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バントの名手が指導者になったら、バントサインは無しだった

ベンチから選手へ戦術を伝えるための仕組み”サイン”

この”サイン”について、皆さんにご想像頂きたい点がございます。

子供たちがプレッシャーを感じるサインってなんだと思いますか?

実際にアンケートを取ったことが無いのですが、私が考えるプレッシャーを感じるサインランキングは・・・まぁ、だいたいこんなもんでしょうか。

第1位:バント・スクイズ
第2位:ヒットエンドラン

プレッシャーを与える練習方法を取り入れるチーム


バントサインが出たら・・・

チームが勝つために必要なサインだってことは、子供達だってもちろんわかっています。

ここで自分がサイン通り決めて、チームを勝利に導くんだ!

と、意気込む子供たちもいるでしょうが、

ほとんどの子供にはプレッシャーが感じる戦術であることは間違いありません。

だからこそ、試合中に緊張して、失敗する子がいるんですね。


そんなバントを試合で成功させるためには・・・

多くの野球少年チームでは、強制的にプレッシャーを感じさせる状況下に置いて、そのうえでミスをさせないということを反復練習させていることでしょう。

ミスをしてしまったら罰も設定しているチームもあるでしょう。

個人で負う罰もあるし、個人のミスをチームで追う罰もあったりと。

私自身も子供のころに思ったこと、

「なんで全員で罰を受けなければならないんだよ!」

プレッシャーを与えて、プレッシャーに負けないで成功させる練習なんだとは理解はしていましたが、

子供心には”これは理不尽だ!”というのが本音でしたね。


一方で、プレッシャーを与えずにのびのびとやらせた方が効果が高い練習もあります。

例えば、フリーバッティング。

打てないといったミスが怖くて縮こまってやらせるよりは、空振りでも良いからどこまで飛ばせるを自由にやらせた方が良い場合だってあります。


このように失敗が許されない中でプレッシャーを感じながらする練習、

ミスをしてもいいからプレッシャーを与えない練習、

子供へのプレッシャーを考慮した練習方法を取り入れながら、選手を伸ばそうとしているチームが多いことでしょう。


バントの名手は指導者になったらバントサインは無し

プロ野球選手もバントをやります。

画面で観ていても、プレッシャーがかかっている様子が良くわかります。


ちなみに、メジャーリーグでもバントやっています。

今年、開幕から破竹の連勝でメジャーリーグ記録に並ぶ13連勝を記録したレイズでは、1点差で勝っている場面でも、2アウト満塁で相手の意表を突いたバントスクイズをして追加点をもぎとった試合もありました。


そんなチームの勝利のために行っているバントですが、

最近の学童野球においては「バントをしない」と断言する指導者も増えてきているようです。


そんな断言をされている代表的な方々として真っ先に頭に浮かぶ指導者は・・・

宮本慎也さん
井端弘和さん

実は2人ともプロ野球の”バント数”の歴代通算記録保持者です。

宮本慎也さんは3位、井端弘和さんは22位です。


それでは、宮本慎也さん、井端弘和さんはどのような野球を普及させようとしているのかを、それぞれご紹介したいと思います。


宮本慎也さんが大会会長を務める学童軟式野球大会


宮本慎也さんが会長を務める学童野球大会では「正々堂々楽しもう!」をキャッチフレーズに、

子供たちに野球の楽しさを知ってもらおうと、大会独自に色々なルールを採用してきています。

それらのルール、ホント面白い!はっきり言って私は好きです!

今年開催されている大会で採用されているルール
●EDH制(特別指名打者=通常の9人に加えて置くことができる、攻撃のみの選手)
●先発選手が一度、試合から退いても再出場を可能とするリエントリー制度
●盗塁数の制限(1試合6個まで)
●メンバー表記載の6年生選手全員出場の義務化

そして、「バント禁止」です。

徹底的に全員で野球を楽しむことをモットーに考えられたルール、子供だけでなく、指導している大人、応援している大人も含めて、全員が楽しめる野球って感じがしませんか?


侍ジャパンU-12の監督である井端弘和さん


WBCで優勝した侍ジャパンには小学生チームもあります、その名も”侍ジャパンU-12”

このチームの監督を務めるのが井端弘和さんです。

今年開催される世界大会に向けて、井端監督は優勝を目指すためには「力勝負」を重視する方針を打ち出しました。

井端さん
「盗塁とかはやりますけど、バントは一切やらないで、打ち勝って世界一になりたい」

「去年優勝したアメリカとかを見ていると、投手なら120キロを超えてくるぐらいのピッチャーがいないと、打者もそれを軽々と打ち返すような子がいないと、世界は取れない」

井端さんはバント反対派ではなく、バントの重要性を理解しているうえで、このような発言をされたと勝手に妄想しています。

なぜなら、子供たちが世界で戦っていくためにいはバントに頼らず、力で勝負する野球で世界一を目指す姿勢を貫こう!という意気込みには、大変共感しております。

アメリカのピッチャー、韓国のピッチャーは球速120キロを超えるボールを投げてくる、しかも、見たことがないような変化球を投げてくる中で、日本の子供たちが世界に挑戦する姿、とっても楽しみにしております!


バントのプレッシャーから解放された子供たち


そんなバントの名手が、子供の指導者となった際にはバントをさせない指導を行う。

とっても考えさせられます。


このお二人の思いを聞いてみたいですよね、勝手ながらお二人の気持ちを私が妄想する上では・・

仕事としてバントはしたけど、子供の育成を考えたらバントの優先順位は低いから、指導する上ではバントのサインは出さない。


更に私の妄想は続きますが、今後の子供たちの野球の世界では・・・

子供たちの野球ではバントの機会は減っていくのだろな。


時代の変化を感じながら、時代とともに野球は変わり続けるものなんだなと思います。


最後に、私が感じている楽しみをご紹介します。

バント禁止をルール化している宮本慎也杯学童軟式野球大会、この大会は今年で8回目を迎えております。

この大会を卒業していった子供たちが、いまは大学生や高校生となっています。

「楽しむ野球」を実践してきた子供たちがどのように育ったのか、

そして、この子たちが大人になって指導する側になった際には、どのような野球が広がっているのか、楽しみにしています。

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