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映画「紙の月」

「未来は破滅しかないだろうに…」
そんな言葉が劇中、頭の中でぐるぐる。


日に照らされて、自転車操業しながら、自転車を漕ぐ、梨花(宮沢りえ)が美しかった。どんな陰ある役柄を演じても、この人の場合には安定したイメージがある。(過去の実生活からなのか?)


梨花は育ちの良い真面目な人だ。銀行に勤めていて、とりあえず優しい夫(田辺誠一)も居る。カトリック系の学校出身で、学生時代は、慈善活動という名のもとに、恵まれない子供達に寄付(募金)をする。

シスターから、

「受けるより、与えることが尊いのです。」

と、教えられた通りの人生を歩んで来た。
(あるエピソードで、今まで信じて来た行いが偽善なのかもしれないという疑問を生じる)
しかし、梨花は、

「良いことをしているのに、なにが悪いんですか?」と言い放つ。


年下の大学生の光太(池松壮亮)との出会い。
浮かれて、オシャレしたくなり、デパートの化粧品売り場で、大人買いをする。会計金額を聞いて、表情がぎこちなくなる。一点減らしてもらうが…
まだ足りない…どうしよう…。
(ここまではなんとか良心の呵責に揺れている)

ふと、絶対に使ってはいけない、お金が入っているバッグに目線を落す。
(ちょっと一瞬、借りるだけ。後で自分のお金を下ろして、補えばいいだけ…)声が聞こえるような表情。

人間の行動として、良く解る。

右から左に、ちょっと移動させるだけ。

後でどうにかすればいい。

でも実際には、歯車が狂いだす。

さらに、加速をしながら。

(続きは、本編でどうぞ)


梨花(宮沢りえ)と銀行のお局様である、
より子(小林聡美)とのシーンは印象的だ。
同じ女性で、同じ職場だけど、
考え方が全く違う(はず)
でも、女性共通の孤独を抱えている点は同じ。
日本の社会って、まだまだ女性の価値を、
分かりやすいものでしか判断しようとしない。
そんなことも感じた。

同じ同僚でも、恵子(大島優子)は淡々としていて、(若くて可愛い)自分の立場を良く理解していて、その武器を上手く使いこなしている。


お金って紙ですよね。
紙自体は、それほど価値ないけど、
紙幣になると違いますよね。
価値があると洗脳されてるかのように。

いや、大切なのは心だ、見えないものだ、
と思うのか?

いや、お金最高!お金で何でも出来るでしょう、
と思うのか?

↑お金にまみれても、美しい…
観終わってから、東京事変の曲、「能動的三分間」を口ずさんでしまいました。


原作者の角田光代さんは
“歪形でしか成り立つ事の無い恋愛”
お金を介在させて成り立つ恋愛しかできない能動的な女性像を描いたそうです。

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