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60%の解釈

今年は諸事情で日本帰国が叶わず、7月に申請していた有給4週間キャンセルしてしまいました涙。

来年へ繰越できる日数を随分超えてしまっているので、ここにきて有給消化です。

この1週間お休みをいただきました。

どこに行くわけでもなく取った有給。できるだけ充実させようと色々考えています。

いつもより時間に余裕ができたので。。。

Noteいつか書き残しておきたいなと思っていたことを、この機会にお話ししたいと思います。

全く季節感のない話なのですが、今から11年ほど前の話です。

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私には今年18になった大学生の長男がいます。今でこそ普通のどこにでもいる青年ですが幼少期は心配なことが多くとても悩まされていました。

喘息、アレルギー、アトピーと重病ではないけれど普通の生活がなかなか許されない上、極度の人見知り、物や数字への強いこだわり、社会性の欠如と書き上げるだけで当時の不安が蘇り胸が痛みます。

毎日が何か見えない敵と戦っているような日々でした。

ロサンゼルスから5年ぶりに戻ったバンクーバー。長男6歳、次男4歳でした。

就学はカナダで、と私の強い希望もあり、家族で無事戻って来られて嬉しかったのですが、新しい環境に子供たちがどう慣れて行くことができるのか不安でもありました。

新しい学校で長男はキンダー。幼稚部です。

キンダーは13年間の義務教育の最初の年。

勉強というよりは集団生活に慣れる、お友達を作るということが目標な感じで、今思えば中途半端なタイミングで別に無理して通わせなくても良かったかな?とも思うのですが、そこは日本人の私。

長い義務教育の始まり。きちんと通わせてあげなきゃとあまり気の進まない長男を励ましながらポジティブモンスターと化して毎日通い始めます。

長男、特に文句を言うわけでは無かったので、問題ないスムーズなスタートかと思いきや、初日からわずか1週間で突然学校から呼び出しです。

校長先生と担任の先生との三者面談。担任の先生、朝挨拶はしていましたが、こうしてしっかりと話をするのはこの時が初めて。

直ぐに感じました。説明し難い違和感。この先生は長男にあわないな、と。

意地悪なわけでも厳しいわけでもないとくに特徴のないこのN先生、何かがかけている、そんな第一印象でした。

担任のN先生はただ静かに座っている中、その横にいる校長先生が慎重に言葉を選んで話しだします。

簡単に言うと。

長男は、自閉症の疑いがあり、専門家の診療を受診された方がいいとN先生から報告を受けた。教師は専門家ではないので確証はないが、疑いがある以上早めに確認することを勧める。

担任のN先生から、目を合わせない、授業中話を聞いていない、お友達と離れて1人でいる、と報告を受けた校長先生が早めにと、私に連絡をくれたのだ。

なるほど。こんなことだろうと思っていたので驚くことは無かったけれど、本当にちゃんとみてくれてないんだなあとカナダの先生方に訳の分からない期待をしていただけに内心ガッカリ。

長男、口数は少ないけれど相手をよく見ています。そして信用できない人の話は全く耳をかしません。多分この先生が苦手で避けているんだろうな。

人の目を見て話すこともできるし、自分の気持ちや体調もきちんと伝えることのできる長男なので自閉症ということは考え難いのだけど、それでも他に色々と不安があったのは本当。なので、この場を利用して一度専門家に相談してみたらいいかも、と思い直します。

なのでその場で言い返すことなく教えていただいた専門のセンターに連絡してすぐに予約を入れました。

通常なら半年から一年待ちの予約も学校からの要請があったため電話をした数日後にはセンターでの予約が取れました。ラッキーです。

前からずっと考えていたことが思いがけず叶い、いいことかどうかは微妙ですが、いい機会に恵まれたと素直に喜ぶことにしました。

約束当日時間通りにロビーに行くと、簡単な問診アンケートが用意されていて係の女性が長男を連れて行きます。

1人で大丈夫かな?

