私のこと。
1.序章
私は、とある夏の昼に生まれた。
母と父は、何か違和感だった。
私は好奇心旺盛で内弁慶な女の子に育った。
母は毎日のように病院に通っていた。幼稚園に迎えに来ないこともしょっちゅうだった。家で、いつも「勉強」していた。
6歳の頃、母は私と弟を連れて家を出た。
おばあちゃんとおじいちゃんと5人で暮らし始めた。料理も掃除も火事が一切できない母に対し、おばあちゃんはなんでもできた。
幸せだった。
しかし、私は家を出た。父の元に。
おばあちゃんは癌で、その2年後に亡くなったと母づてに聞いた。お葬式にも出られなかった。
2.父子家庭
父と二人で暮らし始めた。
たまにしか遊んでくれない父が大好きだった。
父は子犬をもらってきた。
子犬の名前は父がつけた。「これがいいって言ってたよな?」
何かが狂ってきた。
高学年になり、頻繁に親子喧嘩するようになった。
その度に、私は隠れた。家出と勘違いして焦ったように私を探す父がおかしかった。
よくもわからず中学受験した。
受かって、よくもわからない数字を詰め込んだ。
私は「生きている」のに「死んでいる」気がした。
「エイケン」をサボったら叱られた。
父は激怒し、担任に電話し始めた。学校に行くと、担任は困った顔をしてこう言った。「私は先生なので、何もできません」
私は、将来を考えた。これからどうしよう。
そうだ、東京に行こう。
そこに希望を見出した。
3.希望
高校3年生。父は激怒した。
担任に頼み込んでいた。「絶対に東京には行かせません」
担任は「諦めなさい」と言った。
私は前しか見てなかった。無我夢中で勉強した。
秋頃、だらけてしまい成績が下がった。
父は嬉しそうな顔をした。
「お前はバカだから無理だよ」
心が折れ始めた。
学校に行けなくなった。何をする気も起きなくなって、布団から出られなくなった。父は嬉しそうに電話をした。「もうだめですよこの子は」
悔しかった。もがいていた。
私は布団から出た。塾で赤本をずっと解いていた。受験まで残り一週間。
第3志望の東京の大学に受かった。でも、嬉しかった。涙が止まらなかった。私は18年間の束縛から解き放たれたのだ。これは「勝利」だ。自分への。
今、ここにいる。
自己肯定感も脳みその中身もいつも連絡を取る仲良しもいない。ただ自分のポテンシャルと運の良さを信じて。私は私の「未来」に賭けたのだ。
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