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設定ばかりの漫画だとナゼ「つまらない」と感じるのか?①

なかです。
ワケあって、アパレル→マンガ編集者になりました。
詳しくは前回の記事を!

ということで、いろいろ勉強している最中なのですが、備忘録的に作品制作段階で調べた内容や、自分も脚本書くの好きなので、そこで得た知見をもとに書いていきたいと思います。

今回は「設定ばかりの漫画だとナゼ?つまらないと感じるのか?」という話をふかぼりしていきます。

まず、なんで今回のテーマかというと「Webtoon(縦読み)漫画市場において、設定に重きを置きすぎた作品が多く見られる現象」これ、よく起きてるよな〜と感じるからですね。

これを編集者として、一人の物書きとして解消したい。

この記事では、読者がストーリーに求めるものと、作品が提供すべき要素のバランスについて掘り下げ、Webtoonクリエイターがどのようにして独自性を保ちつつ読者を引きつける作品を生み出すかについての具体的に考えていきます。あくまで、個人の見解です。

さらさら書いていくので、読みづらければすいません。

設定の過重がストーリーテリングを阻害している

漫画において設定は、その世界を理解するための土台。しかし、設定に過度に焦点を当てた結果、物語そのものの進行が阻害されることがあります。

例えば、僕の大好きな漫画H×Hは、その緻密な世界観と複雑なシステムで高い評価を受けていますが、一部のファンからは設定に過度に焦点を当てた結果、物語のペースが犠牲になっているとの指摘もあります。グリードアイランドで挫折した人多いんじゃないでしょうか。。。。

「念」のような独自の能力システムは、非常に創造的で、キャラクターの能力や戦い方に多様性と深みを与えていますが、(レオリオが好き)その複雑さが物語の進行を遅くする原因にもなっています。

特に、キメラアント編以降での念能力の説明は非常に細かく、その詳細な解説がエピソードの進行を遅らせる一因となっています。戦闘の度に新たな念の能力やルールが導入されるため、本来の物語の流れやキャラクターの感情的な動きにブレーキがかかり、物語全体のペースが不自然に感じられることがあります。でもそれを物ともしない面白さがHHの魅力!

つまり、H×Hの例から学べることは、設定の複雑さが必ずしも物語にとってプラスに働くわけではないということ。複雑な設定は確かに作品世界の深みを増すが、それが物語の進行を妨げ、読者が感情移入する機会を奪う場合もあるんですね。(冨樫先生のように熱狂的なファンがいるならいいですが、無名のクリエイターにこのやり方はハードルが高いって事です。やりたいならやればいい!)

なので、漫画家や脚本家は、設定の詳細をどのように描写し、読者にどのように情報を提供するかを慎重に選ぶ必要があると思ってます。

話を戻して、特にWebtoonなどの縦読み漫画では、スクロールする形式が読者の読みやすさを大きく左右し、設定の説明が多くなりすぎると物語のテンポが損なわれやすいという欠点があります。なので、設定が多めの漫画は向いてないんじゃないか?という仮説が立ちます。

設定の展開方法と物語の流れ

「でもオリジナリティ出すなら設定多くなっちゃうんだけど、どうすればいいの?」これに対する現時点での答えは、単純に「設定を削りつつ、物語が進む中で自然に明らかになるよう工夫する」だと思ってます。横漫画と変わらないですね。これが上手い漫画がワンピースなので説明しましょう。

物語に織り交ぜられた設定の例: 『ワンピース』

  1. 世界政府と海賊の関係:
    『ワンピース』の序盤では、世界政府の存在や海賊たちの背景はあまり詳しく語られない。しかし、物語が進むにつれて、世界政府の影響力や海賊たちに対するその取り締まり、さらには革命軍の存在など、政治的な背景が徐々に明らかになっていく。

  2. 歴史の謎 – 空白の100年:
    オハラの学者たちが追い求める「空白の100年」は、物語の初期から謎として存在していますが、その詳細はゆっくりと明らかにされます。ロビンの背景を通じて、この謎が徐々に解き明かされていきますね。最新話でもまたロビンが鍵を握っていそうな匂わせが……(2024/05/07時点)

  3. 悪魔の実とその能力:
    物語の初めに登場する悪魔の実の能力は、一見すると単なる特異なパワーの源ですが、これがどのようにして世界の様々な文化や技術、さらには政治に影響を与えているかが、物語が進行するにつれて明らかにされていく。(個人的にバギーの再登場に期待)

これらの例からわかるように、『ワンピース』では複雑な設定が物語全体にわたって巧みに散りばめられており、読者が情報を消化しながら自然と世界に没入していく構造になっていますと。

これにより、設定の説明が物語の進行を阻害することなく、逆に物語の魅力を高める要素として機能していると考えられます。もちろん空島でフェードアウトした読者はたくさんいるのは分かってます。

……で、じゃあWebtoonはどうすればいい?

