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【2024 DRAFT CLASS】2-33 Keon Coleman WR

今年のドラフトも終了。ここ数年チームを支えた主力を複数放出し、出直しを図るチームにとっては非常に重要なドラフトですが、例年になく面白い展開でした。
これから数回に渡り、指名選手を紹介していこうと思います。

0 トレード
その前に、まずは初日のトレード劇に関して。
BUFの元々の順位は全体28位。WRのTop3は早々に消え、本命と言われたBrian Thomas Jr.も23位で消えました。
ドラフト前は『絶対にBUFはトレードアップしてくる』などと言われていたものの、ビーンGMによれば『トレードアップしようともしなかったし、他から電話もかかって来なかった』と言ってます。まあ、真偽は藪の中ですが。

そして、迎えた28位の指名順。
ドラフトの数日前から指名の有力候補として突如名を挙げられていたXavier Worthyが残っており、他にも有力だったXavier LegetteLadd McConkeyといったWRが残っていました。

ここで、トレード1️⃣を発動。
KC相手に①1巡をスワップ、②3-95位を獲得(133位を放出)、③6-221位を獲得(7-248位を放出)しました。
レシーバー獲得を切望しつつ2022年のTrent McDaffieを掻っ攫われた時の二の舞(トレードアップで横取り)にならないかに怯えながら待ち続けた中で、まさか自分らがその当事者になるとは。。。
現地も怨敵相手にトレードしたことに大混乱が生じていたようです。

ビーンGMの発言などから見えた、このトレードの背景をまとめるとこんな感じ。
・3巡指名権が欲しかった。
Xavier Worthyにはそもそも興味がなかった。
Graham BartonがTBに指名された時点で、チームで1st RDグレードと評価していた選手はいなくなった。
・KCは他とも交渉しており、BUFが断っても他チームとトレードをまとめてWorthyを指名することは明らかだった。

という感じで、どうせKCにとって一緒の結果になるなら、切望していた3巡指名権も獲れるし、断る理由がなかったということなんでしょう。
その後、KCはWorthyを指名。KC史上最強のバスト誕生の瞬間でした。
このトレードについて、いろいろと言われてますが、かのBill Belichickは賞賛しています。
つまり、相手のことを気にするな、まずは自分たちの信念を貫いたBUFは素晴らしいということでしょうかね。

その後、迎えた32位。
ようやく味わえた32位指名権という地位をあっさり引き渡すトレード2️⃣を発動。
CAR相手に、①1-32位と2-33位をスワップ、②5-141位を獲得(6-200位を放出)、しました。
こちらも漏れ聞こえる話からまとめると、こんな背景があった模様。
・BUFは1巡グレード評価をしていない選手を1巡で指名することに否定的だった。
・BUFは当初からKeon Colemanを気に入っていた。
・Patsからもトレードを持ちかけられたが、PatsがKeon Colemanを指名する可能性があった。一方で、CARはXavier Legetteの指名が確実だった。よって、Patsとトレードすると、コールマンもレゲットも2巡で指名できない可能性が高かった。

・また、あくまで噂レベルですが、地元のスター選手に1巡という名誉と5年目OPが欲しいCARがBUFにトレードを持ち掛けたという話もあるようです。
CARのGMは、BUFのスカウト部門にいDan Morganですから、その関係もあったのかも分かりません。
隠れ本命と思っていたレゲットに関しては、そこまで拘りは無かったのでしょうか。トレードするに際しては、誰を指名するつもりなのかは聞くでしょうし、それを聞いた上でのトレード成立ですから。

個人的にはこのトレードは非常に評価できると考えています。相手がKCということでメンタル的な影響はもちろんありますし、将来、勝負どころでWorthyにやられることを想像したくもありません。
ただ、渇望していた3巡指名権を手に入れ、指名順位を5つ下げる一方で、合計で124も指名順位を上げました。もちろん指名巡の違いはあるので、一概な比較は出来ませんがチームが狙っていなかった選手をダシにして、このような結果を出したのは成功と言えます。

とは言え、この一連の流れは展開的には非常に面白かった。当日、私はスペースで他チームのファンの方らとやり取りしながら観戦していたのでしたが、非常に盛り上がるBills劇場が堪能できました。もし、よろしければその時の録音をお聞きください。

さて、ここからは33位で指名したKeon Colemanの紹介です。

1 キャリア
・ルイジアナ州出身の20歳
・191センチ、97キロ
・高校時代はアメフトとバスケで活躍
・大学入学時は四つ星、バスケでもリクルートを受ける。
・Texas大など13の上位大学から誘いがある中でミシガン州立大に入学
・True Freshmanとして初年度から試合に出場
・2年生になり先発を獲得。GBにドラフト指名されたJayden Reedを抑え、チームのリーディングレシーバーとなる。
・2023シーズンに、Transfer Portalに入り、ミシガン大など多くの有力校から誘いを受ける中でフロリダ州立大に転校
・レシーバーとリターナー両方でオールACCのファーストチーム選抜
・オールパーパス(レシーバー、リターナーの両方で活躍)部門でオールアメリカンのファーストチーム選抜
・レシーバー、リターナー、オールパーパスの3部門でカンファレンスファーストチームを同時に獲得したのは大学史上初

