Aという属性を有する人がBという場所でCという犯罪を犯すことを防ぐために、Aという属性を有する人がBという場所から排除することは許されるか。

Aという属性を有する人をBという場所から排除すれば、Aという属性を有する人がBという場所においてCという犯罪を犯すことを未然に防ぐことができます。逆に言えば、Aという属性を有する人をBという場所から排除しない場合、Aという属性を有する人がBという場所でCという犯罪を犯すことを完全には排除することはできません。

これは、A、B、Cに何を入れても常に成立します。

しかし、これは、Aという属性を有する人をBという場所から排除することを正当化しません。「Aという属性を有する人は、そうでない人と比べてCという犯罪を犯す率が高い」としても、「Aという属性を有する以上、Cという犯罪を犯す確率が高い」として、不利益を与えることは、過剰な人権侵害にあたります。

Aという属性を「Cという犯罪を犯したことがある者」とした場合に、BにおいてCという犯罪が行われることを未然に防ぐために、Aという属性を有する人をBという場所から排除することを正当化されるでしょうか。

例えば、窃盗罪は、出所受刑者の2年以内再入所率が21〜24%であり、性犯罪の出所受刑者の2年以内再入所率6〜8.5%と比べても、3〜4倍再犯罪率が高い犯罪類型です。では、スーパーやコンビニ等において、窃盗の犯罪歴がないことの証明がなされた人にだけ会員証を発行し、その会員証を持っている人だけ入店できるシステムを採用することは許されるでしょうか。そのために、国が、窃盗の犯罪歴の有無を示す証明書を発行することは許されるでしょうか。

再犯罪率が高い窃盗ですら、出所受刑者の過半数は再犯を犯していないことを考えると、厳しいようには思います。

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