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【シカゴでバードウォッチング!】 Red-winged Blackbird ハゴロモガラス

アメリカは三月十日の夜中に夏時間 (Daylight saving time) に変わり、いよいよ春が近づいてきています。前の記事に書いたNorthern Cardinal (猩々紅冠鳥)の歌声も春を知らせてくれますが、今回の鳥、Red-winged Blackbird (ハゴロモガラス) も春告鳥です。その独特な鳴き声を湿地帯や葦の原で聞くと、「あ〜〜〜、春が来た!」という気持ちになりウキウキします。これからは鳥のさえずりがたくさん聞こえるようになるので嬉しいです。

Red-winged Blackbird (ハゴロモガラス)。 和名に「カラス」という言葉が入っているのは全身が黒いからだろうと思われますが、実はカラスには全く関係がなく、スズメ目ムクドリモドキ科に分類されています。天女の羽衣というと、透明か白い美しいものを想像しますから、この黒い鳥になぜ「ハゴロモ/羽衣」という綺麗な言葉が使われたのか全くわかりません。

英語名ではRed-winged、つまり「赤い翼」ですが、この鳥の翼は黒く、翼の付け根がワッペンのように赤と黄色になっています。嘴も脚も目も、とにかく全身真っ黒なので、その黒地に赤と黄色が本当に鮮やかで、この鳥を見間違えることはほとんどないと言っていいでしょう。残念ながら、この鳥も日本には生息していません。

赤と黄のワッペンがかっこいいRed-winged Blackbirdのオス     ©Dan Lory

真っ黒なRed-winged Blackbirdの雄はとにかく自分の縄張り意識が非常に強く、侵入者があると果敢に襲いに行きます。このCNNの記事を読んでいただくとおわかりになると思いますが、相手がハクトウワシ(Bald Eagle、前出記事参照)でも怯まずに追い払いに行くんです。そして、自分の縄張りには最大約15羽の雌を住まわせるそうで、その雌が他の雄の卵を産んでいても構わないとか。ま、面倒見がいいというか、ハーレム状態が好きというか、とにかく面白いですね。

https://www.cnn.co.jp/fringe/35139808.html
おい、人間ども!ここはオレたちのところだから、入ってくるなよ!    
翼を広げ、赤と黄のワッペンを大きく見せて威嚇してます。     ©Dan Lory
他のオスから自分の縄張りを守っているRed-Winged Blackbirdのオス     ©Dan Lory

では、Red-winged Blackbirdの雌は一体どんな姿かというと、赤と黄色のワッペンもなく、黒い体もありません。全身まだらな茶色で地味で、スズメと見間違えることも多々あります。私は、この地味なメスをRed-winged Blackbirdの雌だと認識できるようになるまでかなり時間がかかりましたし、一羽だけでいたら今でも何の鳥か全くわからないだろうと思います。

Red-winged Blackbirdのメス     ©Dan Lory
メスはメスなりに綺麗     ©Dan Lory

Red-winged Blackbirdは渡り鳥ですが、他の鳥とは違って夜には飛びません。明るい日中に飛ぶので、建物に衝突して死んだり迷子になることも少ないらしいです。そして、まず雄が繁殖地に渡って、他の雄との熾烈な縄張り争いの後、自分のテリトリーをしっかり決め、遅れて来た雌を受け入れます。前述したように、最大15羽ぐらい。そして、雌は4~5個の卵を産むそうです。

以前、Robin(コメツグミ) の記事に書きましたが、Robinの卵はティファニーの箱や紙袋のような明るい空色です。このRed-winged Blackbirdの卵もそれに近い薄いブルーグリーン色で、黒いまだら模様があるそうです。あの雄の黒い姿と、雌のまだら模様の茶色い姿からは想像できない色ですね。

Red-winged Blackbirdの卵。親鳥からは想像できない色!
https://www.birdsandblooms.com/birding/seven-surprising-facts-red-winged-blackbirds/

日に日にRed-winged Blackbirdの数が増えてきていて、あちこちであの独特な声が聞かれるようになってきています。確実に季節が変わりつつあります。

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以上で終わりにしようと思っていたんですが、季節の変化を実感することがありましたので、Red-winged Blackbirdとは関係ありませんが書き足すことにしました。

夏時間が始まって二日目の暖かい日にバーディングに行きました。いろいろな水鳥を見ていると、上空から懐かしい声が聞こえて来たんです!Sandhill Crane (カナダヅル、前出記事参照)のでした。去年11月の感謝祭の頃、北から南へと渡りをしたSandhill Craneたちが150羽ぐらい、いくつかのV字編隊を組んで、今度は逆に南から北へ飛んでいました。あ〜〜、もう春の渡りの時期を迎えたんだ〜と実感!

北の繁殖地へ渡っていくSandhill Craneたち     ©Dan Lory

また、地面にはFox Sparrow (ゴマフスズメ、前出記事参照)がいました。去年の4月に北への渡りの途中で我が家の庭に来てくれましたが、今年は例年より暖かいからか3月半ばに森にいて、今からアラスカやカナダに渡って行きます。春を実感!

きれいな狐色のFox Sparrow     ©Dan Lory

その後、湿地帯に着き車を降りたら、そこは春の声でいっぱいでした。まだ枯れ草ばかりの茶色の景色の中で、春の蠢きを感じさせてくれる自然の音の一つです。Northern Spring Peeper (トリゴエアマガエル)とWestern Chorus Frog (コーラスガエル)たちです。ある人たちはこの声が不気味で嫌だと言いますが、私はこの蛙の声が大好きなんです。変でしょうか。

確実に春は一歩ずつ近づいてきていますね!
  













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