2 特長
・高さとサイズ、身体の強さを活かし、抜群のボディバランス、身体の使い方、集中力の高さで空中戦を制することが出来るレシーバー。
・特に、バックショルダーでのレシーバーは、ジャンプ、身体を反転するタイミングともに芸術的で、相手の守備を制する身体の使い方も絶妙。

・レシーブ力がエグい。カレッジ通算のドロップ率は4.2%。catchable rangeが広く、空中にあるボールをもぎ取るようなプレーが出来る。

・RACとルートラン能力の評価も高い。

・パントリターナーとしても優秀。2023年は平均12.0ヤードのリターンを記録し、これは全米9位の成績。

・ランブロックも粘り強く献身的で、レシーバーにブロック力を求めるJoe Bradyオフェンスで貢献できる。

3 短所
・スピードは平均的。40ヤード走は4.514(コンバインでは4.62)
・セパレート出来ない問題はプロキャリアに大きく左右しそう。

・ルートランのツリーはまだまだ未開発

4 コンバイン
コールマンを語る上で欠かせないのは、コンバインでの40ヤード4.61秒という数値。コンバイン前には4.4秒台も期待されていましたので、この数値でコールマンの評価はすっかり地に落ちました。
ただ、実際にはコンバインでの数値で悪かったのはこれだけ。ポジションドリルでの数値は全てポジショントップレベルの数値を叩き出しています。

・特に、ガンレットドリルは2023年のPuka Nacuaを上回る数値を残し過去2年ではトップ。
もっともレシーバーのセンスがわかると言われるガントレットの動きを見ても非常にスムーズ。
プレースピードは問題ない、というより、むしろエリートレベルと言えます。

5 指名分析
ここからは個人的な妄想。
Josh AllenがQBとして開花したのは、前OCのBryan Dabollが導入していたErhardt-Perkins offensiveというシステム。非常に分かりづらいシステムなのですが、フィールドをいくつかのエリアに分割し、そのエリアごとに幾つかのパッケージを用意して、QBが守備を見てそれをパズルのように組み合わせる。このシステムで、レシーバーに求めるのはミスマッチとオープンスペースになる能力。

ダボールはこれをRob GronkowskiJulian Edelmanのいた時代のPatsで学びBuffaloに導入しました。
そのシステムの元、Stefon DiggsCole BeasleyJohn Brownら小柄ながらアジリティを活かしてセパレートを作りオープンになれる選手と、そこに剛球を投げ込むアレンのプレースタイルで結果を出しました。

このイメージが強いためか、今年のドラフトでも同じようなタイプの選手を狙ってると思っていたので、Worthyやレゲットをスルーし、挙句、その典型的なマッコンキーが残っている中で、コールマンを指名したのは意外でした。

このような選手はアレンと相性が良いわけないと思っていたのですが、逆にそのオフェンスシステムでの限界を感じていたのかもしれません。

アレンは50/50のプレーは良くない、無理投げしてINTを連発するというイメージがあるのですが、それはアレンだけでなく、レシーバーにも問題があった、という風に判断しているのもあるかもしれません。
ディグスもビーズリーもサイズは無く競り合いに強いタイプでもないし、Gabriel Davisもサイズはあるものの、競り合いで相手を制する技術はお世辞にも高いとは言えず、競り合ってボールの前に出られてインセプを喰らうということも少なくありませんでした。

また、アレンのロングパスにおけるリードボールのコントロールはお世辞にも上手いとは言えず、むしろディープを攻めるにはスピードで抜くタイプよりも、50/50で強みを見せるレシーバーに投げ込み、アレンの思い切りの良さを出すことで、アレンの心理的負担を減らそうとしているという風にも考えられます。

もちろん、Curtis SamuelKaiir Shakirといった従来からのタイプの選手が既にいるので、彼らとはタイプの違うレシーバーを揃えたいというのもあったかと思います。

そういう意味では、これまでいなかったタイプで、50/50で無類の強さをほこるコールマンの指名は納得いきます。

強みと弱みがはっきりと分かれる選手です。
彼が活躍できるかは、彼の強みを活かせるような使い方をコーチができるかどうか
そして、アレンとのケミストリーは非常に重要。パスのタイミング、デリバリーなどを練習を重ねて、しっかりと構築して欲しいです。

ちなみに、アレンは今年もドラフトプロセスに大きく関わっていたとのこと。アレンは候補生のフィルムを見てはビーンGMに連絡してきて意見を交わしていたとのこと。ビーンGMによれば、『アレンは、200-250回はMock Sumilaterをやってる』とのこと(もちろんジョーク)。その上で、コールマンはアレンが欲していたタイプのレシーバーだと語っていました。

そのアレンとコールマンを含むレシーバーユニットは合同での自主キャンプをするらしいです。

記者会見での自由奔放っぷりは既にファンから多くの支持を集めている模様。一方で、質問に対する回答からもスマートさも伺えます。

まずはコールマンが加わったオフェンスが、どのような新境地を見せるのか。これまでに無かったようなダイナミックなオフェンスを見たいものです。

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