ機材にこだわったり、オーバーダビングを極力減らしたりと、レトロなサウンドへの追求に余念がなかったレニーですけど、5th以降では、時代に合わせた新しいロック像の開拓にチャレンジしていて、その路線でもしっかり商業的成功や高いパフォーマンスの評価を得ています。特にグラミー賞の最優秀男性ロックパフォーマンス賞を立て続けに4連覇するのは今作の前後です。オールドスクールなロックから離れて大々的にデジタルサウンドを導入したり、さらにポップなヒット曲を生み出したりといった彼の制作の試行錯誤もうまくいっており、90年代末〜00年代の彼はやっぱり脂が乗っていたんだろうと思います。
 今作もそんな前作からの作風を踏襲しつつも、より聴きやすく、それまでのクラシカルなロックの要素とも綺麗に折半されていて、魅力的なレニー節ロックが奏でられています。「If I Could Fall In Love」などの電子サウンドを有効的に使ったロック、ビートR&Bの「Believe In Me」はミックス次第では現在でも通用するようなクールさがあり、ストレートなアメリカンロック「Dig In」などのキラーチューンも備えています。


7位:It Is Time For A Love Revolution (8th / 2008)
https://open.spotify.com/album/5n8PfxHoukvHzyRmzr1Eqb?si=-VFEK2mUQpKXWj4ZXu1-4A&dl_branch=1

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 おそらく彼のキャリアの中ではいちばんバランスの良い作品な気もします。尖りすぎず、聴かせるときはガツンと聴かせられる、緩急もしっかりしていてアルバムトータルでもちょうど良い塩梅のアルバムです。レニー・スタンダードといった内容なので、入門としてもオススメできそうです。
 まずは大名曲「I'll Be Waiting」を筆頭に曲のクオリティは非常に高く、後述のアルバムのような異質さや統一感はないにしても、単純なメロディやサウンドの良さだけで十分なほどの魅力があります。レッド・ツェッペリン風味の「Bring It On」や「Coffee Shop」系のレッチリ風ファンクロックナンバー「Love, Love, Love」、JB風の小気味良いファンク「Will You Marry Me」などホットな良曲揃いの充実度の高いオールラウンドなアルバムです。


6位:Are You Gonna Go My Way (3rd / 1993)
https://open.spotify.com/album/35LzZH7Fgog8lf1hfcdoMQ?si=M2N6MHOQTWO98aNiFkDAjw&dl_branch=1

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 名曲「Are You Gonna Go My Way」を含む、大ヒットアルバム。この曲の印象から、知名度はかなり高いです。アルバム構成は少々散漫なところがあったので、順位は下がりましたが、めっちゃ良いアルバムです。
 彼のミュージシャンとしての圧倒的な強みは、優れたシンガーの持つ「卓越したボーカル」、ギタリストとしての「正確なテクニックとフレージングのセンス」、「稀代のメロディメイカーである」ということ、そして、「機材やレコーディング技術への深い造詣」と「あらゆる楽器をこなすマルチプレイヤーとしての才能」、さらに「アーティスティックな精神性と多様な音楽性を備える許容力と嗅覚」にあります。そんな強固な才能の塊、レニー・クラヴィッツが存分にその能力を発揮していると感じるのは、(上位のアルバムにも当てはまることではありますが)特に今作。
 さらに幅広い表現を身につけた彼が今作で聴かせるのは、多彩なサウンドを取り入れた神秘的なロックバラード「Believe」、ブルージーなギターが光る「Black Girl」、ビートルズやバーズ由来の60sサイケをソウルフルに歌う「My Love」、アコギ主体のドラマチックな長尺曲「Sister」など、屈指の名曲揃いです。レニーはたびたびキリスト教にまつわるポイントを歌詞に入れたりするんですけど、今作それが多い気がしました。メロスには英語がわからぬなので、その理由とかはわからないし、歌詞を気にせず聴く分にはどうでも良いことではあるんですけどね。ごめんね。


5位:Baptism (7th / 2004)
https://open.spotify.com/album/6LToEXs3jBCKIFgC3AWU5R?si=_APMz_1eSS6NH4eKsZhUog&dl_branch=1

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 昨年もOmar Apolloが明らかにオマージュのアートワークでアルバム出してましたね。似たようなのが多いレニーのアートワークの中ではいちばんアイコニックだし、個人的にお気に入りのジャケなので、この順位です。



 ウソです。ごめんなさい。ちゃんと解説します。前作「Lenny」から継承したポップさは、当時の売れ線ロックに向かったわけではなく、これまで彼が根差してきたルーツロックに本来備わっていたポップさ、キャッチーさというものをさらに呼び起こしました。このアルバムはどちらかというとそういった甘いメロディのアルバムなのかな、と思います。
 Big StarやCheap Trickなどに代表されるパワー・ポップが中心のカラーのアルバムで、曲の強度、その豊富なバリエーション、適度なポップさとハードさの加減、どれにおいても死角がありません。ピアノを多用することでバロック・ポップに通じるようなロックなポップさをいちばん的確に表現してるのは今作なんじゃないでしょうかね。
 1曲目の「Minister Of Rock 'N Roll」は今作では異色な後述の5thっぽい作風で始まり、ジミヘン風のボーカルを見せる「I Don't Want To Be A Star」、ブリットポップの香りもする「Lady」、ウィーザー系爽やかパワーポップの「California」など良曲揃いで、アルバムとしてスッキリまとまっているからか、全然長く感じませんし、かなり聴きやすい高品質な出来のアルバムだと思います。
 


