ゆるひす

不定期更新で詩や小説を書いてます。「分け入っても分け入っても青い山」辺りに在住のしがな…

ゆるひす

不定期更新で詩や小説を書いてます。「分け入っても分け入っても青い山」辺りに在住のしがない物書き。

マガジン

  • 掌編小説、随筆

    掌編小説と随筆をまとめています。

  • 『死の天使の光輪』

    初の短編小説。青年はささやかな物書きであった。彼は物語を書くために、ある廃墟へ赴く。

  • おさむの詩

  • 世界を渡る羽

    春真っ只中。しがない物書きの青年が一年ぶりに立ち寄った村では祝祭の準備が行われていた。そこにある一人の若い女ジプシーが訪れ、村人に占いをしてあげると言い出した。未完の作品である『死の天使の光輪』の続編・短編小説。不定期で更新中。

  • 短編小説『予祝』

    津々浦聖(きよし)は米農家産まれで農業の跡継ぎであった。ベーシック・インカムが始まった世の中で、彼は父からは「自由に生きろ」と言われる。四十代にもなった身の彼は、これからどう生きるのか、どう生きたいのかを考え出す。

最近の記事

  • 固定された記事

僕にとって書くことが仕事であり、書くことが生きがいである。僕に必要なのは、上質な原稿用紙とデザインにこだわった万年筆、リラックスした時に訪れる閃きである。それらの心地良さだけがあれば人からの評価は必要なくなってしまう。そして、個性が才能に勝る条件はここにあると僕は思う。

    • ほかいびとの歌

       乞食者(ほかいびと)。  予祝で、寿ふ(ほかふ)、祝ひ(ほかひ)人。  家々を 回り言祝ぐ 乞食者(ほかいびと)  ほぎびとよ 言葉を祝ぎて 呪い(まじない)す  予祝を発する 生業として  祝いうた、ほきうた(寿き歌)を詠み 物乞いす  よごと、よみうた、ほきうたと  くにみ、たみほめ、むろふき(室寿き)と  ほめる、ことほぐ、ことだまと  言が事とし 現れる  歌を詠み 言挙げ 挙げて 宣うは  よの幸いを 祝ふ者なり  ひとふたみ  よいつむななや  こ

      • 決意表明

         右腕を切り落としたい思いでこれを書いています。もはや小説を読まなくなった烏合之衆に何を与えれば鳴いてくれますか。行間の空いたライトノベルですか。ためになる自己啓発本ですか。肩書きですか。知名度ですか。それ以外にあるのなら応えてください。  僕は小説を書きます。書き続けます。もう境地に立ちました。皆から読まれなくても書きます。日記のように書きます。決めました、もう、決めました。  評価なんて幻想です。あれはただの言葉の並び、気持ちなんてありません。評価する側が言いたいことを言

        • 小説らしいとは

          「行間の空いている小説、あれはライトノベルでいいんですか?」  行間を空けて読者に読みやすくしている小説を見かけることがある。それらを見る度に私は、これはライトノベルか否かを考えるのである。そもそも一般的な小説とライトノベルは別物なのかも分からない次第である。しかし、ライトノベルにも色々ある。昔、カルロ・ゼン作の『少女戦記』を読んだことがある。外見は俗に言う鈍器本だが、それもラノベだと聞く。しかしそこには専門用語満載、軍事政治知識満載の文章が頁一面に書かれていた。これには偏

        • 固定された記事

        僕にとって書くことが仕事であり、書くことが生きがいである。僕に必要なのは、上質な原稿用紙とデザインにこだわった万年筆、リラックスした時に訪れる閃きである。それらの心地良さだけがあれば人からの評価は必要なくなってしまう。そして、個性が才能に勝る条件はここにあると僕は思う。

        マガジン

        • 掌編小説、随筆
          54本
        • 『死の天使の光輪』
          9本
        • おさむの詩
          17本
        • 世界を渡る羽
          3本
        • 短編小説『予祝』
          2本
        • 天祝屋 ゆるひす
          3本

