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イギリス、若年層のトランスジェンダー医療に関する調査書「ザ・キャス・レビュー」を公開


ザ・キャス・レビュー

先日イギリスではヒラリー・キャス博士が提出した若年層トランスジェンダー医療に関する報告書を発表した。キャス博士は全国保健省(NHS)で青少年の性自認治療調査の独立調査会の会長である。この報告書はNHSイングランドがより「高い水準の治療を受けられるようにする方法について提言」するために委託したものである。

この報告書はトランスジェンダー医療の現状や今後どのように改善していくべきかといった推薦などが含まれている。

主な発見事項と概要

この部分に書かれていることはこれまでトランスジェンダリズムについて観察してきた我々ジェンダ―クリティカルな人間には新しいことでもなんでもないが、このようにきちんと公式な調査書で発表されたということには意義がある。強調はカカシ。

  • 青少年や若い大人の間でトランスや多様な性別を自認する人が急増している理由について、生物学的や精神的な要素以外に社会的な要素があると思われる。

  • トランス医療は通常の臨床からかけ離れているため性違和のある患者の治療を恐れる臨床医も居る

  • 性不一致の子どもや若者の治療に関する国際的なガイドラインでイングランドのNHSにそのまま適用できるガイドラインはひとつもないことがわかった。

  • この分野ではかなりの量の研究が発表されているにもかかわらず、どれもその研究の質が低く、臨床的な決断を下すには信頼できる根拠のある調査ではない

  • 子どもや若者のケアに関する根拠を基盤にした長所と短所は、科学的な出版物や社会的な議論の場において、しばしば誤って表現されたり、誇張されたりしている

  • トランス医療に関する論争のために実際に患者に必要な治療から焦点がずれてしまっている。

  • 早期の思春期抑制の根拠は不明確なままであり、性同一性障害や精神的・心理社会的健康への影響に関する証拠も弱い。認知や心理性発達への影響も不明なままである。

  • 成人のトランスジェンダー集団で長年使用されているにもかかわらず、18歳未満での男性化/女性化ホルモンの使用もまた、多くの未知の問題を提示している。より早い年齢で治療を開始した人々に関する長期追跡データがないため、治療の影響範囲がどのようなものなのか定かではない。

  • 臨床医たちはどの子供が長期に渡りトランスを自認を継続するのか、確固たる判断を下すことができない。

  • ほとんどの若者にとって、医療経路はジェンダーに関連した苦痛を管理する最良の方法ではない。より広範な精神および/または心理社会的に困難な問題に対処することなしに、医療経路のみを提供することは十分ではない。

  • 医療を前進させるためには技術の革新が重要であるが、進歩を阻害しないような監視、監督、規制が必要である。技術革新は証拠を基盤としたものでなければならない。

長々と書いてきたが、要するにキャス博士はトランス治療は通常の臨床の基準を完全に無視し、科学的根拠もなく安全性も危険性に関する調査も不十分であるにもかかわらず、トランスジェンダー治療は行われており、まともな臨床医は怖くて関わり合いになりたがらないと結論づけているわけだ。

それは完全に我々がこれまで言い続けて来たことではないか!

今後の推薦事項と概要

推薦事項も結構色々と長いのだがまとめていこう。

  • ジェンダー治療も子供や若者に対する他の治療と同じ基準をあてがうこと。

  • 小児科を基本とし、二次医療と専門医療との連携を強化し治療の効果を拡大する。

  • NHSのジェンダーサービスに紹介された子供は自閉症スペクトラムや発達障害などを含む包括的な診断を受けなければならない。

  • 標準的な科学的証拠に基づく心理学的および精神薬理学的治療を用いて保護者への適切な支援を含め、性別不一致および併存する状態から生じる関連する症状の管理を支援すべきである

  • 思春期前の子どもとその家族のための専門の過程を確立し、親が子ども をどのようにサポートするのが最善であるかについてバランスの取れた批判的でない方法を早期に優先する。

  • NHSイングランドは、各地域センターが17~25歳のアフターケアを供給すべき。治療後の患者がどうなったかについて継続的な監視が必要。

  • また脱トランスする患者についても考慮し以前にうけたジェンダー治療を再び受けたくないとする患者がいることも理解すべきである。

  • NHSのジェンダーサービスを受診するすべての若者の特徴、治療、結果を調べるために、完全な調査プログラムを確立すべきである。

  • NHSイングランドが以前に発表した思春期ブロッカー試験は、心理社会的介入や男性化/女性化ホルモンの転帰も評価する研究プログラムの一部であるべきだ。

  • 男性化/女性化ホルモンを16歳から投与する選択肢もあるが、本レビューでは細心の注意を払うよう勧告している。18歳になるまで待たないのであれば、ホルモン剤を投与する明確な臨床的根拠が必要である。医学的治療を考慮するすべての症例は、全国Multi- Disciplinary Team(MDT)で議論されるべきである。

  • 民間医療が、将来NHSに治療、監視、および/または研究への参加を要請する際に与える影響、および民間処方の薬剤師の調剤責任について、明確に伝える必要がある。

この調査書の書き方は非常に消極的ではあるが、それでも如何に若年層への性違和治療が科学に基づかないいい加減な情報を元に乱暴に行われているかが読み取れる。はっきりいってこの推薦状はおとなしすぎる。

もし調査団による発見事項が真実であるならば、いますぐ若年層のトランスジェンダー治療は中止し、安全が確保されるまで調査をすべきである。危険な状況であることがわかっていながら、そのまま子供たちへの治療を続けるのは無責任を通り越して犯罪だ。幼児虐待だ。NHSイングランドは少なくとも思春期ブロッカーの処方は止めたが、民間診療所における処方を禁じているわけではない。

もしNHSが危険だと感じ処方しないと決めたのであれば全国的に禁止すべきである。そして若年層だけでなく大人への異性ホルモン投与の危険性についてもっと深堀して調査すべきだ。

とはいえ、すくなくともNHSの公式発表でジェンダー治療の問題点が指摘されたということは画期的な出来事である。

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