4位:5 (5th / 1998)
https://open.spotify.com/album/6MCNMOCRsh6nxs7PNzc0zN?si=edNgK05pSi2VgoEpsAWpyg&dl_branch=1

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 今作以降、レニーのサウンドというものがガラッと変わります。今作までのアルバムを聴いたことがあるのであれば、すぐに変化に気づくと思います。彼の音楽性はキャリアを通してほとんど変わらないんですけど、今作はそんなキャリアの中でも特にサウンド面が特殊なアルバムと言えます。前半は特に電子的な側面が強く、後半では得意のアメリカンロックにもその電子音楽からの影響を滲ませているというような感じの構成です。
 まずは、ファンキーな一面はそれまでも見せてきたんですが、それがより前に押し出されたことですね。カッティングギターやスラップベース、ブラスセクションも増えました。生への渇望を叫ぶオープナー曲「Live」がこのアルバムを引っ張ってくれています。
 さらに、電子的なリズムビートを大々的に導入したことが大きいです。個人的には、この特色が非常に魅力的に感じられたことで順位を上げました。「I Belong To You」ではトリップ・ホップ的な冷徹なビートを中心にしながら、メロウで哀愁深いR&Bに仕上げていたり、「Black Velveteen」ではそれまでのレニーでは考えられなかったような近未来的なデジロックを披露します。ただ、そこでもビートの音色に頼りきることなく、パワフルなカッティングギターを疾走感のある展開のキースイッチにしていたり、とにかくレニーのセンスやバランス感覚が凄まじいことがわかります。「Thinking Of You」はジャミロクワイ風のスムースなアシッドジャズR&B、「Tale Time」では、もはやレニーの迫力のロックボーカルだけでここにいることを許されているかのようなトリップ・ホップ加減です。
 「American Woman」などの直球アメリカンロックも電子的な方法論の中で応用されていて、雑多な音楽性の中にも違和感なく溶け込ませているのはさすがレニー。


3位:Circus (4th / 1995)
https://open.spotify.com/album/0WGH7xwdRoCCNLJEyQQ4Z0?si=NdhV2063RZCEhQe61-z8bA&dl_branch=1

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 彼のキャリア史上最もハードなアルバムになります。70年代前半までのハードロックを基軸にブルース、カントリー、ファンクというアメリカンな要素に加え、今作の特徴として、ヴィンテージ機材を多用し、さらにオーバーダビング(重ね録り)や電子加工を抑えたレコーディング制作だったということもあって、ド級のロック密度を実現。高破壊力の音圧でエナジェティックなロックが何度も襲いかかってきます。そして、これがほとんどレニー一人の録音から成り立っているというとんでもない事実...!
 無敵のハードロックアンセム「Rock And Roll Is Dead」に始まり、エアロスミスのDream On風ロックバラード「Circus」、爆走ファンクロックの「Tunnel Vision」、ストーンズ風のロックバラード「Can't Get You Off My Mind」、強力リフハードロック「Thin Ice」、スムースなR&Bバラードの現代的応用「Don't Go And Put A Bullet In Your Head」など、アルバム通してレニーの得意技がこれでもかと敷き詰められた聴き応えのある1枚。


2位:Mama Said (2nd / 1991)
https://open.spotify.com/album/7A3LlV59lh4KljWa7I6Tks?si=IhYmXH4LSkSfvNU9OpB4Ww&dl_branch=1

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 この1位、2位はやっぱり圧倒的ですね。まずは2位から紹介していきまっせ。
 レニーの出世作にして、ガンズ・アンド・ローゼズのギタリスト、スラッシュとの共作の疾走感のあるファンキーなロックチューン「Always On The Run」、スタイリスティックスなどに代表されるフィリー・ソウルをモチーフとする「It Ain't Over 'Til It's Over」、70年代ニューソウル風の「What Goes Around Comes Around」ではジャズサックスが雄弁なソロを見せます。さらに、切ないギターアルペジオが光る三拍子ブルースの「The Difference Is Why」、個人的に好きなメランコリーな小品曲「Flowers For Zoë」、ショーン・レノンとの共作の情熱的でソウルフルなバラード「All I Ever Wanted」という捨て曲の一切無い完璧な収録曲
 それに加え、R&B要素がかなり大きい今作での、感動的なファンキーなシャウトやセクシーなファルセット歌唱が、このアルバムの最大の魅力だということは間違いありません。文句なしの名盤。1stではなかった開けたスケール感や強力なギターサウンドも搭載していて、まさに完全無欠といった内容です。入門アルバムとしても良いかもですね。