長男嫌がらず言われるままに女性についていきました。

が、数分後その女性が

お母さんもご一緒にお願いします。

と私を診察室に案内します。

部屋にはラフな格好をしたインド系の眼鏡をかけた中年男性が、怖い顔をして座っています。長男、座ることも拒否してソファーの横で歯を食いしばって泣いています。

これじゃあ、泣くよ絶対。

先生お世辞にも優しそうとは言えない強面で、部屋も暗い応接室仕様。知らない人とこの距離で2人きりは私だって嫌です。

先生は簡単に自己紹介をしてくれ、すぐに

OO君、自閉症ではありません。それだけは確かです。

と断言し、先生の見解を端的に無表情で話してくれました。

医療が必要な疾患・症状はない。ただ人やもの、場所への不安が普通の子供より強いため周りから自閉症を疑われてしまう可能性がある。病名はつけられないけれど、あえて名前をつけるのなら「dense anxiety 」極度の心配症というところ?

といって、診断書に記載してくれました。更に

この心配症は言葉の遅れから発生している可能性もあるので、いくつかテストをしてみましょう。

泣きじゃくる長男を見て首を傾げる私。

大丈夫ですよ。言葉テストの専門家は私ではなくて優しい子供慣れした女性なので怖くないですよ。OOくんも気に入ってくれると思います。

と先生。私が何もいってないのにお見通し。さすがでした。

そして真面目な顔で淡々と話してくれてたけど、自分が強面ってわかってるんだなあと、何だかわけもなくホッとした私、急に親近感が湧きました。

数日後、再びセンターへ。言葉テストは読む聞くの2構成。説明されていた通り、笑顔の素敵なとても優しい女性の専門家。子供専門というのがよくわかるスペシャリストに長男もまんざらではない様子でした。

テストは1時間弱。無事に終了して結果報告のため私も長男のいる部屋に通されます。

彼女は最初に

ご家庭では日本語ですか?

と質問します。私が読む聞く書く、それぞれのレベルを詳しく説明すると彼女が嬉しそうに、

凄いですね、OO君英語の語彙は今の年齢の語彙力60%と好結果でした。

え?60%?好結果?って??

眉間に皺を寄せて困惑していることを隠せない私。ちゃんと聞き取れてるよね?80とか90とかじゃなくって60って言ったよね?

ニコニコしている女性に失礼にならないよう気をつけて聞き返します。

60%はまずくないですか?専門の方にお願いして語彙のトレーニングをした方がいいのでしょうか?

私の質問を聞いて、やっと彼女も私の考えていたことに察しがついたようで、慌ててわかりやすく彼女の見解を説明してくれました。

家庭で英語以外の言語を日常使っている場合、子供の英語に触れている時間は1日の約半分。単純に計算して、子供の能力100%とすると、日本語50%英語50%が満点、とのこと。

OO君は60%も英語の語彙力があるんです。凄いことなんですよ。日本語も察するに60-70%の語彙力があるとすれば、この子は120-30%の実力があるんです。本当にすごいです。

彼女曰く2ヶ国語以上話す子供は英語の語彙力30%以上で問題なしとのこと。なるほど。

今でも彼女の言葉を時々思い出します。

60%の力

すごく説得力のある目から鱗の彼女の話で気付かされました。

私達のように二つの違った国を母国に持つ両親の子供達は二つの文化の中で育ちいろいろなことを吸収しています。

当たり前になんの苦労もなく簡単に成長しているようでも、すごいスピードで多くのことを学習しています。

近くにいてわかってあげなきゃいけない大事なことを全くわかってあげていなかったことに気づかされました。

普通に言葉を使い分け二つの国の行事や風習を経験し感じ自分の中に吸収していく。

頑張っているわけじゃないけど頑張ってる。無理してやっているわけではなくてもやっぱり普通ならやらなくて済むことも気づかずにやっている。

もっと褒めてあげなくちゃいけなかった。頑張ってるって認めてあげなくちゃいけなかった。そんなことに気づけた大事な経験になりました。

後日センターから正式に結果が学校に知らされ、校長先生からは何事もなくて良かったですねとよくわからないお言葉をいただき、担任の先生は結果に納得がいかない様子でした。

その後も終業日まで長男はN先生と言葉を交わすことは一度もなく、写真を一緒に撮ることすら嫌がり気持ちがいいほど担任の先生への不信感を表し続けました。

でもこれが長男の個性なんだと理解し、それでよしと私も受け止めることにしました。先生には申し訳ないけど嫌いなものは仕方ないです。恐らくお互い様でしょうし。

毎度長くてすいません。最後までお付き合いいただいて心苦しいですが、嬉しいです。ありがとうございました。

子供達の考えていること感じていることのイメージに何となくしっくりする優しくてカラフルなjtm5さんのイラストお借りしました。






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