断面オルソのすすめ
背景
点群データで設計を行う場合は地表面サーフェスモデル(LANDXMLなどの一枚面データ)をもとに設計を進めることが多いですが、点群の生データにはもっと情報が詰まっているため、点群データの活用方法として断面オルソデータの作成を強くオススメするために記事を書きます。
断面オルソとは?
航空写真などを歪みを取った画像をオルソ画像といいますが、オルソというのは正射投影法(Orthographic)の略で、無限遠の視点から対象面に直角にみた歪みのない図を作成する投影法になります。平面方向のオルソ図を平面図、断面方向のオルソ図を断面図ということもできます。
この正射投影法で点群の断面を表示したものを、ここでは「断面オルソ」と呼んでいます。要は断面位置付近の点を寄せ集めて投影したものです。
正確に表現するなら「任意断面における周辺の点群を正射投影した図」という感じでしょうか。
断面オルソの特徴
色付きの点群では色が分かり、地表面/植生の別やその範囲など、様々な情報が見て取れる。
点のばらつき具合や取得点数が視覚的にわかり、誤差がある場合にも確からしさを推定することができる。
投影深度(寄せ集める点の幅)を変化させることで表示する点の量を調整できる。
断面オルソの活用例
次に、断面オルソを用いてどのようなことができるか、例を見ていきましょう。
地表面データの精査
点群データを用いて土木設計を進める場合は、まずは地表面(グラウンド)データを作成して設計を進めていきますが、その地表面データが計測点群のどのあたりをどのように通っているかを見ることで、地表面の確からしさを確認することができます。
地表面データは元となる点群データの作成精度やゴミ取り等不要データの処理方法、残ったデータの評価の方法によって違い(※)が出るため、断面オルソ図を用いて精査してみると色々わかってきて、現地に即した設計を行うための参考になります。
※ばらつきのあるデータの上を取るか,下を取るか,最小2乗位置を取るかなど、地表面位置の評価方法によって位置が変わります。
地物などの把握
生点群データを用いて断面オルソデータを作成すると、植生の高さや樹冠の位置、建物の軒や塀など地物の位置など、グラウンドデータでは見えない色々なことを確認することができます。
使用する点群の点の量や着色の方法などによるのですが、視覚的にわかりやすいものの把握は容易です。実測横断図ではわかりにくい(通常とらない)ものもデータ化されていることが多いので、ある意味実測横断図より情報量は多いです。その他の傾向把握
地すべり・崩壊や地盤沈下など変状を伴うものでは、断面的にこれを捉えることで、その原因や影響範囲の推定に役立ちます。
他にも現地植生の変化が地層境界に整合していたり、建物の傾きが見えたり。注意深く見ていくといろいろ見えてきます。
繰り返しになりますが、実測横断図ではわかりにくい(通常とらない)ものもデータ化されていることが多いので、情報量は多いです。
活用しよう!断面オルソ
とまあ、ここまで色々書きましたが、要は断面オルソデータの作成について強くオススメしたいのです。
点群データ作成を行うと標準的にグラウンド(地表面)データの作成を行うと思いますが、グラウンドデータから横断面図を作成する際には、あわせて点群データから断面オルソ図を作成するのが標準になってほしいなあと思う今日この頃です。
これを簡単に抽出して2次元図面に貼付可能なソフトがあったらいいのになあ・・
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