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認知症の人の心の中はどうなっているのか? 【読書感想文】コミュニケーションにテクノロジーを

★★★★☆
Amazonでレビューしたものです

「認知症になって記憶が失われても、心が失われるわけではない」とはよく聞くフレーズだが、その「心」とは一体どのようなものなのか。本書ではそれをできる限り具体的に示したいと考える。心の内を知り、その人の内なる世界を尊重することが、認知症の本質である「生活の障がい」と「孤独」の軽減につながるからである。最新の研究成果に基づく、会話を増やすためのツール「CANDy」とは。認知症の人の心の読み解き方を解説。




1.目次

はじめに
孤独でやりきれない心の内
ケアで最も重要なのはコミュニケーション
認知症を知ることで、将来の自分を知る

第1章 認知症の人との「会話」を取り戻す
(1)「CANDy(キャンディ)」で、日常会話からその人を知る
(2)なぜ「CANDy」が必要だったのか
第2章 認知症の人のコミュニケーションの特徴を知る
(1)非言語(ノンバーバル)コミュニケーションからわかること
(2)コミュニケーションに欠かせない「社会的認知」とは
(3)認知症の人は他者との関係をどう捉えているか
(4)遠隔操作型ロボット「テレノイド」となら、会話が弾む?!
第3章 認知症の人が見ている世界を知る
(1)〝心〟とは何か――記憶・注意の仕組みと認知
(2)認知症の人は時空をどう捉えているか
(3)4大認知症と、その行動・心理の特徴とは
(4)認知症は”予防”や”治療”できるのか?
第4章 認知症の人の苦しみを知る
(1)自分が自分でなくなっていく苦しみ
(2)日常生活ができなくなる苦しみ
(3)「未来展望=希望」を失う苦しみ
(4)自分だけが別の世界に生きる苦しみ
第5章 共によりよく暮らす方法を知る
(1)”虐待”は、なぜ起こるのか
(2)今もある偏見”認知症は魔女の仕業”
(3)認知症の人の世界を大事にする
(4)”介護”ではなく”生活”をする
(5)ポジティブな感情を共有する

おわりに
参考文献

2.コミュニケーションが大事

漫画家のニコ・ニコルソンさんがおばあさんの婆ルさんの介護について書かれた漫画、「わたしのお婆ちゃん 認知症の祖母との暮らし」

そんなニコ家の人々に、著者が認知症の人の心理について解説された本が、「マンガ認知症」でした。


この本は、著者は自らの研究結果を踏まえて、認知症者がみている世界について解説し、疾患によって周囲からいかに孤立して孤独を感じているかを伝え、周囲はどのような対応をしたら良いかを提案されています。


筆者の提案する「日常会話式認知機能評価CANDy」は、
会話中に同じことを繰り返す質問する、話している相手に対する理解が曖昧である、どのような話をしても関心を示さない、会話の内容に広がりがない、、などの認知症の方の会話の特徴を15項目に分けで、よくみられる2点、みられることがある1点、全くみられない0点で、点数をつけて、6点以上で認知症の疑いがあるとする評価法だそうです。

確かに、海外の方などもともと学校に行っていなくて、計算ができないとMMSEの評価ができないため、そういうコミュニケーション評価方法はいいですよね。

ただ、問題としては、、
30分も会話できない!
というところでしょうか

3.介護者も人権ある人間なので


認知症者にもそれぞれ人権があり人格があり、それを尊重した対応をした方がお互い穏やかに過ごせる。
それは事実であり、正しいです。
ただ、現実的ではないかなと思います。

家族にそこまで求めるのは無理ですね。特に子供世代には。
現役世代は忙しいんですよ、高齢化でどんどん税金が上がって生活が苦しいから。

専業主婦の奥さんが全部やってくれる旦那様は違うかもしれませんが、
毎日仕事して残業して買い物して疲れて帰ってきて、ご飯準備して食べて片付けて、ゴミ出しの準備して、副業して資格勉強してSNSやって、、、で、やっと1日が終わるわけです。休みの日は掃除して洗濯してで終わります。
子供がいる人ならさらにここに、子供にご飯食べさせて習い事の送り迎えして宿題させて洗濯してお風呂入れて寝かしつけて、が加わるわけですよ。
そこに認知症の親や祖父母がいたら、自分の面倒見れないこの人の分も、食事やら洗濯やら家のことやら手続きやらやって、、、

