「鑑定士と顔のない依頼人」他が書かない究極のネタバレを考えてみた
シルバーウィークな訳ですがコロナで中々遠出もできないので映画をU-NEXTやNETFLIXで見る事が増えたわけですが、昨日見たのが「鑑定士と顔のない依頼人」
ちょっと前の映画で2013年。公開当時は、”絶対騙される!””大どんでん返し”的なキャッチーフレーズで大々的に宣伝されていた映画ですが、見る機会が無いがまま、今さらやっと見る事に。
結論としては、
・・・・いや、、そんなにどんでん返しか・・・これ??
という割と想定外から最後まで離れない展開に、むしろどんでん返しを頑張って探す羽目に。
しかし、あーだーこーだ無理やり考えていたら、とうとう発見しました。この映画の究極のどんでん返し部分を!
という事でそれを解説してみようかと。
■1.あらすじ
一応あらすじを書きますと、一流鑑定人という立場を利用して、古くからの友人画家であるビリーと共謀して、自らが仕切るオークションで自分が欲しい絵を安く買ってきた主人公のおじいちゃんヴァージル・オールドマン
時には本物を贋作と鑑定をして値段を下げてオークションをし、実際本物を購入する金額より破格の値段で絵画を獲得していきます。
その主人公ヴァージルに、ある日謎の女性クレアから「両親が亡くなった後の財産を鑑定して売って欲しい」という依頼が来て、実際に屋敷を訪ねる訳ですが、クレアには会えず。何なら何度行っても居留守。ようやく本人登場かと思いきや姿は見せられないとして、屋敷の部屋に隠れて声だけ出演。
そう。クレアは対人恐怖症的(映画では広場恐怖症と言っていますが)な病気で、結局のところ鑑定人とは壁越しで鑑定や売買の取引を行っていく訳ですが、だんだんヴァージルは声だけのクレアをとっても気になっていく。
そして少しづつ信頼関係を築く中で、クレアもヴァージルに慣れて対人恐怖症を解消しご対面した所、両想いに。年の差40歳ぐらい?のカップル誕生。勢いあまってヴァージルはクレアを自分の家に引き入れて同棲も始めちゃう。
人生60を超えて春を迎えた主人公。最高の時をこれから素敵な女性と迎えていくんだ俺~!。。。。と思った矢先に、出張から自宅に帰ってきたヴァージルを待ち構えていたのは、オークションでだまし取ってきた自慢の絵画がことごとく消滅しており唖然。全て騙されていたのだと最後に知る悲しいお爺さんの物語。
・・・というストーリー。
要は良く身元の分からない女性と仕事の中で恋をしてしまって家に引き入れた結果、全部財産だまし取られました。
とそれだけのストーリーな訳なのですが。宣伝文句の「大どんでん返し」というほど、それはどんでん返しではなく。明らかにクレアに騙されるであろう。「おじいちゃん気を付けて~~~」という事はずっとみんな薄々思いながら映画を見てて最後に「やっぱりそうだった。トホホ」ってなるので、全然どんでん返し感が来ない訳です。めちゃ予測できる展開やん。と。
■2.定説のどんでん返し
しかしながら、それではイマイチなので、皆さんが解説を沢山書いてくれていまして、それらの主要コメントをまとめますと。
この映画のどんでん返しは
● ヴァージルが、クレアへの恋愛相談していた若い機械職人・ロバートと、そしてオークションでズルを手伝っていた画家のビリー。主要登場人物は全員グルでした。
という事がどんでん返しだったね。となる訳ですが、まぁ・・・それでもまだいまいち、どんでん返し感が薄い。
クレアはもちろん相談相手のロバートはどう考えもずっと怪しい訳で。
共犯画家のビリーは、確かにその匂いを全く出さずに最後にグルだったのねでちょっとはどんでん返し感がありますが、まぁ1人グルが増えた程度な驚きな訳です。
■3.しかし、新説、この映画の究極のどんでん返しを見つけてみた!
という事ですが、上記定説とは異なるこの映画のどんでん返しに私気づきました。そこに気づくとこの映画の評価が180度変わります!
それは何か!?
そう、この映画の一番ミソは、「贋作」
映画の中で語られる「贋作者は、どうしても自分のサインをその作品に残したくなる」このフレーズがテーマな訳です。
この映画で言う所の贋作、そしてその”サイン”を見つける事がこの映画の最も重要なテーマだったわけです!
そしてそれは何か?
そう。
贋作は、クレアの屋敷全てが本物のそっくりの偽物であった事
クレア自身はもちろん。骨董品は全てレンタル品。召使さんも偽物です。
でもそんな完璧な偽物館を用意したにも関わらず、ついつい人はサインを作品に残したくなるのが今回のテーマ。
そしてそのサインは、クレアのお母さんの肖像画。これが贋作者の自己主張のサインです!!