1位:Let Love Rule (1st / 1989)
https://open.spotify.com/album/70Vuh3jYUMO8LLP5BaqZMb?si=BNtGsmy-RbK1DV1KQSv9hg&dl_branch=1

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 1位は1stアルバム「Let Love Rule」。スタジオミュージシャンとして腕を磨いたのち、ついに発表した今作で、世間からの大評判を手にするまでは行かずとも、無名だったレニーがニューカマーの天才として華々しく登場できた第1歩のアルバムです。その後、マドンナへの曲提供・プロデュースのチャンスを掴んで、2ndアルバムで大ヒットを飛ばすことになります。そんなレニーの鮮烈な青写真が詰まった、極めてルーツ志向の1枚。
 60〜70年代のロック、ブルース、R&Bを大幅に意識したノスタルジックな作品で、衝動的にシャウトするレニーはさながら先達のロックスターの影を落としています。主要な録音をほとんど一人でしてしまっている完結っぷりから表れる、煙たく仄暗いライブハウスのような異様な熱気に包まれた暗澹とした雰囲気は唯一無二だと言えます。オルガンやブラスを多用したサウンドには重厚感こそあるものの、壮大なスケールではなく、あくまでも空間の狭さが今作の魅力。まるで、目の前でステージ上に若きレニーがスポットライトに照らされながら歌っているかのような臨場感と夢想的な感覚が奇妙に同居します。その存在を肌で感じ取れる目一杯の音量が肉薄して敷き詰められているような体感があります。この作品に関しては、以降の開放感のあるアメリカンロックとは少し違った魅力ですね。
 今作の主軸は先述の通りルーツロックなんですが、効果的に使われるピアノやブラスのアクセサリーは静謐なジャズの趣も感じさせます。特にストーンズ系の土臭ロックバラード「My Precious Time」ではブルースとジャズとR&Bとがドロドロに溶け込んだようで、ルーツに立ち帰れば、音楽の原点はそういったかなり根源的なグルーヴの世界なんだと感じさせてくれます。今作のそのような点では、名盤と名前が挙げられるような往年のアルバムと同じ地平を彼が描いていたことがわかります。それもレニーの魔術的な表現力なしでは、単純にレトロな機材・録音・演奏というだけでは再現しきれないものでしょう。さらに名盤に共通する要素でもありますが、統一感のあるテーマ性を持ちつつも、バラエティに富んだ内容で飽きさせず、そのうえ、ひとつの世界へ深く引き摺り込むような高い没入感を維持します。ここの優れたバランス加減や、緻密に計算された構成のプロポーションが、以降でも彼が魅せてきたアメリカンロックの曲が、精密に作り込まれてできているということの証左にもなっています。
 そのサウンドに説得力を持たせている大きな要因はもちろん、類い稀なメロディセンスにあるんですが、ビートルズ、ストーンズ、ジミヘン、フィル・スペクター、ツェッペリン、リトル・リチャード、エアロスミスなどのロックの立役者たちの要素を彷彿とさせる感じさせます。オマージュ的に散りばめられたそういったフレーズやリズム、ニュアンスの断片が決して陳腐な形ではなく、頭の片隅に必然的に浮かび上がってくるような確かな感触をもって受け入れられます。あえてここでは、その詳細は記載しないでおきたいと思います。おそらく聴いてきたものがそれぞれ違うと、違う角度からの想像ができると思うので。
 それでいて、良い枯れ具合のシャウトや、タイトで跳ねない堅実なグルーヴ、絶妙な多重コーラスには独自の魅力も兼ね備えています。レニー独自の新解釈というところは、以降でも音楽性を広げながらも自己的なロック像を常にブレずにやっていけた要因になった部分じゃ無いかなと感じます。
 ブルース、R&Bの影響が強かった時代のロックに想いを馳せ、ロックのオリジネイターたちのエッセンスを濃厚に焙煎した渋いドリップが、過激すぎない程よい具合で提供され続ける、まるで我々ロックファンのために作られた楽園のようなアルバムです。



いかがだったでしょうか。以上が、レニー・クラヴィッツアルバムマラソンの結果になりま〜す。
個人的には聴いてて楽しかったのはあったんですけど、咀嚼にかなり時間をかけたというか、聴き込めば聴き込むほどレニーの存在には惹かれていくものの、その音楽性の深さには圧倒されっぱなしで、多分結果を書いた今でも、ちゃんと説明できるほど理解できているのかな、と不安です。ひええええ
びえええええええええええええええええええええええええ

ともかく、この拙文で、レニーの音楽に少しでも興味を持って聴いてくれる人が増えてくれたら嬉しいです。レニーの武器はやっぱりメロディメイカーだってところもあるので、まずはベスト盤か2ndアルバムをお勧めします。

ルーツ音楽に対しての知識や、アメリカンロックを肌で掴んだ感覚はこのマラソンを通して得た大きい経験だったと思います。楽しかった!!


次のはビョークマラソンを予定しています。強敵そうですね。
のんびり待っていてくださいね。

それではまた次回、お会いしましょう!

ほなね。

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