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外国語ができればきっと世界が広がる(はず)

今ではすっかり、出張中に立ち寄ったパワースポット巡りや、その場所のグルメ情報をまとめることに生きがいを感じるようになった私ですが、25年ほどの社会人生活の中では、部下を十数人抱えて組織を運営するようなこともやっていたり、光陰矢の如しとは言いますが、いろいろな経験をさせてもらってきました。


ある部下からの相談

管理職当時、部下の一人から「会社を辞めて留学したい」と相談を受けたことがありました。彼の話を聞いてみると以下のようなことがその思いの発端だったようでした。

  • 昔から外国語を使うことに対して強い憧れがある

  • 今の環境では外国語を使う場面に恵まれないので、環境を変えたい

  • 環境を変えただけでは外国語が使えるようにならないので、まずは留学したい

しかし、その時の彼の話をどれだけ聞いても、留学して英会話ができるようになることがゴールであり、その先については何も考えていないようでした。英語が話せるようになれば、必ずや明るい未来が待っていると考えている印象だったということです。率直に言って、英会話できるようになりたければ、時間はかかりますが日本国内だけでも完結できると思います(現に私は、留学や駐在経験なしですが英語を話すことができます)。幼少時代から海外で生活するとか、せめて大学生くらいの年頃に数年単位の留学をしたのであれば話は別だと思いますが、30歳を超えた年齢で「英語だけ」を学びに行くというのはかなりのリスクがあると思いました。何がリスクなんでしょうか?

社会人が外国語習得を目的に留学するリスク

社会人が働いている会社をやめてまで語学習得だけを目的に留学するということはやはりリスクが高いと思います。

  • お金稼がないと生活できない(潤沢な貯金や資産があれば話は別です)

  • 語学留学だけでのブランクは再就職の際にディスアドバンテージになる可能性

  • 外国語(特に英語)が話せる人は日本人にもたくさんいるので差別化が難しい

少なくともこのような3つはリスクとして考えておくべきだと思います。そして働いていると分かりますが、

「英語を話せる」=「仕事ができる」という方程式は成立しない

んですよね。「仕事ができて英語も話せる人」は日系企業でも外資系企業でも重宝されますが、その逆は重宝されることはないですし、一時期重宝されたとしても、そのメッキは近い将来に必ずや剥がれてしまいます。

自らの英語習得の経緯を振り返ってみる

自分自身もそうだったんですが、日本人の多くの方は英語というものにとても大きなコンプレックスを持っていると思います。義務教育、更には高校・大学と進学している人の場合、学校の授業で存分に英語に触れる機会があったはずなので、多くの方は読み・書きについてはある程度のスキルが身についているはずです。自分の子供たちを見ていると、最近の英語教育では、会話(コミュニケーション)を主体とした学習にも力を入れているようですが、それでもその絶対時間は少ないと言わざるを得ないでしょう。

私は大学院まで進学した経緯があるので、前述のように読み書きについてはある程度のレベルだったと思います。でも会話(話す聞く)についてはものすごく頼りないレベルでした。それでも、比較的積極的に外国人に挑むという姿勢はあったほうだと思います。しかし仕事に於いてはやはり読み書き中心の外国語環境でしばらく働いていました。そんな私が初めてマネージャーと言う立場になり海外取引先との交渉などを任された32歳の頃、見事に英語の壁にぶち当たりました。それまではメールでのやり取りを中心に仕事していたので、「外国人とのコミュニケーションなんて簡単なもんだ」と根拠のない自信に満たされていたのですが、この時から「会話=コミュニケーション」を急に求められるようになりました。更に「コミュニケーション=ビジネス交渉」ということになるのです。これには心底参ってしまいました。

愚行中の愚行

初めての取引先との会議。正直相手がベラベラと話している内容がほぼ(100%に近いくらい)聞き取れませんでした。それでもマネージャーとして参加している以上、何かを話さなきゃいけない状況で私が取ったのが「ギャンブルポジション」。そう、クローズドクエスチョンに対しては「Yes-Yes-No」なんて順番を決めて答えるという愚行中の愚行。いま思い出しても恥ずかしいくらいの、やってはいけない行為です・・。

まあこんな愚行はあっという間にボロが出て、ご想像通りのハチャメチャな状況になりました。。当たり前です。もう完全に自信喪失した日々を送っている時、別の取引先の幹部である香港人から言われた言葉に、心のもやもやが一気に晴れる思いとなりました。

胸に刺さった香港人のメッセージ

「あなたが英語が苦手なのは手に取るように分かる。私にとってもあなたにとっても英語は所詮第二外国語だ。うまく伝えられないことがあるのは当たり前。だから自信を持って伝えたいことを言ってくれればいい。時間がかかるかもしれないけど、私もあなたの言葉が理解できるように聞くから大丈夫!」

恥ずかしさを乗り越える

この言葉、ありきたりなメッセージかもしれませんが、本当に肩の荷が下りるというのはまさにこのことだと言うくらい、楽になりました。あの時以来私は生まれ変わったと思います。