この肖像画は、最後、ビリーから主人公に送られてきます。
そう、この絵は、このビリーが書いたものだったわけですよ。
ビリーはお屋敷全ての価値ある骨董品の中に、自分の作品を忍ばせており。気づけとばかりにサインを出しています。正に「贋作者は、どうしても自分のサインをその作品に残したくなる」という事です。
そして、ヴァージルはきちんとビリーの美術を評価してきませんでした。クレアとの会話では「若い美術家の作品をどうやって評価するのか?」という質問にヴァージルは「勘だ」と言って全くきちんと審美していない事がわかります。
そうしてちゃんと評価されてこないせいで美術家として将来を奪われたパートナー・ビリーの復讐劇と繋がる訳ですが。
ビリーはちゃんとヴァージルが自分の絵をもっとよく見てくれていたら気づける筈のサインを出していてあげたにも関わらず、ろくに審美してこなかった為に、そのサインに気づく事が出来ないまま全てを奪われてしまう訳です。
「あれ、これ、ビリー・・・お前の絵じゃないか?」と気づいてさえくれたら、こんなバカげた犯罪に簡単に気づけるのに。。。とビリーは思いながら、出来れば気づいてほしいと願いながら・・・最後まで気づかないバカな主人公を哀れんだことでしょう。
こうしてある程度ヴァージルにヒントが与えられてきたフェアな復讐は、仕掛け人ビリーの勝利で終わる。
これこそが、この映画のミソだったのです!!
■4.一応矛盾ないか確認
上記考察に矛盾が無いか確認してみますが、
①踊り子の絵は本当にビリーが書いたのか?
まずこの絵がビリーが書いた絵である事は、絵の裏にビリーの文字がある事で送り主がビリーである事は分かるのですが、ビリーが書いたかどうかがはっきりしません。しかし、それは最後のオークションの挨拶で分かります。ビリーが退職祝いに絵画をヴァージルに贈った事を伝えた際、ヴァージルはビリーが書いた絵である事前提に「燃やさないようにするよ」と言います。
この会話は、このパートナーが人の絵ではなく、自分が書いた絵を最後プレゼントに贈っている。という事が双方理解した上での会話である事を示唆しているので、踊り子の絵はビリーの絵だ。という事で良いでしょう。
②いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む
そして完成したオートマターが録音機に話す「いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む」というセリフですが、これは、他の考察であるように、「クレアとの恋愛は本当だっただろ?」という事をヴァージルに伝えるのはおかしいです。だってヴァージル的にはそうだけど。クレア的には違うから。
このセリフ最後にオートマターに話させる意味は?
むしろ「贋作の中にある本物を見つけられなかったようだね!」
と皮肉を言っていると解釈する方が自然ではないでしょうか?
こう考えていく、あまり今回のこの映画のテーマは、「贋作者は、どうしても自分のサインをその作品に残したくなる」そのサインに気づけるか?
である。という解釈は破綻していなそうである。
■5.それでもモヤモヤは残る
さて、とは言えですがモヤモヤは残り続けます。
①オートマター
これは全くこの映画に必要ありません。主人公が足しげく屋敷に通ってちょっとづつ女性と知り合う為と言えば、そうなのでしょうが。別にオートマターである必要性が無いでしょうね。。。女性がちょいちょい難癖をつけて呼び出せばいいだけな訳なので。
②本当のクレア
この子も映画に必要ありますかね。。。もちろんクレアが映画の途中で伝えている「213」という言葉が、女性が出入りしていた数だったり。実は女性は外に出てるんだよ。という事を暗示させる役割があったとしても。
女性はどう考えても外に出入りしているのは明確なのだから。
最後、お屋敷の本当は主だった。という話も必要が無い気がしており。
お屋敷がガラガラで映画の撮影とかに使われている。という話を最後主人公に伝える役割だけであれば、カフェの店長で十分なのである。
この2つの意味がありそうで非常に世界観上重要な要素が、特に無くても成立してしまう所がこの映画のプロットのおかしなところな訳で、物凄く映画を面白くしそうな要素であり、伏線しっかり貼って欲しいこの2つの出演を、全く活かしきれてないのである。
■6.まとめ
という事で、定説のどんでん返し主要登場人物は全員グルでした。
↓
新説どんでん返し「贋作者は、どうしても自分のサインをその作品に残したくなる」そのサインとは?
と考えると、この映画は果てしなく伏線に満ちた。ずっと答えは始めの方に提示されてきた、そんな究極のどんでん返し映画!になりませんか!?
以上。あくまで私説なので、完全に個人の考えである事をご理解いただきつつ。そんな解釈もあるかもね~と楽しんで頂ければ幸いです。終わり。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?