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木造ビルを「社会のコモンに」、を編む。<まちの大家編>

都市・都心・都会。これらの言葉を聞いた時に、こんな街並みを想像するのではないでしょうか。

ブルースタジオ本社の窓から見える景色も臨海部のタワマン群。

しかし、東京などの都心部に住んだことのある人、あるいは訪れたことのある人なら実感できると思いますが、実際はこのような大きくて巨大なビルや建物は、都市のほんの一部。
築地にある本社オフィスの麓も、少し歩けばこんな感じ。

間口が狭く奥行きがあって、背の高いビルを「ペンシルビル」と呼びます。

都市はこのような“ペンシルビル”の集合体なのです。

都市にある建物のほとんどを占めるペンシルビルが、もし木造ビルに生まれ変われば、日本にある豊富な森林資源を活用でき、かつCO2排出を大幅に削減することができるかもしれない。
環境問題を根本から解決できるかもしれない。

と、いうところまでが前号で述べた「まちの大家による『都市の木造化』促進計画」の概要でした。

しかし、現状は都市で開発される木造ビルのほとんどは、大手ゼネコンやデベロッパーが取り組む大規模建築ばかり。
今号では、ペンシルビルのオーナーの大半である「まちの大家」の視座で、本プロジェクトを見ていきたいと思います。

「東中野のまちの大家」 大島さん

普段は「ブルースタジオのクリエイティブディレクター」という肩書きで紹介する弊社大島ですが、今回は家業である大島土地建設株式会社の3代目代表取締役「東中野のまちの大家」大島さんとして登場します。

東京中野区東中野を拠点に戦前から不動産業を営んできた大島土地建設さん。
本プロジェクトの計画地は、築地に移転する前のブルースタジオが20年以上本社を構えていた賃貸オフィスビル「大島ビル第二別館」があった場所です。ビルは築後60年を経過し大規模な修繕もしくは建て替えを必要としていました。駅前の当地は自治体の都市計画や建築基準法の改正で従前の5階建ビルよりも大幅に高い建物を建築することが可能になっていたのです。

東京に限らず大都市中心部では大島ビルのように高度経済成長期に個人オーナー(まちの大家)が小さなビル(ペンシルビル)を一斉に建てたため、その多くが築後半世紀以上を経て、建替えを検討する時期を迎え、それらはまさに今大島ビルと同じような選択を迫られているのです。さらにその多くは相続や事業継承のタイミングでもありますと大島さんは言います。
ブルースタジオがこのプロジェクトを今のタイミングで社会が必要とするモデルケースとして世に問うにはこのような背景があります。

都市の「面的な」木造化を達成するには、大手の大規模プロジェクトだけではない誰でも実践できる「汎用性」とその「普及」がポイントなのです。
だからこそ標準的な工法で「模倣」できるものでなければいけない、そう考え設計、施工チームはプロジェクトに取り組んでいます。

どんな地域でも模倣可能な「まちの事業者チーム」

「木造ビルの建築について、専門の知識や実績のある設計者や工務店がいなければ、実現できないのではないか?」
木造ビルを建てるにあたって、このような疑問が真っ先に挙げられると思います。
 
しかし、本プロジェクトでは専門家の技術的助言を得ながらも、標準的な「まちの不動産オーナー」が「まちの設計者」「まちの工務店」とともに「地域密着型の金融機関(信用金庫など)」の協力を得ながら実現を目指す普及型のチーム体制となっています。

本プロジェクトのチームも、決して木造建築の専門に特化した事業者ばかりではありません。
まちの事業者チームでも実現できることを、本プロジェクトでは実践しています。

一本の木からはじまる、都市の「森」

写真は2024年4月25日時点。まもなく竣工です。

写真は2024年4月25日時点。本プロジェクトは竣工後の太陽光パネルの設置工事を残してあとひと月ほどで竣工予定です。
太陽光パネルの設置と高いグレードの建物本体環境性能(サッシや壁面断熱などの性能)によってZEB(Zreo Energy Building)Ready基準のクリアとBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の最上級認証5 STARの取得を目標にしています。
 
建物の完成はこのプロジェクトのゴールでは無いのです。運用の実績が具体的なカーボンニュートラルを目指す社会の指標となるのです。
 
このような仕組みやプロセスで生まれる中小規模の木造ビルが日本全国の都市部にモデルケースとして広がっていくこと、それこそが本プロジェクトの真の目的なのです。

完成後には、内覧会や都市の木造化について、多角的に理解を深めるトークイベントなども企画しております。
こちらの『編む、ブルースタジオ』初め、ブルースタジオのホームページや各種SNSでも引き続き、情報を発信して参ります。

また、本プロジェクトはこのプロジェクトを通して「都市の木造化」の未来を一緒に描いていく事業者を募集しています。
こちらもぜひご覧くださいませ。

<募集情報詳細ページ>
https://www.bluestudio.jp/rentsale/rs013415.html

物件概要

名称:(仮称)東中野1丁目新築プロジェクト
用途:店舗・事務所
所在地:東京都中野区東中野1丁目97-17、97-27及び97-36
交通:JR中央・総武線「東中野」駅 徒歩1分
建築主:大島土地建設株式会社
建築設計:株式会社ブルースタジオ
構造設計:株式会社KAP
木造防耐火監修:桜設計集団
設備設計:有限会社EOSplus
省エネに関する助言:株式会社TEI japan
施工:株式会社礎コラム
構造規模:1〜4階鉄骨造・5〜8階木造/地上8階建
敷地面積:152.38㎡
建築面積:96.27㎡(建蔽率63.18%)
延べ面積:714.46㎡(容積率439.75%)
外皮および設備仕様
・断熱材:吹付硬質ウレタンフォーム A種1H 0.026W/(m・K) 外壁35mm、屋根50mm
・サッシ:アルミ樹脂複合製(Low-E 複層ガラス)、熱貫流率1.9W/(m2K)
・空調設備:空冷パッケージ(ビルマル)
・換気設備:第三種換気(全熱交換器無し)

★イベント情報★

GOOD DEGISN Marunouchi 企画展
「Tokyo Wood Town 2040 山と木と東京」
会期:2024年4月18日(木)-5月19日(日) 会期中無休・入場無料
時間:11:00-20:00
会場:東京都中央区八重洲二丁目2番1号東京ミッドタウン八重洲1Fアトリウム

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