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葺田夜祭「福田うみやまこばなし2022‐かぼそ雑記」本番

9月4日

葺田夜祭「福田うみやまこばなし2022‐かぼそ雑記」本番

川村亘平斎さん率いる影絵チームによる創作は、現地小豆島福田港を舞台にしたもので、ユーモラスかつ物凄い工夫と技術。

影絵楽隊にはトンチとかめちゃん。

私達音楽隊は別動で「ドンス」(出演:石田多朗、小野雄大、小林武文、高岡大祐)と名付けられたバンドで。

連日の酷暑は夏も真夏という感じだったが、本番の日は今月一番の暑さ。とても9月とは思えない。

会場である福武ハウスは元小学校の体育館で冷房はない。昼の熱気が夜までこもり、長時間いると身の危険を感じるほど。

なので昼のリハはできるだけ短縮して行った。

校庭には屋台も出てお祭り感で盛り上がる。公演は売り切れらしい。

我ら楽隊はまずはあちこちでそれぞれソロをやることに。

弾き語りの小野雄大君は老人ホームで、ドラム小林さんは神社で、僕は初日に盛大に飲んだ港の前の居酒屋よりすにて。

行ってみると満員のお客さん。ママさんが呼び集めてくれたようだ。

演奏する前に飲むやろといきなり生中渡されて飲み干してスタート。

急に思いついて紐でくくりつけたカシシとtubaで立奏、というか踊り吹き。

島でこんな演奏していいのかなあ、と思いつつ体の動きの後に音が出るようなものなので、自分が他人事のように止まらない。30分くらい吹いていただろうか。

次へ移動するときにママさん追いかけてきてポチ袋にお捻り。

これ、芸術祭の一貫なんだけど、なんだか面白いなあ。

神社前に来ると、太鼓の音がする。小林さんだ。演奏しなくても良いと言われたのだが思わず応えてしまう。遠くから少しずつやり取り、近くで合奏。

湾曲した大きな板に挟まれたような展示物の中に入って反響を楽しむ。



校庭の屋台群の広場で小野君とも合流して決め事なしに演奏。

生声の大きい小野くんの雄叫びが響く。

小林さんの練り歩きセットは片面のフロアタムに1枚シンバルが装着され、片手に合わせシンバル、片手にマレットというシンプルなもので、基本的にドンとチャンなのだが非常に多彩なサウンドがする。とてもかっこよいのは腕前だ。

このシンバルが太鼓からぶっ飛んで落ちるまでの熱演。それに答えてお客さんが踊る。踊りまくっていた男の子とハイタッチ。

本番ではよりすのママさん突如詩吟で飛び入り参加から始まるという自由さ、即興演奏、今回のバンマス石田多朗さんの美しい楽曲、力強い小野くんの弾き語り。この数日練り上げてきた稽古の成果。

影絵は何度見ても見飽きないスケールの大きいもので、トンチかめちゃんの演奏も見事。幕間のドンス演奏をしたら僕は二階に待機。クライマックスの竜神VSナウマンゾウのシーンで象の雄叫びサウンドを担当することになった。ぶわあ、と吹いた。

大団円。

体育館での影絵芝居は、昔ながらの村祭りの感じと、娯楽が少なかった頃の映画やサーカスのようなニオイがして、芸術祭の一環であることをちょっと忘れさせるような土臭さがあり、かつ地元のお話として上映されて、とても有意義なものと感じた。

いいところに誘ってもらえて、埒外のtuba吹きはとても感謝しています。

終演後はご時世なので大っぴらに打ち上がることもできず、軽く軽く簡単にお疲れ様。

影絵チームは島外からの参加者が多く一人を除いて全員が女性。こういうアクティブな現場に来ると若い男性の姿が減ってきているようにも思える。なにか象徴的。

楽隊はお世話になったよりすで少しだけ乾杯。

いいチームだったな、この人選はこの人しかできない石田先生。

ただ楽曲をやる、のではなく(それなら僕は要らなかっただろう)どこかに即興的なもの、その場で起こるものに対する敬意があり、大事にされていた。

多朗さんには、勝手に恩義も感じていて本当に有り難かった。

みんな言ってたけど彼にはリーダーらしい包容力、資質がある。

小林さんはつくづく仙波師匠の弟子なのだな、と思わされた。楽器編成からの自由さ、どこかしらアジアや非西洋を思わせる色彩感。システムではない太鼓の音が好物の僕にはたまらないサウンド。

小野くんとはこれが初めて。この中では一際若い彼の歌声とありようには、自分も年を取ったな、と思いつつ、色々なことを思わせてくれた。あれから時間がたった今も彼の歌声が頭や体の中に残り響いている。こうやって自分の中に歌が堆積してくるのだろう。

いい加減遅い時間なのでフラフラと宿に戻り、小林さんとちょっと日本酒飲んで話す。

これからなにかやりましょう、と約束。

気がついたらバタンキュー。

これでお祭りはおしまいおしまい。

ここから少しだけ自分の旅が残ります。

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