        記事

          実績解除!創作大賞2024

           実績解除したかった……そんな想いで参加します創作大賞2024。自分の作品に対して愛はある。有り余るほど、溢れ出るほどある。しかし、私の書いた作品は全く万人受けしないスピリチュアルに偏った内容の小説である。しかも、もっと考えて書けばいいものを、なんちゃって対話型の一方的な説教宣う形になったものだから、読者からすればなんじゃこりゃの嵐。いや、まず、スピリチュアルという点で読みはしないから、そこまでは至らないと思うが。  今回ばかりは許してくれ、三年(実質的な執筆時間は一ヶ月、

          実績解除!創作大賞2024

          短編小説『死の天使の光輪』

           草原を駆ける西風が草露を拭う。  その青年は、草原に出来た小径を歩いていた。厚い雲が悠々と漂う晴れた昼間のこと。風に吹かれながら歩くその姿は、長い時間歩いていたにもかかわらず、風に足を掬われるかのような、疲れを知らない、軽い足取りをしていた。これから向かう場所へ、期待に胸を弾ませながら、青年はこれから起きる《出来事》に対する想像をたくましくしていた。  青年はささやかな物書きであった。  数々の廃墟へ行っては、その場所であった出来事に《想いを馳せて》、そうして汲み取ったもの

          短編小説『死の天使の光輪』

          『死の天使の光輪』終章

          「よぉ兄ちゃん。あの少女に会ったんだろ?」  青年が町の宿に戻ると、宿屋の店主が話しかけてきた。何故この店主は、青年が少女と会ったことを知っているのか。不思議に思いながらも返事を返した。 「ケイラのことですよね。会いましたよ」 「だろうな、コートの裾が切れてるぜ」 「え?」  コートの裾を見ると、まるで切り刻んだかのような切れ目が残っていた。店主が話を続ける。 「あの黒服の少女はな、死神なんだよ。あの廃墟に入った奴にヘンテコな話を聞かせてな、そんでその話が分かる奴がいれば気に

          『死の天使の光輪』終章

          『死の天使の光輪』第五章

           古びた廃墟に長い影が二つ並んでいる。昼間、燦々と輝いていた太陽が今では優しい橙色に変わっている。世界と二人を包み込むその光は、どこか新しくも懐かしいような、一種の宗教画に見る後光のようだった。  しばらく黙って夕陽を眺めていた二人。しかし、静寂を破って、青年が少女に声をかけた。 「そろそろ日が落ちるし、町まで戻ろうか」 「確かに、もう戻らないと」  少女は青年から離れるようにして、夕陽のある方角に向かって歩き始めた。廃墟の出口とは逆である。 「ちょっと、ケイラ! そっちは

          『死の天使の光輪』第五章

          生き切るという癌

           物事には終わりがあり、さらに始まりがあるもので、それらを繋げて環が出来上がり、永遠が続くということもあるようです。  僕の最近の調子、要するに身体のことの話になるのですが、頗る悪しでございます。一昨日、一昨昨日でございましょうか、夜、枕衾に酖る時間に、急に胸だか心臓だかが痛く苦しくなってきまして、僕はこれを、この痛みを癌から来るものなのだなと直ぐに思いました。こう思うのも理由がありまして、僕の母親は癌で亡くなったので、その遺伝があるのではと思ったのでございます。  嗚呼

          生き切るという癌

          散り散りの自分

           僕は「散り散り」だ。  あれを考え、これを考え、色々考え、いっぱい考え、しかし、どこにも収まらない。本棚から出した本たちが片付けられずに積まれて置かれている。これが、僕の生活だ。僕自身だ。  僕は努力をやめた。自分の力を見たくなくて、努力をして、頑張って、それでも何も出来なかったらどうしようと不安になって、だから、やめたんだ。  きっと、最近になって始めたことも、なあなあになって終わるだろう。僕はこんな生き方しか出来ない、こんな生き方しかしない存在なんだ。それでも僕は、

