川北 裕之

リタイア間近の高校生物教師。高校の中庭をビオトープしたことから、身近な自然の復元や生物…

川北 裕之

リタイア間近の高校生物教師。高校の中庭をビオトープしたことから、身近な自然の復元や生物多様性の向上に努めてきた。書籍や雑誌などに報告してきたが、今その機会も少なくなったので、この場を借りて、実践やビオトープ・生物教育や趣味の昆虫写真、クラシック音楽について気楽に書いていく。

最近の記事

  • 固定された記事

noteをはじめるきっかけ ~ 学校ビオトープの復活を

学校にビオトープをつくる  高校で生物を教えています。気がつけば40年くらいになっていました。教師として一通りの仕事は行ってきたつもりですが、その中で一番力を入れてきたのが、ビオトープに関することです。  自然は守るもの、保護するものと考えてきた私にとって、自然を復元する、創造するビオトープは、逆転の発想、全く新しい思いもつかなかったものでした。  異動した高校で中庭を改修する話が持ち上がり、先生方と協力して、中庭全面をビオトープにすることができました。池を掘り、地下水を組

    • 東京の真ん中ですてきな雑木林を見つけた!

      ここはどこだと思いますか? ここはどこだと思いますか? 5月某日、この日は天気も良く、湿度が低いので、外出するには最適。都心でも人ごみの少ない江戸城、皇居周辺を散歩することにしました。江戸城の一角、正確には皇居東御苑で見つけたのが、写真の雑木林です。クヌギやコナラなどの落葉樹が生い茂り、新緑が美しい! 「二の丸雑木林」の看板がありました。  二の丸雑木林は昭和天皇のご発意により、武蔵野の雑木林が復元・整備されたようです。1983年と2002年、2期に渡って落葉樹や下草

      • 春咲く雑草10種の観察 生物基礎の授業の一コマ

         春は、1年間で一番、雑草や野草の花がみられる季節です。冬から少しずつ暖かくなり、草が伸び始める春は、草丈の低い雑草や野草の花が目立ってきます。  毎年、この時期に、生徒たちを教室から校庭に連れ出しています。今回は「生物基礎」という授業の一コマの話になります。 実物を、生育している状態で見せたい!  「生物基礎」では、最初に生物の共通性と多様性を扱います。この単元では、具体的な個々の生物について知る必要があり、「○○○」という名前の生物を例に挙げても、その生物を知らない生

        • 里山の竹林はレッサーパンダのため

          竹の葉は、レッサーパンダの餌に  ゴールデンウイークはどこも混んでいる。遠くに行くのは大変なので、近くにある動物園に行ってきました。今日はいつもすいている駐車場もいっぱい。入場券も並んで買いました。  この年末から、ビオトープや里山、昆虫に関することをnoteで書いています。「動物園で里山の恵みが役立っている」という発見、私自身の単なる知識不足の表明のような気がしますが、純粋に感心したので報告させてください。  動物園内に立派な竹林がありました。竹林の林床には、タケノコが

        • 固定された記事

        noteをはじめるきっかけ ~ 学校ビオトープの復活を

          脱皮直後は目立つ ヨコヅナサシガメ 成虫になる

           4月26日、いつも昆虫写真を撮っている公園に出かけた。何かと忙しく,久しぶり。気温が高く、昆虫たちも元気。  ヨコヅナサシガメが集団越冬している樹木のくぼみを見てみる。真っ赤な個体を発見。とにかくよく目立つ。脱皮した直後の成虫だ。幼虫にはない白黒の翅がある。これが横綱のまわしを思わせる。時間とともに胸部も黒くなるはずだ。全体が黒光りしてきて、色は地味だが迫力のある姿になる。  周りにはまだ終令幼虫が10個体程度いるが、時間とともに脱皮していくのだろう。成虫になればいよいよ単

          脱皮直後は目立つ ヨコヅナサシガメ 成虫になる

          私の人生に影響を与えた本~ビオトープとの出会い『自然環境復元入門』

           小説を読んで物語を楽しんだり、参考書を読んで勉強をしたりと、今までいろいろな本と出会ってきました。  私の人生にとって一番は、『自然環境復元入門』(杉山恵一著、信山社サイテック、1992年)との出会いです。この本でビオトープについて知りました。  1993年(前年の可能性もあります)、池袋東口西武百貨店の地下にある書店で、たまたま手に取ったのがこの本でした。「自然環境復元」という言葉が新鮮に響いたのです。すぐさま、青緑色の小さな本を手に取って読みました。  尾瀬などの貴重な

          私の人生に影響を与えた本~ビオトープとの出会い『自然環境復元入門』

          そもそも学校ビオトープとは その3

          次の2冊の本を参考にして、学校ビオトープについて考える3回目。 ・杉山恵一・赤尾整志監修(1999)『自然復元6 学校ビオトープの展開ーその理念と方法論的考察ー』信山社サイテック ・山田辰美編著(1999)『子どもが変わる 学校がかわる 地域が変わる ビオトープ教育入門』農文協  (書名が長いので、これから、前者と『学校ビオトープの展開』後者 を『ビオトープ教育入門』と表記します) 考えておきたい学校ビオトープの意義  2回目に、今までの校庭と学校ビオトープ

          そもそも学校ビオトープとは その3

          ガガンボが泥をツンツン~ガガンボの産卵、ジュラシック・パークにも登場?

