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ステンドグラスの仕事は、友人の愛犬がくれたプレゼント。

私は、ライターの仕事の他に犬のステンドグラス制作をしています。一番活動していた時は、犬雑誌「ドッグワールド」に写真が載ったり、北海道新聞の取材を受けたりもしました。

最近は目が悪くなったので以前のように積極的にオーダーを受けてはいませんが、知り合いや、知り合いの知り合いから口コミで時々オーダーが来れば製作します。

今日の日記は、学生の頃から憧れていて、最初は趣味で始めたステンドグラスが仕事に繋がったエピソードです。

私には合わなかったステンドグラスの教室

私のステンドグラス歴は約20年、と言っても全く作っていなかった時期も数年あるので、せいぜい15年といったところです。

教室に通ったのは1年くらいかな?先生はセンスが良くて、職人として凄く尊敬していたけど、だんだん教室のやり方が嫌になって止めました。それからは、ずっと1人でやっています。

何が嫌だったかって、教室に通っても自分の作りたいものが作れないこと。ステンドグラスと言えばティファニーが有名で、デザインは「花」が圧倒的に多いです。でも、私が作りたかったのは「もっと表情があって、温もりのかんじるもの」。先生に相談しても「自分でデザイン考えたら?でも、素人がステンドグラスのデザインをするのは難しいわよ。」とキッパリ言われました。

私はティファニーを作りたいわけでもないし、花の作品を作り続けたいわけじゃない、だったらもう私が教室に通う意味がない。

それに、教室と言っても、お茶菓子を持ってくる生徒がどんどん増えて、いつの間にかマダムたちのお茶会の場になりつつあることに嫌気を感じていたんです。お菓子を食べながら作業するならまだいいけど、別室で手を止めての座談会の時間が増えて、作業時間が減っていくのが凄く嫌でした。

「お茶菓子を買うくらいならガラスを買いたい。喋っている間に作業を進めたい。」と思うようになり、限られた予算と時間で教室に通う私にとって切実な悩みになっていき、教室を止める事を決心しました。

教室を止めてまず困ったのがステンドグラス用のガラスの買い付け!でも、これはネットで知り合ったステンドグラス仲間に紹介されて、何とか解決できました。しかし、分かってはいたけどネットで売ってるガラスの値段にビックリ(めちゃ安いじゃん)!

一番困ったのはステンドグラスのデザイン!先生に言われた「素人には難しいわよ」を真に受けていて、当時はまだ自分でデザインなんて考えたこともなく、教室を止めた後は市販のデザイン集で作っていました。私が本当に作りたいものではなかったものの、花だけはなく色々なデザインの作品を作れることに楽しさを感じたし、趣味としてのステンドグラス制作はそれなりに充実していました。

私のステンドグラス人生を変えたのは、友人の愛犬の死だった。

ある日、仲の良い友人から「ゆうちゃん(犬の名前)が亡くなりました」と連絡が来ました。北海道と横浜だったので、すぐに駆け付ける事も出来ず、掛ける言葉も見つからなくて、ただ「Kちゃん(友人)の悲しみを思うと、どんな言葉も励ましの言葉も今は見つからない。ごめんね。」としか言えませんでした。

大切な友人だからこそ、口先だけの励ましの言葉を並べるのは嫌だったし、何か別の方法で私の気持ちを伝えたかった。その時に思ったのが「ゆうちゃんをデザインしたステンドグラスを作りたい」でした。

それから1カ月くらい、友人が送ってくれたゆうちゃんの写真を毎日見て、デザインを考えるけど、上手く描けなくて、気に入ったものができなくて、自分の才能の無さやセンスの無さに愕然としました。友人には、あれ以来何の言葉もかけていない「自分はなんて冷たい友人なんだろう!」と腹が立っばかり。

ある日、それは突然に来た!

ゆうちゃんの写真を見ていたら、写真に線が現れた!
学生時代に学んだトレースが生かせることに気が付きました。これなら私にもできるかも!

すぐに、写真を拡大コピーして見える線を拾っていったら、優しい表情の、まさにゆうちゃんの顔が描けたんです。

せっかくなら豪華なパネルにしたいと思い、真っ赤なバラを付けようと華やかな赤いガラスを選んでいる私に、ゆうちゃんが写真越しに語った。
「もっと優しい雰囲気にして!可愛いピンクの薔薇が良いな♪」

そうしてできたのが、このデザイン。

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完成した瞬間、自分で作ったのになんかウルウル・・・きっと、友人も喜んでくれる!絶対に気に入ってもらえると自信がありました。手はガラスで傷だらけになっていたけど、達成感は半端なかったです。

完成したパネルを友人に送ったら、到着した日に友人から電話が来て「箱を開けた瞬間、泣いちゃったよ~」と、電話口で号泣する友人の声を聞いているうちに私も貰い泣きして、しばらく2人で泣きました。

喜んでくれた、やっと私の気持ちを伝えられた。

ピンクのバラのフレームも「まさに、ゆうちゃんカラーそのもの!感動したよ。」と言ってくれたけど、さすがに「最初は真っ赤な薔薇にしようとしていた」なんて空気読めないことは言えなかった(汗

その後、自分の趣味のHPにゆうちゃんのパネルを載せると、愛犬家の人から何人も「うちの子のパネルも作ってほしい」とメールが来るようになり、「いっそ、オーダー制作を始めてくれるとお願いしやすい。」と言われて、私のステンドグラスのオーダー制作が始まりました。

私が作りたかったステンドグラスは、温もりが感じられて表情のあるもの、それは犬の似顔絵パネルだったんだとハッキリと自覚しました!それを教えてくれたのは、友人の愛犬のゆうちゃん。

大好きな犬の作品をオリジナルデザインで製作でき、仕事になったことに、この上ない喜びと幸せを感じました。

ゆうちゃんが私にくれた、大きな大きなプレゼントです。
とはいえ、今はもう目が悪くなって昔のような細かい作業は出来ないし、長時間の作業は体力的にもしんどいので、ライターの仕事が空いた時とか週末にちょっと作業するくらいしかできませんが・・・。



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