新しい言葉になった象

 先日、日本平動物園のゾウ「ダンボ」が57歳の誕生日を迎えたとのこと。たまたまツイッターでニュースが流れてきたので、「日本平動物園のゾウはダンボって名前なんだって」と家族に話したところ。上の子が「ダンボのお母さん(勿論ディズニー映画の話)とか、ゾウにジャンボって名前つけること多いよね。大きいイメージが強いからかな」と返してきました。はて、ジャンボという名前のゾウはダンボのお母さん以外にあと1頭しか僕は知らないんですが。とは言え因果関係の入れ替わった上の子の認識は正さねばなりません。
「それは逆なんだよ。ジャンボって言葉は元々、ケニアやタンザニアで話されているスワヒリ語で『こんにちは』っていう挨拶の言葉なんだ。19世紀にアフリカから連れてこられたゾウがジャンボって名前が付けられて、そのゾウが凄く有名になったから、ジャンボという言葉に「大きい」という意味がついたんだよ」
と、それで終わればいいんですが、根が小心なため自分の知識があっているかスマホでチェックします。「ジャンボ、象の名前」で検索すると、確かに「大きい」という意味の「ジャンボ」の語源、あるいは「ジャンボジェット」の名前の由来として、このゾウのジャンボを挙げているサイトがいくつも出てきます。だいたいスワヒリ語からゾウの名前を経て、英語の語彙になった流れが書いてあるのですが、一つスワヒリ語とするべきところを「アフリカ語」となっているサイトがありました。アフリカ語・・・。

 幾つかサイトに目を通してみると、このジャンボの来歴について「アメリカのサーカスに輸入された」としているサイトと、「パリやロンドンの動物園で人気を博した」としているサイトがありました。あれ?どっちが正しいの?
 謎はWikipediaを見たら解けました。と言うか「ジャンボ」が立項されていることに驚くべきでしょうか。ジャンボはオスのアフリカゾウ、フランス領スーダン(現在のマリ)で生まれ、パリ自然史博物館付属植物園の中の動物園(ややこしい!)で飼育された後、ロンドン動物園に移され、さらにサーカスの所有者P・T・バーナムに売り渡された、とのこと。つまりどちらも正しかったわけです。
 ここで思いがけず大物の名前が出ましたね。P・T・バーナム。良くも悪くも19世紀を代表する興行主。19世紀を象徴する、の方が適切かも。映画「グレイテストショーマン」の主人公です(映画はみてないんですが)。ちょっと調べましたが、ロンドン動物園はロンドン動物学会の運営なので、公立と言っていいのかわかりませんが、ある意味公立動物園よりアカデミックな施設。ここからサーカスに動物が売り渡されるというのは、現代では考えられないんじゃないでしょうか。
 ジャンボはカナダで鉄道事故で亡くなったのですが、バーナムは「若い象を機関車との衝突から守ろうとして替わりに犠牲となった」と宣伝したとありますね。興行師って奴は・・・。

 記事の最初に戻りますが、日本平動物園。1回だけ行ったことがありますが楽しかったです。当時は「猛獣館299」が建築中で、大型肉食獣が見られなかったんですよね。また行ってみたいです。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。本業のサイトもご覧いただければ幸いです。


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