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イエスが生きておられるから

今年のイースター(復活祭)の頃に私がよく聴いていた曲の一つに、『Because He Lives(主が生きておられるから)』という賛美歌があります。日本語では、『主は今生きておられる』、『み子イエス世人のため』、『私をゆるすために』などの題名で訳されています。

この賛美歌は少しユニークで、イエスの復活を歌っているけれど、2番の歌詞が親子についてのものになっています。ほとんどの日本語訳では省かれているのですが、実は、この賛美歌で最初に書かれたのは、この部分でした。

簡単に翻訳してみると、このようになっています。

生まれたばかりの子を抱くのは、なんと愛おしいことか
誇りと喜びを感じさせてくれる
しかし、それ以上に強く感じるのは、この穏やかな確信
主が生きておられるから
この子は不確かな日々と向き合えるのだ

作者は夫ビルと妻グロリアのゲイザー夫妻で、アメリカのクリスチャン・ミュージック界を代表する音楽家です。

グロリアは第3子を妊娠中に、大きな不安に襲われました。当時のアメリカ社会は激動の時代にあり、新聞にはベトナム戦争、麻薬取引、暗殺、人種差別や暴動など、暗いニュースの見出しが躍っていました。

また、ビルは単核球症にかかり、親しい友人から彼らの宣教活動について暴言を吐かれたこともあって、肉体的にも精神的にも弱りきっていました。ビルの妹が離婚して、危険と言えるほどの不安定な状態にあることも、夫妻の心に重くのしかかりました。

社会的・個人的な混乱のさなかに子どもを生まなければならないことに、グロリアは心を乱し、子どもたちはこんな世界でどんな人生を歩んでいくのだろうと不安になったのです。

しかし、ある日、グロリアがそんな状況について考えていると、いきなり、すべてから解放されたように感じ、穏やかな平安で満たされました。それは、状況とは関係なく、ただ主だけが与えることのできる平安です。

そして、人生にはコントロールできないことが多々あるけれど、自分たちは神の御手の内にあるので、神への信頼を持って未来と向き合えるという確信を得ました。

イエスは私たちの罪のために死んだだけではなく、死に打ち勝って復活されました。私たちの人生には辛いこと、苦しいことも多くありますが、イエスの復活の力はそれらすべてに打ち勝ち、私たちをよみがえらせてくれます。

そんな希望に満ちた思いで、この2番の歌詞が生まれ、さらに他の部分が追加されて、曲が完成しました。コーラス部分は、このように書かれています。

主が生きておられるから、私は明日と向き合える
主が生きておられるから、恐れはすべて消え去る
未来は主の御手の内にあると知っているからだ
主が生きておられるから、人生は生きる価値がある

イエスは復活して、生きておられます。イエスを信じる私たちと共に生き、人生を導いておられます。だから、世界がどんな有り様であっても、人生は生きる価値があるのだと、この歌は教えてくれます。

時代は変わりましたが、今の世の中にも、不安や混乱を与える出来事がたくさん起こります。私の人生にも、悩み苦しみがあります。きっと、誰の人生もそうでしょう。

でも、私たちには、「わたしにつながっていなさい。そうすれば、わたしはあなたがたとつながっていよう」、「わたしの平安をあなたがたに与える」と約束し、「わたしが生きるので、あなたがたも生きる」と言ったイエスがついていて、私たちの人生に復活の力を注いでくださいます。(ヨハネ15:4, 14:27, 19

日々の生活の中で、イエスとその力を認識する目を養うなら、どれほど不確かな日々であっても、死にさえ打ち勝ったイエスが生きておられるという確かな事実に勇気づけられます。

そして、ゲイザー夫妻のように、すべてをご存知の神に信頼し、確信と希望を持って、「人生は生きる価値がある」と言えることでしょう。




婦人たちは朝早く墓へ行きましたが、遺体を見つけずに戻って来ました。そして、天使たちが現れ、「イエスは生きておられる」と告げたと言うのです。

(ルカ24:22-23 新共同訳)

キリストは、弱さのゆえに十字架につけられましたが、神の力によって生きておられるのです。わたしたちもキリストに結ばれた者として弱い者ですが、しかし、あなたがたに対しては、神の力によってキリストと共に生きています。

(2コリント13:4 新共同訳)



この賛美歌の動画を、いくつか紹介させていただきます。(日本語の歌詞はすべて異なっています。また、最後の英語の動画は、2番の歌詞から始まります。)

『イエスがいるから』
Ruah Worship


『主は今生きておられる』

4.5 Music


『主は今生きておられる』(リビングプレイズ16)
松浦ゆり


『Because He Lives』 
Gaither Music



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