僕の中の仮説(感覚)では
・設定は各話1つまでにして小出し
これが基本かなぁ?と考えています。あくまで感覚値ですが、一読者として考えたときに、これなら消費カロリー少なくて済むのでサクッと読んでくれるかなと思いました。

キャラクターと感情の繋がり

もちろん、設定の詳細が重要なのは事実。ですが、漫画の魅力はキャラクターを通じて生まれる感情的な繋がりにある、ということを忘れちゃいけない。設定だけ読むんだったら、ゲームの説明書と同じかなと。ゲームの説明書読んだだけで、涙する人は流石に聞いたことはないですからね。

読者がキャラクターに感情的に投資することで、その冒険や挑戦に共感し、より深く物語に引き込まれる。設定がキャラクターの動機や成長を掘り下げる手段として機能する場合、その設定は価値がある。

しかし、キャラクターの発展を妨げるような形で設定が前面に出ると、物語は静的で感情的な影響力を失う。だから、設定は極力削ってシンプルに端的に伝える必要があるということですね。

個人的にWebtoonはカラーなので、それを利用して作画で伝えられたら一番いいんじゃないかと思ってます。文章を減らして、作画で説明する感じですね!

バランスのとれたアプローチの重要性

ということで、Webtoonクリエイターは、設定と物語のバランスを見極めることが重要だと考えます。設定を物語の自然な流れに溶け込ませ、キャラクターの行動や選択によって自然に世界観が明らかになるようにすること。これにより、物語は読者を引きつけ、エンゲージメントを高めることができるかと。

で、急に『金色のガッシュ!!』の話になります。(僕が人生で初めて泣いた漫画)。僕が読んできた横読み漫画で、縦漫画の作品の参考になりそうな究極体がコレかなと、今書いていて思いました。ものすごいシンプルな話だけど、ドラマがあって泣ける作品といえばこれかなと!縦読みになっても違和感ない気がします。

金色のガッシュの設定と物語のバランス

  1. 魔物と人間のパートナーシップ:
    『金色のガッシュ!!』の主要な設定の一つは、100人の魔物の子どもたちが、次の魔界の王を決めるために地球に送られ、人間のパートナーと組んで戦うというもの。この設定は初期の段階で明かされるが、具体的な詳細や背景は物語が進むにつれて段階的に解説される。

  2. 魔本の力と戦い:
    魔物の子どもたちが持つ魔本の力は、初めに基本的な概念が紹介された後、各キャラクターの戦闘を通じてその能力が具体的に示されます。ガッシュなら電気とか磁力。ブラゴなら重力。キャンチョメなら体型の変化?難しい単語も知識もほぼ出てこないので、読者が「ウッ」とならないですよね。

……このように、設定の過重は確かにストーリーテリングを阻害するが、適切に扱われた場合には物語を豊かにし、読者の想像力をかき立てる力を持っています。クリエイターはこのバランスを意図的に操ることで、印象深いWebtoonを創出することが可能となると考えます!

結論はこれ!
「設定ばかりの漫画がつまらなく感じる理由」

  • Webtoon市場の現象: 縦読み漫画市場において、設定に重きを置きすぎた作品が多い。

  • 設定の過重がストーリーテリングを阻害: 設定が複雑すぎると、物語の進行が滞り、読者の感情移入が妨げられる可能性がある。例として、「H×H」での念の説明が詳細すぎて物語のペースが犠牲になっている点が挙げられる。

  • 物語に織り交ぜられた設定の例: 「ワンピース」では設定が物語に巧みに散りばめられ、読者が情報を消化しながら自然に世界に没入していく。

  • Webtoonへの適用: 設定は各話ごとに1つに制限し、物語が進む中で自然に明らかになるようにすることが望ましい(のではないか?)。設定の多さが物語のテンポを損なうため、縦読み漫画には向かない可能性がある。

  • キャラクターと感情の繋がり: ただし、設定がキャラクターの動機や成長を掘り下げる手段として機能する場合、その設定は価値がある。

  • バランスのとれたアプローチの重要性: Webtoonクリエイターは、設定と物語のバランスを見極め、設定を物語の自然な流れに溶け込ませることが重要。

以上です。

久しぶりにコラム的なことを書いてみたので、文章おかしい部分とかありますが、ご容赦くださいませ。まだまだ専門的な知識が不足しているので、みなさんと一緒に考えていければと思います!

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