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Great storm of 1703(イングランド1703年の大嵐)

1703年11月26日(グレゴリオ暦では12月7日)、イングランド南部を温帯低気圧が直撃しました。近年の分析によれば、アメリカ東海岸で発生した強風が大西洋上でハリケーンとなり、イングランド南部を通過し北海を越えて、オランダとスカンジナビアに向かって行ったという記述がありました。
この年の夏は雨が多かったそうです。

11月26日は金曜日で、23日水曜日の夜から強風が吹いていました。
のちに『ロビンソン・クルーソー』(1719年)を書いたダニエル・デフォー(当時は詩人、ジャーナリスト)によると、その夜、彼が気圧計を確認すると、水銀が今まで見たことのないほど低く沈んでいました。
真夜中を過ぎると風はさらに強まり、避難しようにも外に出ることはかえって危険な暴風となっていたそうです。

この夜、数十の竜巻が発生し、大げさでなく鳥も魚も人も船も吹き飛ばされました。ロンドン市内では約2000基の煙突が倒れ、5,000以上の家屋が損壊。潮位が約6フィート(1.8m)上昇し、洪水も発生しました。
ウェストミンスター寺院の屋根の一部が吹き飛ばされ、アン女王セント ジェームズ宮殿の地下室に避難したと言われています。
(セントジェームズ宮殿は、現在の国王チャールズ3世が住んでいます。)

1715年頃のセントジェームズ宮殿

テムズ川では、ロンドン橋の下流にあるプール オブ ロンドンに約700隻のさまざまな大きさの船が強風によって、まるでおもちゃのように積み上げられていました。
イングランド南西部のサマセットレベルの町では、洪水で数百人が溺死し、また数千頭の家畜も溺死し、約400 基の風車が破壊され、一部が炎上したそうです。15隻の船が24マイル(6 km)内陸で発見されました。

海沿いの地域では、8千から1万5000の人命が失われたと推定されています。また海上では100を超える難破船の報告がありました。
プリマス岬にあった120フィート(約36m)の塔を持つ八角形の木造建築のエディストーン灯台も完全に破壊され、流されてしまいました。
海峡では多くの貨物船が動きが取れない状況になり、軍艦艇も立ち往生していました。当時のイギリスは、スペイン継承戦争に加わっており、艦隊が編成されていました。この嵐によって海上の約300隻の海軍の船が失われ、数千人の海兵が命を落としました。
総被害額は、約400万ポンドと見積もられています。

オランダでも多数の堤防が決壊し、甚大な被害をもたらしたそうです。ほかの国でも被害があったでしょうけれど、記録をみつけられませんでした。

流失する前のエディストーン灯台

イングランド国教会は、嵐は国の罪に対する神の復讐であると宣言しました。国の罪とは、不品行や無神論者が増えたこと。それを神が怒り、裁きが行われたということでした。
国民の多くも嵐は神の怒りの兆候であると考え、アン女王の発令で翌年から悔い改めと断食が定期的に行われたそうです。

ダニエル・デフォーは、嵐の目撃者、生還者の体験談を集めた『 嵐 』というタイトルの本を1704年に出版。
この時のことを "No pen could describe it, nor tongue express it, nor thought conceive it unless by one in the extremity of it."と書いたそうです。直訳すると「ペンはそれを説明することも、舌で表現することも、その極限にいない限りそれを想像することもできない」となります。「想像もつかない出来事で、筆舌に尽くしがたい。」という意味でしょうかね。
またデフォーは、嵐はスペイン継承戦争中のカトリック軍に対するイングランドの貧弱なパフォーマンスに対する神の罰であると考えていました。

広範囲にわたる破壊により、復旧には時間がかかりましたが、煉瓦工、タイル職人、大工に利益をもたらし、人件費は2倍になり建築資材の価格は嵐前の4〜5倍に跳ね上がりました。
災害や戦争では、破壊や荒廃が大きければ大きいほど、復興の為に大きなお金が動きます。それを見込んで投資家は惜しまず巨額を投入します。
(ウ****にも同じようなことが起きているでしょう。土地の荒廃をほくそえんで見ているお金持ちがいるはずです)

最後にホロスコープをみてみましょう。グレゴリオ暦になおし、1703年12月8日午前0時で作成しました。

この日は射手座15度の新月で、サロス18の部分日食でした。

まだ天王星も発見されていないですが、射手座の太陽、月と牡羊座15度の土星、未発見の海王星(牡羊座11度)、同じく未発見の冥王星(獅子座17度)が火星座のグランドトラインを形成しています。
海王星のそばには小惑星ベスタもあります。

そして冥王星を頂点に、蠍座火星(7度)、金星と牡牛座木星(12度)が不動宮のTスクエア。金星(蠍座15度)にはレクイエムがコンジャンクション。
金星は、土星とはクインカンクス、太陽&月とはセミセキスタイル。北ノードとセスキコードレート。

日食の日であったこと、太陽&月、金星、土星が15度のパータイル、カイロンが蠍座の最終度数なども合わせると、災害が起きる要素としてはじゅうぶんという気がしました。

それでは今日はこのへんで。

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