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日照雨(そばえ)


ありふれた 毎日が 
風のように 過ぎ去ってゆく

夏休み 子供たちは 
はしゃぎながら 駆け出していく
   
つられるように 降り返れば 
そこに咲いてた 日傘の花

くるり くるり うしろ影に 
ふと見つけた あなたの面影
  

雲ひとつ無いような 
夏空なのに 
ひとしずくの雨が 
ほほを濡らす

あの日から もう幾年月   
昔のような 昨日のような

あなたを想う 哀しみは   
笹百合に降る 日照雨そばえのよう  


笹百合


蝉時雨降る 石畳   
幼い僕の 手を引きながら

あなたは 黙って歩いてた  
何かの悲しみ こらえてた   
  
そんな気がして 見上げれば 
そこに咲いてた あなたの笑顔

きらり きらり あなたはいつも  
自分のことは 後回し

  
影二つ 鮮やかな 
夏晴れなのに 
ひとしずくの 雨が 
肩を濡らす


あの日から もう幾年月   
今なら少しは わかるでしょうか

あなたが抱えた 哀しみは   
向日葵ひまわりに降る 日照雨そばえのよう  


向日葵


あなたが眠る 丘の上  
手桶の水を かけながら

注いでくれた 愛情に  
返せぬ恩を 思い知る     

あの日から もう幾年月  
あなたの心を 受け継いで           

ゆらりゆらり 陽炎に   
揺れながら また一つ歳を取る  


雲ひとつ 無いような 
夏空なのに 
ひとしずくの 雨が 
頬を濡らす


ありふれた 毎日が      
風のように 過ぎ去ってゆく   

あなたを想う 哀しみは   
鬼灯ほおずきに降る 日照雨そばえのよう


鬼灯


作詞・作曲 増田達彦 
日照雨そばえとはお天気雨のこと。
 亡き母に送る。

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