          散り散りの自分

          瞑想中の閃きメモ

           この記事は瞑想中に起こった閃きをメモする場所です。閃きが起こったらどんどん追記していきます。  今日の瞑想中、「人の脳は主語を認識しない」という言葉が出てきたので、試しに「私は在る」「私は神である」を「今ここに在る」「今ここに神である」と変えて、何度も唱えてみた。瞑想中は分からなかったけど、瞑想後はとても心地よかった。2024/04/14  瞑想中、「今を思い出せ」という言葉が出てきたけど、「今を思い出せって、今は現在なんだから思い出すことじゃなくないか?」と思った。で

          瞑想中の閃きメモ

          魔術に全てを捧げた学生時代の話

           どうも、ゆるひすです。  ここで話すこととはタイトルに書いてある通りです。魔術の勉強のために時間と金(お年玉)を費やした私の学生時代(小~高校生)を振り返っていきたいと思います。ちと長いからサラサラと飛ばして読むのがいいかもね! 【小学生時代】  まず私と魔術の出会いから。  それは小学三年生の頃の話。テイルズオブシンフォニア(TOS)というゲームの中に登場するキャラクター達が魔法を使うのを見て「これはどういう仕組みで魔法が発動しているのか?」という疑問が浮かんできまし

          魔術に全てを捧げた学生時代の話

          僕と君との

           道歩き 我の先ゆく 花駆ける  故人の歌を詠う 東風哉  桜の季節になると必ず、西行の歌を思い出す。  仏には桜の花をたてまつれ  わがのちの世をひととぶらはば  昔の僕と比べて、今の僕は生きる楽しさを取り戻した気がする。それでも死ぬる権利はまだ僕にあって、いつでも死ねる機会はあるのだが。生きる楽しさを取り戻したと言えど、まだまだあの世の魅力に取り憑かれて、歌を詠む。  散る花は 川を流れて往く   我は東風に全てを委ね 身を投ぐ ──あの日、あの時、僕が見たもの

          僕と君との

          才能について語る。 「自分という存在が才能である」という考え方は非常に良い回答だと思う。 一般的に才能とは他より抜きん出ている能力のことを指す。しかしそれを、自分の全てを才能として見ることによって、自分には才能がないと考えている人たちの“救済”になりうると考える。

          才能について語る。 「自分という存在が才能である」という考え方は非常に良い回答だと思う。 一般的に才能とは他より抜きん出ている能力のことを指す。しかしそれを、自分の全てを才能として見ることによって、自分には才能がないと考えている人たちの“救済”になりうると考える。

          【詩】孤独にくつろぐ

           人付き合いが苦手で  逃げて 逃げて 逃げ続けて  そうして 孤独に出会った  孤独は言った 怖くはないよ  僕は言った それは分かってるよ  だって僕は 孤独だったから  僕のこれが 孤独だと知ったのは  君と出会ってからだけど  今までも ずっと ずっと 孤独だったんだ  そうか ならば と孤独が言う  孤独に くつろいだら いいかもね  孤独に くつろぐ? 僕が聞く  そうさ 孤独に と孤独が言う  人との繋がりを 絶ってしまって  ひとりの 時間を 作る

          【詩】孤独にくつろぐ

          【詩】密かに咲く

           黄昏時に  出会った桜の木。  ここに人は滅多に来ない。  たとえ来たとしても  誰も見向きもしないだろう。  細く、淑やかな桜が一本  雑木林の中で咲っていた。  僕はそれを見て  密かに咲いていると思った。  僕はそれを見て  密かに咲くことを覚えた。  人がいる、  人がごった返している、SNSの中で  ただ、ぽつりと、佇む僕は  その桜のようだと、ふと思った。  桜は、人目につくところに咲くから  人から愛されるのだ。  しかし、人目につかない桜は  一体

          【詩】密かに咲く