見出し画像

ワークライフバランスを考えるなら外資系企業の方がよい理由

外資系企業で働くようになって十数年。この間に、現在勤務する企業を含んで3社で働いてきました。米系ー米系ー英系という順番になりますが、外資系企業は日系企業に比べると圧倒的に「ワークライフバランス」を追求しやすい環境にあるなと肌で感じます。具体的にどんなことなのかを列記してみたいと思います。

休日について

休みについてはかなり自由だと思います。僕は日系企業勤務経験が2社(12年)しかありませんが、当時は有給休暇を取得するためには「それ相応の理由」とそれに基づいた「上長の承認」が必要でした。理由なしで休みたいなと言うときは、この制度下ではなかなか承認が得られにくい。またそれ相応の理由がある時でさえも、上長のパーソナリティによっては「承認」をしないケースなどもありました(僕の場合、マイホーム契約のためにどうしても休みを取りたかったのに「お前のマイホームとこの商品の納期どっちが大切なんだよ。お前この案件ロスったらどう責任取るんだよ」って言われたことがあります。どう考えたって僕のマイホームのが大切だし、責任云々言うなら上長のお前がやれよって言い返しましたが)。

だからみんな「仮病」を使って休んで、後日病欠だったはずなのに話がおかしな部分が出てきて嘘のメッキが剥がれて…なんてことがあったりする。完全に負のスパイラル。

その点、僕が今勤務している英系企業は有給休暇取得についての「承認」がまずありません。勤怠システム上で「申請」するのみ。理由についても記載不要。休みたいから休む。ただそれだけ。至ってシンプルです。ちなみに病欠の場合には有給消費をする必要はありません。Annual LeaveとSick Leaveは明確に区別されています。

近年では日系企業でも増えつつあるようですが、Maternity LeaveはもちろんPaternity Leave(男性の育児休暇)も昔から当たり前のように利用されてます。Parternity Leaveを取得するためにしばらく仕事できないよという連絡に対して"Congratulations!"というレスが受信者から続くのが僕は好きです。

現在勤務している企業が英系、つまりヨーロッパの会社なのだからかもしれませんが、弊社では4年勤続で1ヶ月の休暇をもらえます(Sabbatical)。僕が以前勤めていた日系企業(東証一部上場)では10年勤続で確か5日間(プラス金一封)、20年勤続で10日間(プラス金一封)だったように記憶しています。4年で1ヶ月というのは日系企業に比べるとかなりの大盤振る舞い。ということで僕は今まさにそのSabbaticalを利用して2週間の休暇の真っ只中。もちろん休暇中には、全てではないにしても僕の仕事を代理で対応してくれている上司や同僚がいるわけで、そういう皆さんには心の底から感謝です。

待遇について

外資系企業は待遇が良いとよく言われますが、おそらく所属している業界によって差異があるんじゃないのかなと思います。例えば金融系、コンサル系は外資だと日系と雲泥の差があるらしいですし。ちなみに僕が所属しているいわゆるIT系だと若干待遇が良いかなという程度でそんなに大きな差はないと思います。

ただセールスなどいわゆるコミッション(Commission)ベースの給与体系の場合にはその営業成績によって大化けすることがあるというのは事実。弊社ではベース給料(いわゆる年俸)に対して50%〜70%がコミッションなので、例えば年俸が800万円でコミッション50%という契約であれば、年間予算(Quota)を100%クリアしたときには400万円のコミッション(ボーナス)が出るということになります。よってこのケースだと年収1200万円になりますね。あとよく見かけるのは年初に定めた予算を大きく上回ったときの特別コミッション。これによって年俸の3〜4倍程度の年収になるような人を過去多く見かけてきました(残念ながら僕は稀にしかそのようなお祭りに巻き込まれたことはありませんが)。各人の職級(Job Grade)やそれに伴う契約内容次第ではありますが、大きく跳ねる可能性はあるということです。ギャンブルのような感じにも見えますね。

給料以外だとストックオプションやRSU(Restricted Stock Unit)が外資系企業の特徴でしょう。RSUとは英語での記載通り「制限付き株式」というもので、例えば毎年1000株ずつが割り当てられる(Grant)のですが、それを自分自身のものになる(Vest)タイミングが制限されている株式です。よくあるのは4年間に渡って最初にGrantされた1000株をVestするというもので、つまり最初の年は1000株の1/4である250株、2年目は更に1000株がGrantされているためVestできる株式が500株に、更に3年目は750株に、そして最終的に4年目以降は1000株が毎年Vestできるということになります(もちろんGrantされる株式が増えればそれ以降にVestできる株式も増えます)。ストックオプションと違って株式を自分自身のものにする際にお金が不要なのでクリアでわかりやすい。更に毎年Vestできる株式がどんどん増えていくので、仕事に対してのモチベーションがクリアになります。株価が上がればそれだけGrant済み株式の価値が比例して上がるわけなので、仕事へのやる気も自然とアップします。社員をやる気にさせるためにはシンプルだけどとても効果のある方法だと思います。

その他、日系企業の持株会に当たるESPP(Employee Stock Purchase Plan)というものもあります。

仕事について

よく言われますが、外資系企業は完全なる成果主義の側面が強いです。どれだけいい仕事をしていても、結果が伴わなければ評価が下がる可能性が高いのが現実です。

有言実行
有言不実行
不言実行
不言不実行

上記4つについて、有言実行が最も良い評価であるのは疑問の余地がない判断だと思います。日系企業においては上記4つの中にある「不言実行」において、好結果が伴えば良しとされる傾向が強いと思いますが、外資系企業においては完全にアウト。結果が伴ったとしても評価を下げられるという傾向が強いのが現実です。このあたりはForecasting Accuracyを重視するからこその対応なのかなと思います。

外国人とのコミュニケーションはとてもオープンだと思われている方も多いかと思いますが、それはその通りでしょう。僕が働いたことがある3社においては階級とは関係なく皆がファーストネームで呼び合うことができるオープンな関係を築くことができます。

しかしいくらオープンな関係を築けるからと言って、仕事においてはそれぞれの役目(Accountability)を超えてのやり取りは厳禁。つまり、製品担当者がセールス側が責任を持つべき案件に対して口出しをするといういわゆる「越権行為」は、いくらその行為をした人が階級的には上だとしても絶対に許されるべきものではないということです。このあたりの曖昧さ(組織や階級)というのは日系企業の方が緩いのではないでしょうか。

まとめ

思いつくままに記しましたが、外資系企業は厳しさがある半面、働きやすさがかなり多いのではないかなと個人的には思っています。先月ついにアラフィフ1年目に突入し、小学生の娘たちをこれから育てていかなくてはならない僕にとっては、外資系の厳しさで仕事を変えざるを得ない状況になるというリスクは常にあるものの、いまのワークライフバランスを保てるよう、今後も仕事に精進していかなくてはならないなと、安穏とすることなく心を引き締めている次第です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?