そこでさらにさらに、5分おきに同じことを言う人の不安な気持ちも考えて対応しろとか言われてもねえ。
いやあ、無理無理。

かといって、施設に入ってもらったとして、
夜勤ばかりの施設職員にはもっとそんな余裕はありません。
蹴られて髪を引っ張られて噛みつかれて胸を揉まれながら、自分より大きな寝たきりの爺さんのおむつ交換をし、真夏に入浴介助をして、
というか給料の割に合わない。

医療保険や介護保険の範囲では無理ですね。余裕ある対応をしてくれる職員を自費で雇ってもらうしかないでしょう。
ラーメン屋で高級フランス料理の接待を望んでも無理でしょう?

日本は貧しい国なんですよ。
今の日本人にはそんな余裕も豊さもありません。
がん患者の荷物を持つどころか、こっちが荷物いっぱいだから持ってほしいぐらいです。


”もちろん、介護の現場が常に人手不足であり、報酬も十分ではなく、疲弊し切って離職してしまう人が多いことは承知しています。家族で介護している場合にも、非常に厳しい状況であることはわかっています”

と著書はかかれています。が、

”介護のただ中にあると、自分の大変さにばかりに目がいってしまいがちですが、そうなると「大変だから」を言い訳に、虐待が起こりやすくなります。「自分も大変だけれど、本当に大変なのは本人なんだ」と思うこと。それが大事なのです。”

いやあ、そう思うだけの余裕がないんですよ。
精神論で解決するのは難しいと思います。

認知症の人とちゃんと会話して毎日笑顔で穏やかに過ごしてほしいです。
家族も施設職員も、多くの人が、思っています。虐待なんてしたくないし言われたくないんです。

でも現状は、忙しすぎて、コミュニケーションや気配りの前の段階の問題なんですよね。

4.テクノロジーによる解決は?


この本で面白いと思ったのは、認知症の方は、遠隔操作型ロボット「テレノイド」なら会話が弾むとと言うものでした。

なんか、スケキヨですけど、、、

シンプルなのがいいんですかね。

また、LOVOTが床を動いている高齢者施設も見たことがあります。

LOVOTに話しかけているおばあちゃんとかよく見かけますよ。

こういったロボットたちを施設に導入するのはアリではないかと思っています。

同じ施設内で、1人1台、スケキヨとラボットを導入した階としていない階とで、認知症患者のBPSDの比較研究をしてほしいですね。
同じひとの導入前後も含めて。

また、職員の他の手間を減らすために、水拭きルンバの導入して、前後で何か変わるのかとか。(人が近づいたら止まったり下がるセンサーが必要ですけど)

最近は機械で睡眠チェックができるようになってきました。それを発展させて、昼間はベッドが遠隔で起き上がってくれて、らぼっとやスケキヨとお話をできるようにすると、昼夜の区別がついて、夜寝てくれるようになるかもしれません。
さらに、顔認識で自動で居室のドアが開いてくれるとか。車椅子からベッドに機械で移動できるとか。お風呂もセンサーつけて洗ってくれる自動入浴とか。

これらのテクノロジーによって、施設職員介護する人の負担が減れば、もう少し時間と労力と心の余裕ができて、こちらの本で紹介されていたことが実行できるようになるのではないでしょうか?

それによって、認知症者が精神的に安定し、BPSDが減少すれば、使用される薬物や入院の費用が減るかもしれませんよ。

ぜひ予算がつくように研究して成果を発表していただきたいです。


著者:佐藤 眞一 (著)
ASIN ‏ : ‎ B07L5NPQ2B
出版社 ‏ : ‎ 光文社 (2018/12/20)
発売日 ‏ : ‎ 2018/12/20
言語 ‏ : ‎ 日本語
ファイルサイズ ‏ : ‎ 7759 KB
本の長さ ‏ : ‎ 265ページ

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