  • 間違っててもいい、とにかく恥ずかしがらずに伝えたいこと口にしてみる

  • 聞き取れなかったら必ず聞き返す(簡単な文章にしてもらう)

文章にしてしまうと当たり前のことなんですが、以外にこのあたりができない人が多いのではないでしょうか?私は香港人のメッセージを聞いて以来、このようなことをを心がけるようになりました。我々日本人にとっては日本語以外の外国語はいずれも「第二外国語」です。完璧に話せるようになるにはそれはもう相当が努力が必要になるもの。でも逆を言えば完璧(ここでは母国語並みに話すこと)を目指さないのであれば、そこそこの努力でもなんとかなるものだと思うのです。そしてその努力の中でも大きなポーションを占めていると思うこと。「恥ずかしさ」を乗り越えることだと私は思っています。

30歳を過ぎ、仕事を辞めてまで言葉を身に付ける為に海外でに行くというのは大きなリスクです。幼い頃から海外で暮らすというのであれば話は別ですが、30歳を過ぎてからの英会話習得だけを目的とした1年程度の留学では発音もまともなものが身に付くとも思えませんし、後世に語り継がれる程のストイックさがない限り、仕事において大きなアドバンテージになる程の英会話力を習得するのはほぼ不可能だと思います。

外国語を使う部署への異動を試みる

ではどのように英語を身に付ければいいのでしょうか?ある程度の歳になった後は、やはり仕事を通じてというのが一番の近道ではないかと思います。そのような環境にいないということであれば致し方ないですが、前述の部下はその当時、某外資系企業に勤務中でした。しかし周囲にはあまり英語を話す人はいないとのこと(小規模外資系でなければ、意外に英語が話せないという人が日本法人には多いのが実状)。ただ、某社においては一部のメンバーのみが英語を使う業務に従事していました。つまり言い換えれば、その一部に英語を使う必要のある業務が集中してしまっていたのです。本当にやる気があるのであれば、自らそのポジションを希望して飛び込んでみるのもありでしょう(希望が叶うかどうかは何とも言えませんがトライしてみることがとても大切です)。

私の部下の場合はまだ若いので、もっと英語を使う機会が多い別の会社に転職してみるというのもひとつの手かもしれません。ある程度の年齢になってしまうと過去の実績が大きなポイントになってきますが、30歳という年齢は、まだまだ可能性に対して投資してもらえる年齢です。敢えて新しい世界に飛び込んでみることで一気に自分自身を成長させることができるかもしれません。

外国語を身につけやすい環境を作る

英会話習得には環境がポイントです。考え方次第で日本に居ながらにしても十分に身に付ける環境を作ることができます。前述の通り、仕事の環境をデザインすることもよし、外国人が集まるバーに出かけてみるのもよし。あとは通勤時間や空き時間(お昼休みや就寝前など)に積極的に英語に触れることも重要でしょう。特に読むこと、聞くこと、話すことに時間を割きたいものです。

読むことについて、私は電子書籍リーダーで英語を読むようにしています(とはいってもなかなか理想通りにはできないのですが)。

聞くことについてはiPhoneでPodcastと海外のラジオが有効です。特にが勉強になるのでオススメです。私はイギリス企業に現在勤務中なので、BBCのサービスにはとてもお世話になってます。スマホ用のアプリ経由でも聞くことができるので、ぜひ探してみてください。

ひとり瞬間英作文

瞬間英作文をやってみるのもオススメです。私は我流でやっていますが、書籍などもたくさん出ています。

私の場合、プレゼンをイメージしたり、あとは身近なもの(歩いている時に目に止まったもの)を外国人に紹介するというロールプレイングを一人でやっています。基本ひとりごとなので、もしも近くにいる人の耳に届いてしまったら気持ち悪がられることも多々あるかもしれませんが、そんなことは気にせずにトライあるのみ。とにかく、自ら積極的に英語環境を作り出すことが成功への近道だと思います。

外国語習得の臨界時間

「英会話習得には臨界時間がある」という話を聞いたことがあります。説によりますが、1000~2000時間程度がその目安のようです。この臨界時間を超えるまで別の言語に触れる時間を作ることが出来た時が、その言語を習得できる時です。これはもちろん連続である必要はありません。塵も積もれば山となる。二宮尊徳の教えである「積小為大」の精神で臨むことが大切だと思います。例えば、1000時間として1日に1時間英語に触れる時間を作ったとして2.7年必要ということになります。これはかなり大変だとは思いますが、積小為大の精神でコツコツやり続けるしかありません。この2.7年に、前述のような「仕事」で英語を使わなくてはならない環境がプラスされれば、住宅ローンの繰越返済のごとく、英会話習得までの時間も短縮されるものだと私は考えています。

まとめ

日本人が、ネイティブのように外国語を話せるようになるのは難しいと思うのですが、伝えたいことを伝えられるようになるのはそれほど難しいことではないと思います。近道はありませんが、コツコツ続けること、そして恥ずかしさを捨てることで、外国語力は必ず身につくものと信じています。

私も負けないように、仕事力のみならず、英語力を磨き続けないと!その前にビールでも飲もうかな(乾杯〜)


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