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「俺たちの箱根駅伝」池井戸潤

ばあちゃんが良く見ていたからなのか、うちでよくかかっていたからなのか
「時代劇」って普通にテレビで見ていた。というかテレビでかかっていた、という感覚。見よう!と思うわけでもなく見たい!と思うでもなく「かかってた」。そのぐらい普通にあったものが最近本当にみなくなった。「時代劇がさ~」と子供らに言うと「時代劇ってどんなやつ?」と聞かれてヒエーーー・・・と思った。この子たち、時代劇見たことないんだっけ?

私が一番好きだったのは「大岡越前」。
遠山の金さん的な、後で「やいやいやいやい」って言うのはいまいち好きじゃなかった。身分を隠して人の悪さを見ておきながらその場では特に何もせず、後々「てめえら!」って言うのって覆面パトカーみたいじゃない。覆面に何度もやられている私が悪いけれど
本当に「悪いことを取り締まろう」とするなら身分は隠さないべきだと思うんですよね。堂々とした姿でそこにいてくれたらスピードも落とすし、時代劇の悪い人たちだって「悪いことしないようにしよう」と思うと思う。
というわけで「素顔を隠さず、常に冷静沈着な大岡裁き」が好きだった。
ちなみにその当時飼っていた猫も大岡越前が好きだった。夕方17時にあのテーマ曲が流れると必ずソファに来てテレビを見ていた。
「身分を隠している」かもしれないけれど、それは「悪いものを裁く」ことが目的ではなく「復讐してやる」からいいのじゃないかと思っている「必殺」シリーズも好きだった。

時代劇の何がよくて何が悪いか、それは「結局そうなるよね」という予定調和的なものだろうか。伏線は全て回収されて最後は大円団!面白くもありつまらなくもあり、でもやっぱり「なんか満腹」という気持ちにさせてくれる。決して嫌いじゃなかったな時代劇。なんでこんなに時代劇やらなくなっちゃったのかな。

と、本当に久しぶりに時代劇のことを思い出しました。この本。
ワタシ箱根駅伝が大大大大大好き。

堂場瞬一著「チーム」という本が箱根駅伝の学連(学生連合)についての
小説で何冊かシリーズになっていて、夫、次男、私で読み
みんなで「面白かったねえ」と盛り上がった本でもあります。
有名どころでは三浦しおん著「風が強く吹いている」があり、私のオススメで夫が読み、はまって映画も何度見たかわからないという状況です。
ちなみに「私のオススメ」ではあったのですが夫が好きそうだなと思ったからオススメしたのであって私は読んでいない・・・。まあそういう本はたっくさんあって「これめちゃ有名でみんな面白いって言ってるよ」とか言う本を「持ってるけど読んでない」ということは普通にあります。この「風が・・」にしたって絶対私好みなことはわかっているんだけど、夫が映画を観ているのも何度も横目で見てるんだけど映画も観たことがない。なんとなく途中のシーンは見てるけど見ようと思わない。なんでかな。

で、今回の「俺たちの箱根駅伝」も予選会で敗れ本選出場に至らなかった
選手を主人公にした学生連合の物語。「チーム」とシチュエーションが丸被りだけど大丈夫???と心配しながら読みました。
でも箱根駅伝を「物語」にしようとしたら誰がどう書こうともだいたいの筋書きは一緒になると思うのよねえ。
というわけで伏線は全て回収され「ここで泣け」というところで泣く、という時代劇のような本でした。悪口ではないです。上述の通り時代劇が好きなので。

本当の箱根駅伝について、というか箱根駅伝のテレビについてですが、一つだけ嫌いなところがありました。
それは「亡き父に捧げる」「天国のお母さんに捧げる」「応援してくれたおばあちゃんへ捧げる」という「捧げもの」が多い所。
ランナーの周りの死んだ人を見つけて来て、それは身近な人に限らず
昔の縁あった人、恩師などなど。とにかく「死んだ人いないとダメかい」と思うほど「捧げるラン」を実況で言うのが本当に嫌い。
誰も死んでなくても、その人が幸せいっぱいでも、とにかく今必死に走って
ここに至るまでは死ぬほど努力してるわけでしょ?と思いながら
見ていたのだけれど、今回の小説ではそのことが割ととりあげられていました。やっぱり同じようなこと思う人いるよねえ、と思って満足。

「面白かったけど再読はないな」と思う本は最近売ってしまいます。
でも今回の本は本棚に並べました。

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