Lesson 29 ハーフガードパス

現行のカリキュラムではレッスン29に収録されています。レッスン1を前提にレッスン2が、レッスン2を前提にレッスン3が、と続く長いストーリーです。レッスン30はその長いストーリーのなかにいれづらいのだけれどこれを知らないと柔術にならないようなものが収録されています。すなわち、レッスン29は、長い長いベーシックカリキュラムのストーリーの一番最後に収録されているということです。それはレッスン1からレッスン28のすべてを前提としたレッスンです。ブラジリアン柔術教則本だともう少し若い番号だったきもしますが現行レッスンでは一番最後です。その意味では最高難易度。


1.トライポッドパス

ボトムポジションから足を使って攻防をするのが柔術のガードなので、それらをすべて封じるトライポッドパスはある意味最強パスです。
相手のあごを制したり両脇を制したりするやりかたはトライフォースオンラインのテクニックライブラリー収録でカリキュラム外です。拷問的な動作を含むのでカリキュラムから外されたものだと思いますがこちらこそがいかにもトライポッドパスなのでカリキュラム版は牙を抜かれています。
一方で拷問的トライポッドパスを最初から教えたら白帯同士のスパーリングでは互いにこれしか狙わなくなってまったく練習にならないか、一方的にトライポッドパスで顎をぐりぐりぐりぐりグリングリンしてくる仲間のことを嫌いになってしまうのでしょう。

相手が組んだ両足から自分の足を抜くのがハーフガードパスですが、膝がまっすぐに伸びるからこそ足が抜けるわけで、初心者あるあるとしては突然、おもむろに、何の躊躇もなく、自分の膝をぐりんと曲げ始めて無理やり抜こうとして、空気を読んだパートナー(たいていの場合は清潔感があっておとなしい先輩)が膝を開放することがしばしばあります。トライポッドパスはトライポッドベースをつくる技法なので、インストラクターの実演するトライポッドベースがそびえたつさまをじつとみてほしいものです。

2.シッティングパス(クロスフェイス)

上記トライポッドパスで相手のあごをころすべきなのと同様かそれ以上の重要度合いで、相手のあごを自分の肩で制圧し続けなければなりません。最初から最後まで相手のあごを自分の肩で制圧し続けなければならず、ほんの一瞬でもあごが軽くなったらボトムにいるパートナーは「肩を使いましょう」と促すべきでそれこそが正しい練習です。初心者は肩をゆるゆるにしがちなのに、ごくたまにそれを指摘しないドリルのパートナー(たいていの場合は清潔感があっておとなしい先輩)がいますがそれはだれの練習にもなっていないので気をつけたほうがいいです。トライフォースにおいて練習をし高い中野基準は自分の練習相手を強くする作業をしたか否かできまります。

なお、履修済みのレッスンであるハーフガード(ボトム)がこの反対側の動作になるので、トップにいながらにして、あたかも知能テストのごとく、紙に書かれたパズルを脳内でぐるぐる回すごとく、ボトムの人がやってくるであろう動作を正確に理解しながらすべてつぶさないといけません。

3.シッティングパス(クロスボディ)

1のトライポッドパスと2のシッティングパス(クロスフェイス)はこちらが先手を取っている文脈ですが、こちらは相手が先手を取って潜り込んでくるような文脈です。つまり攻め込まれたとき特有の緊急避難の動作があります。必死さ、大切。
サンドイッチの感覚が大切です。マット→自分の前腕の尺骨と橈骨→相手の背骨ワンセット→相手の胴体→自分の胴体のサンドイッチを握力でぎゅっと固める動作が緊急避難です。相手が暴れたらつねにこの緊急避難。

アームトライアングルパス、チョークフィニッシュ

ストレートフットロック、トライアングルチョーク、アームトライアングルチョークは先生に教えてもらわないとなかなかきまらないサブミッションの三大巨頭です。ついに最後の一人が来ました。下がってから上がります。下がるとき、相手の肩の下に自分の頭がはいるくらい下がり、その低さのままでずんずん上がります。焦らず上がります。初心者はあと3歩余分に下がったあと、5歩余分に上がったほうがいいです。

ロックダウンの解除

ズックにロック。ロックダウン。私の認識ではエディ・ブラボー先生が名付けて発展させた動作です。トライフォースのグローバルネーミングからしたら絶対に使われない呼称なのにエディブラボー先生のたゆまぬ努力によって地球全土で使われるようになったロックダウン。格好良すぎます。近年、ロックダウンのままスイープにいき相手の膝をねじる非人道的な行為がグレーゾーンだった未開の時代が続きましたが、近年、ルール運用が徹底され、私があるとき試合にでたら試合マットの横で待機しているだけの20分程度の間に目の前で3人くらいのおじさんがロックダウンからのスイープで一発反則負けを食らった日がありました。ある日突然にダークサイドにおちたあたりも含めて、ロックダウン、格好良すぎます。ぎを燃やせ、煉獄さんです。格好良すぎですが20年近く膝をねじられ続けたこっちからすると至極真っ当な判断です。ブラジリアン柔術ルールの世界でロックダウンはほとんど使えなくなっちゃってます。残念。


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