           久しぶりに天気が良くなったので、春休みの1日、いつもの公園に行きました。前回のキアゲハを見つけた4月2日、そのほんの30分ほど前の出来事です。  同じ公園に小さいな池があります。池のまわりは、土でおおわれいて、雨が降った後は泥地になります。何かいないかと近づいみると、ガガンボがピストンのように上下に動いています。  近づいてよく見ると、ちょうど座頭市が杖を地面を探るように、ガガンボが自身の産卵管を泥の表面をほぼ垂直にツンツンと突き刺している。しばらく見ていると、写真のよう

          ガガンボが泥をツンツン~ガガンボの産卵、ジュラシック・パークにも登場?

          キアゲハ               春の雨降りの後に新しい出会い

           3月、4月は、別れと出会いの季節。卒業式を終え、学年末考査、テスト返却、終業式と続きます。加えて高校教員は、2月からの入試業務、日々の授業、生徒対応、学年末テスト問題作成、採点、成績処理などなど・・・毎日毎日、なかなか慌ただしい。  3月に卒業生に別れを告げて、4月には新入生が入ってきます。先生方の異動もあり、3月、4月は出会いと別れの季節です。  今年はこの時期、雨が多く、気温も急に下がったり、春が一気に遠のいてしまった感じがしました。桜の開花予想も伸び、4月に入っても

          キアゲハ               春の雨降りの後に新しい出会い

          そもそも学校ビオトープとは その2

           次の2冊の本を参考にして,学校ビオトープについて書いています。その2回目です。自分自身の記憶の整理という意味合いもあり、久しぶりに読み直しています。前回は、ビオトープと学校ビオトープについて書きました。今回は、学校ビオトープについてもう少し深く考えます。 ・杉山恵一・赤尾整志監修(1999)『自然復元6 学校ビオトープの展開ーその理念と方法論的考察ー』信山社サイテック ・山田辰美編著(1999)『子どもが変わる 学校がかわる 地域が変わる ビオトープ教育入門』農文協  (

          そもそも学校ビオトープとは その2

          そもそも学校ビオトープとは

           3月22日(金)3学期の終業式を終え、やれやれというところです。今年度末は異動もなかったので、少し余裕があります。春休みはゆっくりしようと思っています。  この機会に、ビオトープ、特に学校ビオトープについて考えていこうと思います。次の2冊の本を参考にしていきます。自分自身の記憶の整理という意味合いもあり、久しぶりに読み直してみます。 ・杉山恵一・赤尾整志監修(1999)『自然復元6 学校ビオトープの展開ーその理念と方法論的考察ー』信山社サイテック ・山田辰美編著(1999

          そもそも学校ビオトープとは

          初めて フォトコンテストの審査をしました

          『国分川調節池フォトコンテスト2023』の審査をしました。写真展の審査は、初経験でしたのでどうなるかと思いましたが、何とかなりました。  このフォトコンテストは、千葉県市川市にある「道の駅市川」に隣接した国分川調節池緑地で撮影した写真のコンテストです。  国分川調節池緑地はその名の通り、洪水などの災害の緩和するために、つくられた調節池と緑地で面積24ヘクタールもあります。緑地にはサッカーや野球などができる場所もあります。  2年前より草地の一部で、草刈の工夫をして、バッタや

          初めて フォトコンテストの審査をしました

          note 始めて2か月が過ぎ、変化したこと

           年末から始めたnote、初めて2か月がたちました。日常の生活で変化したことをまとめます。ざっと思いつくままに書いていくと、  生活にメリハリがついた。無駄な時間を過ごすことが少なくなった。  ネタを探している自分に気が付いた 自分と似た人がいることに勇気づけられる。同じようなことに関心ある人を応援した気持ちになる。過去のデータや写真を整理しようと思う。また、本を買ったり、旅行したり、音楽を聴いたり、新しい体験をしようと思う。・・・・  週に1回、書いて公開する。ある程度

          note 始めて2か月が過ぎ、変化したこと

          簡単で誰でもできるビオトープ  草地ビオトープのつくり方~『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』より その3

          「草地ビオトープの作り方」の第3回目。少し長くなったので3回に分けました。  養父先生の『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』(農文協)には、ビオトープづくりの少しでも経験のある方なら、うなずくことが多いし、初めての方には、参考になる意外と気づかないことが満載です。特に今回紹介する「草刈りの仕方」はそうだと思います。  今まで、 第1回 新しく造成した場所・・・土マットを外から持ち込む   第2回 すでのある草地 ・・・・草刈りの頻度、方法を工夫する

          簡単で誰でもできるビオトープ  草地ビオトープのつくり方~『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』より その3

          簡単で誰でもできるビオトープ  草地ビオトープのつくり方~『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』より その2

          簡単で誰でもできるビオトープの続きです。 『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』(養父志乃夫著 農文協)は、20年前に刊行されたこともあり、今、書店で手に入れるのが困難なようなので、その内容を紹介しています。今回はその2回目。  前回は、新しく造成した土地に草地を作る方法を紹介しました。今回は、既存の草地を多種多様な生物の住めるビオトープ草地にする方法です。  『ホームビオトープ入門』では、植生からみた草地を、    草丈20㎝内外の低茎草地(芝型草地)   

          簡単で誰でもできるビオトープ  草地ビオトープのつくり方~『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』より その2

          簡単で誰でもできるビオトープ   ビオトープ草地のつくり方~『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』より

           今回は、簡単で誰でもできるビオトープについて書きます。  先週、『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』(養父志乃夫著 農文協)を紹介しました。20年も前に刊行された本なので、今はなかなか手に入りにくいようです。  多くの方に読んでほしいと考えて紹介したつもりですが、絶版かもしれないので、今回はその内容の一部を紹介します。私自身、何回かこの本を参考にして、ある程度の成果を上げていますので、紹介する価値はあると考えています。今回紹介する内容は、私自身が。簡単で誰でもで

          簡単で誰でもできるビオトープ   ビオトープ草地のつくり方~『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』より