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【シカゴでバードウォッチング!】 Common Yellowthroat

渡りをしてきた鳥の中にWarblerという小さくて可愛らしい鳥がたくさんいます。英語でWarblerは、旧世界ムシクイ類と新世界ムシクイ類を含んでいて、新世界ムシクイ類は南北アメリカにのみ生息しています。旧世界ムシクイ類との違いは、初列風切りが10枚ではなく9枚だそうです。

去年の5月26日に「Warblers」と題して記事を書きましたので、詳細はそちらをお読みいただけたらと思います。今回はそのWarblerの中から一つの鳥を選んで書きたいと思います。

私がバーディングを始めた頃に見たWarblerに「bandit」(盗賊)と呼んでいた小鳥がいます。なぜなら怪傑ゾロのような黒いアイマスクをしているからです。今回この記事を書くにあたり調べていたら、この鳥のニックネームが「yellow bandit」だということがわかり、私の考えもまんざらではなかったなと思いました。(笑)

その鳥の英語名はCommon Yellowthroat (喉が黄色い鳥) というので驚きました。黄色い喉より黒いアイマスクの方が目立つからです。日本語で命名した人はちゃんとその点を押さえていて、日本語名はカオグロアメリカムシクイです。

Common Yellowthroatのオス。黒いアイマスクの上に白い部分があるから、なおさら顔黒が目立つ。
そして、確かに喉が黄色い。     ©Dan Lory
「前から見ると、どう?」「なんだか四角く見える。」「え?!😔」     ©Dan Lory
虫が好物だから、和名はムシクイ。シッポがピ〜〜ン!     ©Dan Lory

雌は、この顔黒、アイマスクがなく、喉から胸にかけての黄色が目立ち、言葉通りのYellowthroatです。(雌だけ見たら、どの鳥なのか私にはさっぱりわかりません。近くに雄がいたら気がつくでしょうが。) 面白いことに、雌は大きくて長いアイマスクの雄に惹かれるらしいです。やっぱりあのアイマスクはセックスアピールなんですね。

Common Yellowthroatのメス。お嬢様っぽい。     ©Dan Lory
「私、開脚得意なのよ。柔軟でしょ?」「え!?痛くないの?」     ©Dan Lory

Common Yellowthroatは、メリーランド州あたりで初めて採集され、スウェーデンの博物学者、生物学者、植物学者であり、分類学の父と呼ばれているCarl Linnaeus (前掲記事参照)によって 1766年に新世界の鳥として最初に記載された鳥類の一種です。

この鳥の鳴き声はこちらでお聞きください。英語では、「ウィチェティー、ウィチェティー、ウィチェティ」と聞こえるようで、二秒ほど続けて鳴いて、自分のテリトリーを主張し雌にアピールします。夏の間に、雄は平均一時間に125回ぐらい鳴き、ある時は300回に達することもあるそうです。綺麗によく囀る声が聞こえたら、きっと特徴的なアイマスクと黄色の喉の鳥がすぐに目に入ってきますよ。

「たくさん鳴いてメスにアピール!もちろんアイマスクの長さもアピール!」     ©Dan Lory

それから、信頼できるコーネル大学のAll About Birdsに面白いことが書いてありました。繁殖期に雄は自分の縄張りの中で一匹の雌に忠誠を誓いますが、雌の鳴き声が他の雄を魅惑してしまうらしく、なんと雌は雄に隠れて密通してしまうんですって。コーネル大学の鳥類学者さんたち、そんなことまで研究しているんですね。(笑)

Common Yellowthroatの親鳥は警戒心が強く、雛に直接エサを運ば図、巣の近くにある草の茂みに落として、その後そっとエサに近づいて拾ってから雛に食べさせ、巣から飛び立つ時には来た時とは別のルートで飛んでいくらしいです。そうやって細心の注意を払っていても、托卵する習性があるBrown-headed Cowbird (コウウチョウ)などに見つけられて卵を置いていかれてしまうそうで、現実は厳しいですね。

皆さんにもこのCommon Yellowthroatを是非一度見ていただきたいと思います。



これから二週間ほど東京にいますので、投稿はお休みして、東京やその近郊の鳥たちとたくさん出会いたいと思っています。



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