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お盆休みは読書三昧

8日(月)に大腸内視鏡(カメラ)検査をした時、小さな4mm程度のポリープが見つかった。といっても、その場で切除してもらったし、ほぼ間違いなく良性とのこと。その他には特に悪い所も見つからなかったので、とりあえずホッとして帰宅した。

簡単に取れるものだが、3日間は消化の良いものを食べ、アルコールや刺激物は避けること。1週間は遠出や激しい運動は避けて安静にすることを言い渡された。
せっかくのお盆休みだが、WEB系の原稿がいくつか残っていたし、キャンプに出るのも暑いし、何より「安静」にしておかなければならないし、ということで、今年のお盆休みは家でのんびり過ごすことにした。
時々原稿を書いて、あとは読書。Netflixで映画を観てもいい。たまにはそんな1週間もいいだろう。

検査から帰って来た日はさすがにぐったりしていたので、読書をするにしても、何かエンタメ系のサクっと読めるものにしようと思った。
選んだのは、石田衣良さんの『池袋ウエストゲートパーク』シリーズの12作目、『西一番街ブラックバイト』だ。
夫がこのシリーズを好きですべて家にはあるのだが、私は11作までしか読んでいなかったのだ。最初の頃は夢中になって読んでいたのだが。
数年ぶりに読んだ池袋の街で起こる事件と、それを無償で解決していく果物屋のマコト、池袋を仕切るキング、タカシのやりとりは相変わらずクールで面白かった。この小説はいつもその時代の社会を切り取ったような話題を扱うが、「ユーチューバーという、よくわからない存在が出始めた」という話がとても古く感じてしまった。思わず発行年月を確かめて、2018年であることにさらに驚いた。わずか4年の間に、youtubeというものが急激な進化を遂げたことを感じずにはいられなかった。

翌日は、凪良ゆうさんの新作『汝、星のごとく』を読んだ。
凪良ゆうさんは、青山美智子さんと並んで、最近の私のお気に入り作家だ。
『流浪の月』『滅びの前のシャングリラ』も良かったが、これも負けず劣らずいい作品だった。
この人の作品を読むと、世の中にはいろいろな形の愛があるのだと気づかされる。やじ馬で無責任な“世間”というものが、どれほど人を生きづらくさせているかということも感じる。
今回は、選べない“親”を背負って生きていくことの辛さや、女性が自立することの大切さも考えさせられた。
最後は、悲しい愛の形に、少しだけ泣いてしまった。

次に、瀬尾まいこさんの新刊『掬えば手には』を読んだ。
瀬尾まいこさんは初期の頃からずっと好きで何作も読んできたが、ある時急に「なんか違うなぁ」と思い、一時期離れていた。2019年の本屋大賞をとった『そして、バトンは渡された』を本屋で見つけて、久しぶりに読んでみたのをきっかけに、また少しずつ読むようになっている。『夜明けのすべて』はとても好きな作品だった。
この作品も、瀬尾まいこさんらしい、ほっこりするような読後感だった。心地よくユーモアあふれる会話で物語が成り立ち、登場人物がどんどん愛しくなる。ややファンタジー的な要素もあったが、「そういうこともあるかもね」と、すっと受け入れられる。優しくて、癒される作品だった。

それから、窪美澄さんの『夜に星を放つ』を読んだ。
窪美澄さんは『ふがいない僕は空を見た』をかなり前に読んだことがあったが、自分の好みではないと感じ、それ以来、彼女の作品を手に取ることはなかった。
ただ、少し前に親友が「最近、窪美澄さんの小説にハマってる」と話していたので、それならまた何か読んでみようかなと考えていたところ、直木賞を受賞されたニュースを見て、これはもう読むしかないなと手に取った。

5編の短編からなるこの本。どれも主人公の細やかな心情が描かれていて入り込みやすく、「真珠星スピカ」「星の随に」が特に気に入った。
ただ、思ったのは、力のある作家さんだとは思うが、直木賞受賞作品は果たしてこれでよかったのかな、ということ。もっと彼女らしい作品もあったのでは……?と、ふがいない~を読んだ印象でそう思ってしまった。何作も読んでいないので、本当にイメージだけなのだが。それを確かめるためにも、もう何作か読んでみないといけないなと思う。

そして、さっき、もう1冊読み終わった。柚木麻子さんの『本屋さんのダイアナ』だ。これは友達が「きっとかおりさんが好きだと思う。『赤毛のアン』や向田邦子さんの『父の詫び状』が出てくるし」とすすめてくれたもの。実際、タイトルの「ダイアナ」という文字を見ただけで、すぐに『赤毛のアン』の親友ダイアナを思い浮かべていた。

まったく異なる境遇に生まれた二人の女の子が親友になり、そして、それぞれの想いを抱えて別々の道を行く。そこにはいつも「本」の存在がある。
『赤毛のアン』や向田邦子さんの話だけでなく、この作品にはいろいろな名作が登場する。文学少女だった私にはそれがたまらなかった。
小さな事件と勘違いで気持ちを通わせられなくなっていた二人が、最後の最後に再び友情を取り戻す。自分の手で、自分にかかっていた呪いを解く。このストーリーの流れが、まるで敬愛するモンゴメリ作品のようで、そのことに感動して涙してしまった。

柚木麻子さん、初めて読んだのだが、他の作品もまた読んでみたい。「本屋さんのダイアナ」は私のお気に入りの1冊になった。海外の少女文学が大好きだったという人なら、絶対気に入ると思う。

そんなわけで、今週読んだのは5冊。読書三昧のお盆休みとなった。
こうして続けて本を読んでいると、やっぱり私は小説が好きだなぁ、活字が好きで好きでたまらんなぁと思う。
本の世界に没頭した幸せな1週間だった。
明日からはまた忙しくなるのでこんなにたくさんは読めないが、まだ積読はあるので、少しずつでも読書の時間をとるつもりだ。

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