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停電の夜に|weekly vol.0122

今週は、うでパスタが書く。

「今週は、」と言っているが、このweeklyマガジンも今月の2022年3月いっぱいをもって「weekly」の看板をおろすこととあいなった。
三年のあいだがんばったのでそれなりの成果だと評価していただきたいところだが、要するに「週に一回」の更新でそれなりのアウトプット(ほぅら、きみたちの好きな「アウトプット」だよぉ〜)を出すのに「すきま時間」ではとても足りなくなったということだ。
その点で、いっとき百日連続更新を目指していたときのような短文投稿にコスト意識は低く、一四〇文字にとどまらない思いを「つぶやいて」いくあたらしいスタイルにどうぞご期待いただきたい。

気に入らない、という方はご自分で購読停止の手続きをいただく必要がある。ご期待に添うことができず、残念だ。

このノートが公開されるころには事態の帰趨もあきらかになっていることだろうが、三月だというのに東京に小雪のちらついた今日、関東・東北地方では電力需給の逼迫が叫ばれており、悪ければ都内でも「計画停電の予定はないが、一部停電発生の可能性」があるとされているが、だったらもういっそ計画停電をやった方がまだ混乱も少なくてよいのではないかという、これぐらい問題のある言い回しだと私は思う。
私自身に関してはこういうことも考え日頃から照明・防寒にいたるまでキャンプ道具を中心に一夜の停電に充分耐える装備を自宅に備え、日々実際に使用したり手入れをしたりしているのだが、いかんせん港区というところに住んでいるので停電の心配もなく東京22区のみなさんに連帯できないことは慚愧の念に堪えない。気持ちばかりだが今夜はホットプレートで焼肉でも食べて応援したいと思う。経産省は22日夜の停電はないと発表、よかった!

私は反原発というか日本伝統のマネジメントシステムではもはや正しく核管理ができないからやめた方がいいという立場なので、「震災」以来折に触れて生じるこうした電力危機においては少なからず気まずい思いをする他ないのだが、「現場力」に信頼し、その底堅い職人気質に支えられてやってきた日本の産業社会においてその現場にまで成長の果実がまわらず、これでは倫理も士気も低下するのはやむなしというこの状況で原子力のようにクリティカルなテクノロジーを果たしてただしく制御しつづけることができるのかどうかについてはおおいに疑問だ。社会のあらゆるところで捏造や偽装がおこなわれているなかで、核管理だけが正しくおこなわれるわけがない。

福島県でひとびとの生活を犠牲にした原発事故については地震が、津波が、それによる電源喪失がと不幸な「偶然」が重なったことは事実だが、市場参加者なら全員が分かっているように、問題はきっかけにあるのではなく、そうしたきっかけに対して脆弱な構造・状況が事前に存在していることそのものであり、いずれ来るきっかけがいったい何であるかにかかわらずそれはやがて訪れるのであり、それが「なんであるか」、そして「いつ来るか」を事前に予測することはやはり不可能だということを原発事故は(エブリ・シングル・原発事故は)示しているのである。

長く相場で生き残ってきたひとたちは、この先に何がどんな順番で起こるかを予測しようとすることには意味がないと断言する。それよりも、自分のポートフォリオのバランスにだけ常に注意をしろと、それだけに気を付けていろと、こういうことを繰り返すのだ。それはまるで「おまえのポートフォリオが極端に投機的に傾いた瞬間、それが危機を呼ぶ」と言っているかのようだが、実際そうであるかのごとく、そうしたときに危機はいつもやってくるのである。これは経験していないと分からないかもしれないが、本当に「自分が前の晩にセックスをすると、その場所へ次の日ミサイルが落ちる」のとおなじことがいま起こっているのではないかと錯覚するほど、この傾向は顕著だ。そうした意味ですべての投資家は岐阜暴威なのである。

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