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独特な難病児育児〜体調不良編〜

「医療的ケア児って知ってますか?」
「療育って聞いたことありますか?」

最近新しい環境に身を置くようになり、自分自身の話をするときに仲間に質問する内容だ。
仲間は
「いいえ、知らないです」
と応えるのがだいたいである。

それもそのはず、私だって難病の息子を生むまで「医療的ケア児」なんて言葉を知ることはなかった。一般の人が知らなくて当然である。

新しい環境での仲間に子育ての話をするとき、上記の質問をすると同時に「こういう機械を使っていて」「栄養はこんなふうに摂っていて」と説明するようにしている。こういう子どもや人が世の中にはいるんだよということを知ってほしいからである。みんなぽかーんとした表情をしているが、それでも別に問題ない。「そういう子どももいるんだな」と思ってくれるだけでいいからだ。

そこで今回は、少しでも難病児である息子の生活を知ってもらおうと、独特な育児である難病児育児の体調不良編を書こうと思う。

というのも、現在息子発熱真っ只中。肺炎フラグが立っていて、訪問医を待っている間にこの記事を書いている。

息子が体調を崩すときのパターンはだいたい決まっている。
息子は難病の中でも筋肉の疾患で、呼吸障害と嚥下障害がある。
自分で呼吸ができないので、24時間人工呼吸器という機械を使っているし、嚥下(飲み込むこと)ができないので、鼻からチューブで栄養剤を注入している。
病気がない人だと、分泌物が気管に入りそうなときは咳き込んだりむせたりして気管に入るのを防ぐと思うが、息子は咳き込む筋力がない。そのため、痰を出すことも難しく、放っておくと痰が溜まっていってしまう。日頃は溜まらないように吸引したり、カフアシストという機械を使ったりして排痰ケアをしている。

体調を崩すときは、痰が詰まってしまい熱がでて心拍が高くなり、肺炎になるパターンが多い。1ヶ月前くらいもそのパターンであり、今回も発熱し、心拍が高く、痰が多いパターンだ。肺炎になっているのではないかと思っているところである。

肺炎になると厄介なのが、レントゲンを撮らないと実際のところどの程度の肺炎なのかがわからないところだ。医師や看護師が聴診器を胸に当てて、胸の状態を想定することはできるが、自宅ではレントゲンを撮ることはできないので確証は持てない。
前回肺炎になったときは、訪問医が肺炎だと診断し抗菌薬を処方してくれ、訪問看護士と相談して数日後にレントゲンを撮りにかかりつけの病院に行った。レントゲンを取った結果、軽い無気肺という痰が詰まって肺が潰れてしまう状態になっていた。ただ訪問医が抗菌薬をすぐに処方してくれたおかげなのか、軽度の無気肺で済むことができ、入院は免れた。

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日付をまたいで、訪問医が来てくれてどうだったかというと、やはり肺炎っぽいとの診断だった。心拍が高め(通常130〜150だが、夜は180〜200、夜中は160〜170あった。)で、はかはかと息苦しい息子の姿を見るのは心苦しい。寝たくてもなかなか寝れず、寝れたとしても浅い眠りだ。
普段寝ているときは、自発呼吸は0%と人工呼吸器に表示され、完全に人工呼吸器に頼ってぐっすり眠っているのだが、今回のような状態が悪い時は、自発呼吸100%で自力で呼吸を頑張っている状態になる。はかはかと苦しそうに呼吸することで、体力も削られる。

今回も抗菌薬を処方され、1日経った今日も訪問医が訪問してくれる予定である。

今は解熱剤のおかげもあって、37度まで熱が下がっている。心拍も140代で比較的安定しているし、たまたま朝、訪問予定だった訪問看護師も胸の音はさほど悪くはないといってくれた。その言葉に少し安心する。

体調を崩すと心配になり心苦しい気持ちになると同時に、排痰ケアをマメにやらないといけず、なかなか大変だ。
その他にも、息子のような難病の子どもが体調を崩し自宅療養になったときに困るのが、仕事をする時間が確保できなくなることだ。
普段、保育園、児童発達支援、リハビリで平日5日間を過ごしている息子だが、体調が良くなるまでもちろんすべてその予定はキャンセルになる。
健常児と比べて体が強くない息子は、一度体調を崩すと治るまで1週間〜2週間近くかかるのだ。その間、自宅で息子のケアをしながら過ごさなければならない。

こういうとき、我が家の場合は私も夫も在宅勤務であるためシフトを組んで順番に息子のケアをする。ケアをしていない間は仕事をするという形である。普段より仕事に集中できる時間が減り、仕事がどんどん溜まっていく。息子のケアにも疲れ、こちらの体力も削られていく。

ただ息子の体調がよくなるためには排痰ケアは欠かせないため、そこは息子のために頑張るのが、私たちの役目である。

体調の悪い時の息子はもちろん元気がなく、おもちゃにも反応しなかったり、笑顔が見れなかったりと、見ていて悲しく心配な気持ちになる。
まだ1歳9ヶ月という風邪や肺炎等になりやすい時期でもあるので、体が大きくなるまでは仕方がないことかもしれないが、できるだけ息子には元気でいてほしいと思うのが親心である。

今回はどのくらいの期間で元気になるのかな。かかりつけの病院には行く必要があるのかな。などと色々考えている今である。

これが筋肉の難病がある息子の体調不良の状態である。
難病だから大変なんだぞー!と言いたいのではない。ただ健常児の体調不良とは少し違う、ユニークな難病児の体調不良の状態を知ってもらえたら、少しでも息子のような先天性の疾患をもった子どもがどんな風にすごしているのか理解してもらえるだろうと思ってここに書き綴った。

暑くなったり寒くなったりと寒暖差の激しい最近のため、体調を崩す子どもは多いという。子育てをしているみなさん、子どもの体調不良で共倒れしないように、気をつけていきましょうね。



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