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馬照跑、舞照跳。〜摘読日記_67

長らく積読していたこちらの本を読了。

2020年8月発行


「馬照跑、舞照跳」とは鄧小平の言葉で、「馬は走り続け、ダンスは続く。」という意味。

中国の香港に対する姿勢を示す名言として、歴史に残るものだそうです。


どういう文脈で語られたのか、鄧小平が語ったと言われる言葉を引用します。

「香港は一九九七年に祖国に戻ったあと五〇年間の方針は変わらず、それは我々が作る基本法も含め、五〇年は守り続ける。もっと言えば、五〇年後も変わる必要はない。香港の地位は変わらない。香港政策も変わらない。香港では、馬照跑、舞照跳、資本主義のライフスタイルを維持できる」

196pより引用


本書にもありますが、中国と香港の関係は、1997年の返還後、良好な時期もありました。

2000年から2002年にかけては、むしろ香港政府より中国政府への信任度の方が高かった時期もあったそうです。

その後、一国二制度は形骸化への道を辿るわけですが、私個人は香港で生活したり、帰国後に香港へ出張が多かった時期がデモや暴動が起きたタイミングとずれていて、香港の悩みをほとんど実感できていませんでした。


最近では、香港のことは、香港競馬の大レースに日本馬が出走する時に思い出す程度でした。

そして、香港競馬はいつも華やかなので、そこに暗さを感じることはできないのです。

先日の大レース、クイーンエリザベスⅡ世カップ。
大観衆、華やかな雰囲気。


本書を読んで、香港の絶望に気持ちが重くなりました。

あとがきにありますが、筆者の野嶋剛さんは、本書のタイトル『香港とは何か』を、『香港に希望はあるのか』又は『香港の絶望』に変えようかと思ったほど、香港の良さが失われるおそれを感じているそうです。


私としても、香港の自由闊達さは大好きですし、香港競馬も大好きなので、文字通り「馬に走り続けて」欲しい、と願っています。

香港競馬の施行が危機にあるわけではなく、むしろ売上は絶好調だそうですが、香港市民に元気がないと、競馬場のあの華やかな雰囲気は損なわれそう。

それに、競馬に癒しを求める市民も、きっと多いことだろうと思うのです。

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